美人の彼女と比べずにいられない

初めまして、こんにちは。村上さんの意見が聞きたいと思い、メッセージを送りました。
私は自分が嫌いです。どこが嫌いと言えば外見から性格から、ほぼ全てです。自己否定も強いです。人見知りで自分に自信がないので、人に見られるのが嫌で外に出るのも億劫です。こんな私を誉めてくれる人もいますが、私自身が納得してないため全てお世辞にしか聞こえません。外見については、身近にものすごい美人がいて彼女とつい比べてしまって落ち込むこともあります。私が勝手に憧れ、理想とし、その向こうに自分が作った彼女の虚像すら見てると思うのですが、小さい頃からずっと刷り込みのように彼女は美人、私は地味と言う考えがあり、なかなか消えません。人は人、私は私! と割り切り、こんな自分でも生きてる意味や価値があるのだと、自分に自信をつける方法はありますか? 
(リツ、女性、23歳)

この前、あなたの話にそっくりの筋の小説を読んだんだけど、タイトルを忘れてしまいました。美人過ぎる友だちがいるおかげでうまく生きていけない女の子の話。なんだっけな? 思い出しておきます。

僕は誰かに憧れたり、誰かに憧れられたりした経験がないので(少なくとも思い出せないので)、あなたの感じておられる気持ちはもうひとつリアルにわかりません。「わたしには人より劣ったところもたくさんあるけど、良いところもいくつかある。人に負けないところも少しはある」みたいに自分のことを考えるのが、人間にとっていちばん健全な姿じゃないかと思うのですが、あなたの場合はそうじゃないんですね。だとしたらそう思えるような環境を意識的に、がんばってつくっていしかないんじゃないかな。少しそのお友達から距離をとるようにされたらいかがでしょう? フィジカルに、遠くに引っ越しなんかしてみるのも良いアイデアですが、なかなか現実的にそうもいかないのでしょうね。

人は多かれ少なかれ、自分に与えられた役柄をこなして生きているものですが、ときには思い切ってその役柄を放り出してしまうことも必要です。あなたはそろそろそういう時期に来ているのではないかという気がするのですが。

村上春樹拝