2015.01.05 (Mon)
こんばんは。今月は忙しくて本は積んでばかりです。
今年もあとわずか、もしくは年をまたいでしまっているかもしれませんが、ここで今年の下半期の総括、そして来年への期待をあげていきたいと思います。
上半期では触れなかったことを中心にまとめる予定です。
今回取り上げる内容は以下の通り。
・下半期ラノベ原作アニメ
・ライトノベルと実写化
・集英社DX文庫、モンスター文庫創刊
・世代交代はおきたのか?
・MF文庫Jにおけるアペンドラインと、新たな読者層獲得の模索
・今後の期待作
の予定です。
また長くなってしまうので格納してありますので、興味があればぜひ。というか今はまだ描き切れていないので尻切れトンボですが…。
今年もあとわずか、もしくは年をまたいでしまっているかもしれませんが、ここで今年の下半期の総括、そして来年への期待をあげていきたいと思います。
上半期では触れなかったことを中心にまとめる予定です。
今回取り上げる内容は以下の通り。
・下半期ラノベ原作アニメ
・ライトノベルと実写化
・集英社DX文庫、モンスター文庫創刊
・世代交代はおきたのか?
・MF文庫Jにおけるアペンドラインと、新たな読者層獲得の模索
・今後の期待作
の予定です。
また長くなってしまうので格納してありますので、興味があればぜひ。というか今はまだ描き切れていないので尻切れトンボですが…。
・下半期ラノベ原作アニメ
下半期は10作を超えるライトノベルを原作とするアニメが放映されました。
その中で取り上げたい作品の筆頭は、「甘城ブリリアントパーク」です。
今作のアニメに関して特筆すべきことは、原作との差別化が図られていたことでしょう。原作ではパーク存亡の問題というのは火急のものであり、1巻のみで方がついてしまいましたが、アニメでは12話通してその問題にとりくむことがされていて、問題へのアプローチに変化がありました。
そのため、原作との相違点が多く、問題自体は同じなので、行く先は知っていても、そこに至るまでの過程というのは違っていて、新鮮さがあって私としては見ていてとても楽しかったです。
また、シルフィ―に代表される、原作では影の薄かったキャラ、あるいはまったく登場をしていないキャラというのが数多く登場をし、またそれが原作へとフィードバックされるという互換関係があったのも、原作者がアニメ制作に携わっているというだけにおもしろい点でもありました。
世間での評判はおおむね良好だったのではないでしょうか。私の最寄の本屋さんでは1巻がアニメ放送後なくなっていたのが印象的でした。
だがしかし、上半期に放映された「ノーゲーム・ノーライフ」と比べるとスマッシュ感は薄かったかな。今年の横綱はノゲノラでしょう。
夏クールでは、「RAIL WARS」が案の定の結果に。目も当てられないなぁ…。いや、だって見ていて、ねぇ。
私としては「人生」のあのゆるーいノリは結構好きでしたな。
秋クールでは、先ほど述べた甘ブリの他に、「魔弾の王と戦姫」がアニメ化。
ライトノベルで流行になっているといえるだろう、ライトノベル的戦記物の先駆けとしてアニメ化をしました。アニメの描写でネックになる戦術の描写はCGを使い、簡略化をされており、非常にわかりやすいとはいえるのですが、やっぱりこれだと薄いよなぁ、と感じざるを得ません。
下地は厚いといえる作品の厚さが感じられなかったのは残念ですが、前半部まではおもしろいといえる出来だったとは思います。
これに続く戦記物のアニメ化が出てくるのか、には注目か・
直接ライトノベルとは関係ありませんが、同冬クールには「Fate/staynight UBW」の1クール目がufortable制作によりアニメ化がされました。
そのFateの派生小説というのは、これまでも人気を集めていましたが、未だ多くのものが登場をしています。今年では桜井光の手により、「Fate/prototype 蒼銀のフラグメンツ」が登場したり、また、来年にも成田良伍の手により「Fate/strange Fake」が発売予定となっていたり、今回のリメイクにより、(ルートは違えど)また熱を持ってきていると感じます。
・ライトノベルと実写化
今年、日本映画界でも話題となり、また世界でも賞賛をされた映画、「All You Need Is Kill」は、当ブログを訪れる方なら十中八九ご存知でしょうが、「よくわかる現代魔法」と同じ作者である桜坂洋が手掛けた単巻もののライトノベルをハリウッド映画化した作品でした。
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、2014年の世界映画興行収入10位にランクインするヒット作となりました。
私も映画館で作品を見ましたが、日本よ、これがハリウッドだじゃなくて、みんなこれ日本のラノベなんだぜ、スゲーだろって叫びたくなりました。
それはともかく、映画の放映に合わせて、日本では映画に合わせた装丁の文庫が登場して、ラノベの棚のみならず、一般の文庫に大きく置かれるなどの展開をされました。(トムクルーズ全面押しの装丁の文庫がラノベのところにおいてあるとそれはそれでインパクトがありましたが)
それに合わせて「ヒカルの碁」「DEATH NOTE」の作画担当として有名な小畑健が作画を手掛けて上下巻構成でコミカライズをされ、これもまたヒットしました。
アクションとSFというジャンルというだけあって、ハリウッドにも適合した感じがあり、皆が受け入れられる作品、そして面白いと認められる作品になった「All you need is kill」でしたが、それとは対照的に多くのファンからは否定的な声が多数聞かれたのは、同じく今年実写映画化をした「僕は友達が少ない」でした。
ハードなSF、アクションとは違い、はがないの持ち味というのは、とにかく残念なキャラクターのコメディー。そしてブリキ氏がつけた萌えの強い絵。これが実写化したら…?と思い、そして実際に見て嫌悪感を持つ人も多かったのでしょう。
これは同じくメディアワークス文庫から連続ドラマ化した「ビブリア古書堂の事件手帖」の栞子役が剛力あやめに決まった時の反応によく似ていると感じます。取りあえずイメージと違うからバッシング、その流れで不完全燃焼――、という感じ。
実際映画を見てみると、はがないのテーマを研究していて、それでいて皆に受け入れられる工夫がされていて、映画として楽しめるものになっていたと思います。
感じるのは、ライトノベル事体は誰でもが楽しめるコンテンツになっているということです。これからラノベを広げていくためには、こういう風に興味を引いてくれるようなメディアミックスの数をこなして、敷居を低くしていく努力なのではないでしょうか。コンテンツ自体は成熟をしてきて、多くの人が楽しめるものになっているとは私は考えています。
桜坂 洋×三上 延 対談「キャラ作りはサービス精神」
・集英社DX文庫、モンスター文庫創刊
今年は多くのライトノベル周辺のレーベルが立ちあがった年でした。最も大きなニュースだと最大手の新潮社が新潮文庫NEXを立ち上げたことに始まり、朝日ノベルズの流れを汲む朝日エアロ文庫、富士見L文庫など、枚挙にいとまがありません。
その中で私が注目したいレーベルは2つ。「集英社ダッシュエックス文庫」と「モンスター文庫」です。
集英社DX文庫は、現行の集英社のライトノベルレーベルであるSD文庫からの刷新、リニューアルという形で発進したレーベルです。経緯についてはこちらの記事(「DX文庫」リニューアル効果は? 新たな目的と現状のギャップを改善)等を参照していただけれと、わかりやすいのではないかと思います。
集英社の抱える少年ジャンプは言わずと知れた人気少年漫画雑誌。その力を引き込めなかったこれまでのSD文庫から、DX文庫に切り替えることで、連携をしたいという意図は見えます。
「はてなイリュージョン」は、パパ聞きの松智洋とToLoveるで有名な矢吹健太郎のタッグ作、「親友の彼女を好きになった向井広凪の罪と罰」は野村美月といちご100%で有名な河下水希のコンビ作。前者は前にもコンビを組んだことがある中なのでわかるのですが、後者はこれまでに見られなかった流です。
また、遂に「紅」が復活。延期になって長かった王雀孫の「始まらない終末戦争と終わってる私らの青春活劇」も発売、その他精力的な活動をみせ、SD文庫の時よりも活気づいていることがはっきりとわかり、期待が非常に持てます。
一方、なろう戦線はさらに激化をたどる一途です。
今年に入ってからさらに手を出すことが盛んとなった富士見書房、コンペを開催し人気を集めるOVL文庫、先に述べたDX文庫も「カボチャ頭のランタン」を書籍化することを発表をし、遂に戦線へ突入するかとみられています。アーススターは、小説家になろう作品を書籍化することを目指したと考えられる「アーススターノベル」を創刊。ヒートアップはとどまることを知りません。
そのレーベルの中で現在、一際存在感を放っているのが「モンスター文庫」なのではないでしょうか。
先駆者であるヒーロー文庫に対して挑発をするかのようなモンスターというネーミング、そして発売日も30日に被せるというこの喧嘩腰っぷり。
刊行数も底底を毎月キープしており、勢いが感じられます。どの書籍化作品も基本ランキング上位から引っ張ってきている、特に最近のランキングに載るようなものを青田買いのように刈り取っているように思うので、これからの成長が出来るかどうか、にかかっているとも考えられます。
モンスター文庫もなろうと連動したコンペティションを主催。小説家になろう内でも様々なコンペティションが開催されていて、ランキング以外からでも書籍化にたどり着くチャンスが広がっているのかもしれません。
こうした現状を受けて、既存の新人賞は手軽な小説家になろうとの差別化をどのようにして図るのか、そして価値を高めていくのかということを考える必要に迫られているのではないでしょうか。
・世代交代は巻き起こった?
今年のオリコンのシリーズ別の年間ランキングを見てみると、上位陣はこう並んでいます。
1位 魔法科高校の劣等生(2011~)
2位 ソードアート・オンライン(2009~)
3位 カゲロウデイズ(2012~)
4位 <物語>シリーズ(2006~)
5位 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている(2011~)
6位 ハイキュー!(2013~)
7位 ノーゲーム・ノーライフ(2012~)
8位 新約とある魔術の禁書目録(2004~)
9位 黒子のバスケ Replace(2011~)
10位 ログ・ホライズン(2010~)
どの作品も最近アニメで放送されたものばかりで、アニメの影響の強さを感じずにはいられないランキングとなっています。
アニメ化を経験した作品が終われば、また新しくアニメ化する作品が登場するわけであって、その穴を埋めるサイクルというのは出来ていると、ランキングを見ているとわかります。
ランキングで赤字で表示したのはシリーズスタートから2年以内にランクインした作品です。3作ドレもヒットした経緯が違うため、興味深い。
カゲロウデイズは、ボカロPが小説を書く、というボカロ小説。最近のボカロ小説の発展はライトノベルの動きの中でも目覚ましいものがあるので、それを象徴する一端です。
ハイキューは、人気漫画のノベライズ作品。9位にランクインする黒子のバスケの小説版と並んで、少年ジャンプでの力が大きく感じられます。それがあるだけに、DX文庫がこのパワーを引き込めるか、というのはとても大きな課題であり、チャンスだと思います。
ノーゲーム・ノーライフはアニメ化が成功して、ライトノベルの売り上げも爆あげした、昨年でいう俺ガイル枠。アニメの成功がラノベの売り上げを左右するというお約束を体現した形になりました。
世代交代、というには少し語弊があるのかもしれませんが、長期化したシリーズから読者が離れていって、また新しい作品へファンが付く、という形が出来ているのでしょうか。
レーベル別に見てみると、ファミ通文庫は、バカテスが今年は刊行されず、その穴を埋める作品は登場しませんでした。
作品の中では、このラノで上位に食い込んだ「この恋と、その未来」が、一部のコアなファンに受け、話題を呼びました。
将来性を考えると「アオイハルノスベテ」辺りが注目株か。アニメ化を控えている艦これに乗って、さらに売り数を「陽炎、抜錨します」が伸ばすか、にも期待です。
SD文庫から一新して、DX文庫となり、勢いが出てきた集英社は、ベン・トーが抜けてさらにパッとしなくなってしまった作品らを入れ替えることが出来るのか。
最もこれから期待できるのは、アニメ化が決定した「六花の勇者」でしょうか。あの緊迫した状況をアニメで上手く表現することが出来たなら、大うけは間違いないと思うのですが。
創刊ラインナップに並ぶ作家勢は手堅い人たちが多く、大崩れはしないだろうなという安心感が持てるだけに、それらを束ねてけん引していく作品の登場が引き続き待ち望まれます。
……このラノ5位になったからってハレムリーグ・ベースボールは続刊されねぇんだろうなぁ。
電撃文庫では、終わるのかな――?と思っていたデュラララ!!が「デュラララ!! SH」として再び登場。アニメ2期放送も迫っているために、終わらせねえぜ、美味しい金づるは離さないぜ、という心構えなのか。
世代交代、というとこれまでの新人賞を受賞してデビューという形のみならず、ネットで人気を得てから出版に至る――という過程がうまれてきたこともその流れの一つなのかもしれません。
今年では「ログ・ホライズン」「魔法科高校の劣等生」が、特に後者は色々とありましたが、人気を博して、今年のオリコンにランクインするまでになりました。
来年はさらにネット出身の作品がアニメ化という形を通してのブーストを得ることになりそうです。その中での筆頭は間違いなく「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか」でしょう。このラノでも2年連続上位に食い込み、また私としてもこれが売れなきゃ一体何が売れるのだろう、と思う作品ですので、ぜひ爆発してほしい。
「オーバーロード」は、「ログ・ホライズン」」と同じくエンターブレインから出版されているソフトカバーライトノベル。主人公が骸骨なのですが、アニメでどう表現するのか凄い気になるw
「ゲート」はアルファポリスより。これは自衛隊異世界トリップもの。……自衛隊がスポンサーなのかしら。
Twitterを利用した作品発表からアニメ化に至ったのは「ニンジャスレイヤー」。カルト的ファンを擁する作品は大衆に受け入れられるのか。
ライトノベル界におけるネット小説の重要性というのは、このようにアニメ化するネット小説が増加している今、さらに大切になっていることは間違いありません。これを世代交代と呼ぶのか。
・MF文庫Jアペンドラインと、新たな読者層獲得への模索
ここからが本番と言ってもいいかもしれません。
MF文庫Jでは、昨年からポツリポツリ、と表紙絵が同レーベルのものとは雰囲気が異なる「クレイとフィンと夢見た手紙」「終焉ノ栞」といった作品を出してきていました。
そして、それらの作品が好評なことを受けてか、今年MF文庫JではMFJアペンドラインフェアなる企画を開催しました。そこにラインナップされている作品は、ボカロ小説、ノベライズ作品など、様々な形態ものです。
そもそもappendの意味は、直訳すると付け加える、ということになります。と、いう事はアペンドラインというのは、何をもってアペンドラインという名を冠しているのでしょう。
一つ考えられるのは、これまでのMF文庫Jでの基本潮流である萌え主体のレーベルであるというイメージを払拭するために、新たな作風と読者を「付け加える」ことでしょう。萌えに興味がない人たちでも興味を持ってくれる環境を整備したい、そんな思惑があるように思います。
フェア内で刊行された作品では、らきるちの「絶深海のソラリス」がネットで人気を集め、このラノ2015では6位にランクイン。また、ボカロ小説である「ミカグラ学園組曲」はアニメ化が発表。制作は動画工房。これまでのMF文庫Jのイメージ転換点となるのか。
アペンドラインとして考えられる要素をいくつか整理したいと思います。
・作風が明らかに他の作品とは違う
・特徴的な表紙
・新たな読者層獲得を意識した作品 ……などがあげられるでしょう。しかし、いずれも正しい要素を含んではいるものの、それだけでは説明にならないのです。
この付近が混然とする最大の原因は、MF文庫だけにとどまらず、ライトノベル界全体があらゆる方向に触手を伸ばしているというのが最大の原因でしょう。
これまでは出版社内のみで動いていた小説制作が、小説家になろうを筆頭とした小説投稿サイトであったり、角川とドワンゴの経営統合に代表される動画投稿サイトとのつながり、さらには反対にアニメやゲームなどの作品がライトノベルに流れ込んで来ることが増えたり……。貪欲に方向性を模索しているように思えます。
ただ、複雑に動いているライトノベルの動きの中でも、、私が共通していると感じているのは、新たな読者層の獲得に腐心している、ということです。
動きの一つとして顕著なのは、ボカロ小説や艦これのノベライズに代表される、ライトノベル以外で外部で人気のコンテンツを引っ張り込んでくるという動きです。
ボカロ小説である「カゲロウデイズ」は4月にアニメ化をし、今年のオリコン年間ランキングでも上位に食い込むほど。
「ハイキュー!!」「黒子のバスケ」のノベライズもオリコン上位に食い込んでおり、人気のあるコンテンツを引っ張り込んでくることの強みということを証明した形になりました。
ゲームのノベライズ作品も、また復調気味に増加しているように感じます。すでに述べたFateに加えて中心となっているのは艦これのノベライズでしょう。複数レーベルで展開していますが、いずれも人気な模様。
縹けいかによって「ファタモルガーナの館」がノベライズされるように同人ゲームがノベライズされることも目に付くようになる一方で、「乃木坂春香の秘密」の作者である五十嵐雄策の手により稼働したばかりであるソーシャルゲーム城姫クエストのノベライズ「城姫クエスト 僕が城主になったわけ」が登場したりと、双方向での挑戦も見られるようになりました。
ノベライズに力をいれているレーベルとして、「桜ノ杜ぶんこ」をあげておきたいのですが、いかんせん知名度が低いだけに出されている作品がどれもただのファンアイテムにとどまってしまっている感じがあって残念ではある。
また、映像作品のノベライズも盛んな一年でした。
虚淵作品として劇場アニメ化された「楽園追放」を王子降臨で話題を集めた手代木正太郎がガガガ文庫でノベライズ。ファン内で話題を集めました。
アニメのスタッフが大勢入れ替わりながらも、変わらぬ話題を呼び込んだ「PSYCHO-PASS」もノベライズ作品が複数登場しました。
また、私一押しの桐山なるとは、新海誠が監督をしたZ会のテレビCMアニメーションを元にしたノベライズ作品「クロスロード In their case」を発表。私から感心を買いました。
また、獲得したファンを囲い込むために人気シリーズの拡大再生産をする、という形も見られるようになってきたこともあげられるのではないでしょうか。
電撃文庫の看板作品、「ソードアート・オンライン」は、一つには「ソードアート・オンライン プログレッシブ」シリーズを刊行していましたが、12月には作者の川原礫ではなく、時雨沢恵一が同世界を描いた「ソードアート・オンライン オルタナティブ」を刊行。
また、アニメ化を果たした「甘城ブリリアントパーク」は「甘城ブリリアントパーク メープルサモナー」として短編連作作品を発売しました。
小説家になろう作品と同じように一定のファンがついていることが分かっているから、安定していると考えられているのか。富士見としては先例のフルメタアナザーに続きたい形なのかもしれない。
残念ながら、ボカロ小説というのは、私がボーカロイドというものに興味がない故に手を伸ばすことがなく、どうしてこれがウケているのかという根本的な理由を今では考えることが出来ません。しかしながら、ライトノベルが活路を目指している一路線である以上、それは触れないといけない分野なのかもしれません。アペンドライン戦略によるラノベ読者層拡大はなされるのか。数字を見ることは難しいことですが、着実に存在感を増してはいます。
・総括
これまでは独立した文化であった〝ライトノベル〟というジャンルが、今年では新潮文庫NEXの登場に代表されるライト文芸やキャラノベなどの俗称がある分野の作品の発展、小説になろうを中心としたネット小説からの出版形態の普及、動画投稿サイトやソーシャルメディアを活用した作品発表など、これまでには見られなかったさまざまな動きが介入するようになり、またその新しい動きの中でもさらに、新潮文庫NEXで登場した「坂東蛍子、日常に飽き飽き」のように新たに登場した要素のハイブリット作品も急伸的に登場したり、これまでの動きとは明らかに速度が代わって変化が起こっているように思えます。
昨年のまとめで私は、2014年はレーベル間の争いではなく、戦記物だとか学園ものだとかSFだとかのジャンルの主流を争う年になるのではないだろうか、ということを書きました。
しかし今振り返ってみると、その一歩上をいく、ジャンルの争いというよりも、今後のライトノベルの有り方を占っていた一年間ではなかったのか、と私は思いました。
2015年というのは、またその動きにつられてライトノベルの有り方が変化をし、キャラノベはキャラノベ、ボカロ小説はボカロ小説、なろうはなろうで棲み分けが進みつつも、そのつながりと言う橋を担う作品も数多く登場するのではないか、と予感しています。
まとめると、今、ライトノベルはアツい!!その一言に尽きるのではないでしょうか。(前もこんなこと書いた気がする←)
・今後の期待作
・Occultic Nine
ニンジャスレイヤーに続くツイッターと連動した作品発表をする作品。いまだ1冊しか出ていないが、9人がこれからオカルトの中に飛び込んでいくんだというプロローグの出来はおもしろくなる、ということを確信させられる。
刊行ペースが上がればヒットすることは堅いだろうに……。
・WORLD END ECONOMiCA
「狼と香辛料」の作者である支倉凍砂がシナリオを担当した同人ゲームをノベライズ――というよりは文庫化した作品。1巻の厚さは同レーベルで刊行される鈍器を想像させた。
3部構成なので3巻構成となってしまうので先が短く思えてしまうのだが、月を舞台にした少年の物語は、見るものを熱くさせ、また苦い思いを共にすることになる。
・フルメタルパニック!アナザー
なぜ今更!!?とお思いの方も多いだろうが、2014年はフルメタTRPGが登場したり、アニメ化された甘ブリのモッフルはボン太くんと同デザインだったりと何かとフルメタの話題も尽きない一年だった。
また、ドラマガでもフルメタ関連の意味深な見開きが打ち出されたりと、これは遂にフルメタ4期、あるいはアナザーアニメ化なのか……!? 超期待している私でした。
・・・・・・・。
新年あけましておめでとうございます。今年はもう少し、更新頻度を。
今年も宜しくお願いします、今年も面白いライトノベルをよみたいな。
下半期は10作を超えるライトノベルを原作とするアニメが放映されました。
その中で取り上げたい作品の筆頭は、「甘城ブリリアントパーク」です。
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今作のアニメに関して特筆すべきことは、原作との差別化が図られていたことでしょう。原作ではパーク存亡の問題というのは火急のものであり、1巻のみで方がついてしまいましたが、アニメでは12話通してその問題にとりくむことがされていて、問題へのアプローチに変化がありました。
そのため、原作との相違点が多く、問題自体は同じなので、行く先は知っていても、そこに至るまでの過程というのは違っていて、新鮮さがあって私としては見ていてとても楽しかったです。
また、シルフィ―に代表される、原作では影の薄かったキャラ、あるいはまったく登場をしていないキャラというのが数多く登場をし、またそれが原作へとフィードバックされるという互換関係があったのも、原作者がアニメ制作に携わっているというだけにおもしろい点でもありました。
世間での評判はおおむね良好だったのではないでしょうか。私の最寄の本屋さんでは1巻がアニメ放送後なくなっていたのが印象的でした。
だがしかし、上半期に放映された「ノーゲーム・ノーライフ」と比べるとスマッシュ感は薄かったかな。今年の横綱はノゲノラでしょう。
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夏クールでは、「RAIL WARS」が案の定の結果に。目も当てられないなぁ…。いや、だって見ていて、ねぇ。
私としては「人生」のあのゆるーいノリは結構好きでしたな。
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秋クールでは、先ほど述べた甘ブリの他に、「魔弾の王と戦姫」がアニメ化。
ライトノベルで流行になっているといえるだろう、ライトノベル的戦記物の先駆けとしてアニメ化をしました。アニメの描写でネックになる戦術の描写はCGを使い、簡略化をされており、非常にわかりやすいとはいえるのですが、やっぱりこれだと薄いよなぁ、と感じざるを得ません。
下地は厚いといえる作品の厚さが感じられなかったのは残念ですが、前半部まではおもしろいといえる出来だったとは思います。
これに続く戦記物のアニメ化が出てくるのか、には注目か・
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直接ライトノベルとは関係ありませんが、同冬クールには「Fate/staynight UBW」の1クール目がufortable制作によりアニメ化がされました。
そのFateの派生小説というのは、これまでも人気を集めていましたが、未だ多くのものが登場をしています。今年では桜井光の手により、「Fate/prototype 蒼銀のフラグメンツ」が登場したり、また、来年にも成田良伍の手により「Fate/strange Fake」が発売予定となっていたり、今回のリメイクにより、(ルートは違えど)また熱を持ってきていると感じます。
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・ライトノベルと実写化
今年、日本映画界でも話題となり、また世界でも賞賛をされた映画、「All You Need Is Kill」は、当ブログを訪れる方なら十中八九ご存知でしょうが、「よくわかる現代魔法」と同じ作者である桜坂洋が手掛けた単巻もののライトノベルをハリウッド映画化した作品でした。
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「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、2014年の世界映画興行収入10位にランクインするヒット作となりました。
私も映画館で作品を見ましたが、日本よ、これがハリウッドだじゃなくて、みんなこれ日本のラノベなんだぜ、スゲーだろって叫びたくなりました。
それはともかく、映画の放映に合わせて、日本では映画に合わせた装丁の文庫が登場して、ラノベの棚のみならず、一般の文庫に大きく置かれるなどの展開をされました。(トムクルーズ全面押しの装丁の文庫がラノベのところにおいてあるとそれはそれでインパクトがありましたが)
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それに合わせて「ヒカルの碁」「DEATH NOTE」の作画担当として有名な小畑健が作画を手掛けて上下巻構成でコミカライズをされ、これもまたヒットしました。
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アクションとSFというジャンルというだけあって、ハリウッドにも適合した感じがあり、皆が受け入れられる作品、そして面白いと認められる作品になった「All you need is kill」でしたが、それとは対照的に多くのファンからは否定的な声が多数聞かれたのは、同じく今年実写映画化をした「僕は友達が少ない」でした。
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ハードなSF、アクションとは違い、はがないの持ち味というのは、とにかく残念なキャラクターのコメディー。そしてブリキ氏がつけた萌えの強い絵。これが実写化したら…?と思い、そして実際に見て嫌悪感を持つ人も多かったのでしょう。
これは同じくメディアワークス文庫から連続ドラマ化した「ビブリア古書堂の事件手帖」の栞子役が剛力あやめに決まった時の反応によく似ていると感じます。取りあえずイメージと違うからバッシング、その流れで不完全燃焼――、という感じ。
実際映画を見てみると、はがないのテーマを研究していて、それでいて皆に受け入れられる工夫がされていて、映画として楽しめるものになっていたと思います。
感じるのは、ライトノベル事体は誰でもが楽しめるコンテンツになっているということです。これからラノベを広げていくためには、こういう風に興味を引いてくれるようなメディアミックスの数をこなして、敷居を低くしていく努力なのではないでしょうか。コンテンツ自体は成熟をしてきて、多くの人が楽しめるものになっているとは私は考えています。
桜坂 洋×三上 延 対談「キャラ作りはサービス精神」
・集英社DX文庫、モンスター文庫創刊
今年は多くのライトノベル周辺のレーベルが立ちあがった年でした。最も大きなニュースだと最大手の新潮社が新潮文庫NEXを立ち上げたことに始まり、朝日ノベルズの流れを汲む朝日エアロ文庫、富士見L文庫など、枚挙にいとまがありません。
その中で私が注目したいレーベルは2つ。「集英社ダッシュエックス文庫」と「モンスター文庫」です。
集英社DX文庫は、現行の集英社のライトノベルレーベルであるSD文庫からの刷新、リニューアルという形で発進したレーベルです。経緯についてはこちらの記事(「DX文庫」リニューアル効果は? 新たな目的と現状のギャップを改善)等を参照していただけれと、わかりやすいのではないかと思います。
集英社の抱える少年ジャンプは言わずと知れた人気少年漫画雑誌。その力を引き込めなかったこれまでのSD文庫から、DX文庫に切り替えることで、連携をしたいという意図は見えます。
「はてなイリュージョン」は、パパ聞きの松智洋とToLoveるで有名な矢吹健太郎のタッグ作、「親友の彼女を好きになった向井広凪の罪と罰」は野村美月といちご100%で有名な河下水希のコンビ作。前者は前にもコンビを組んだことがある中なのでわかるのですが、後者はこれまでに見られなかった流です。
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また、遂に「紅」が復活。延期になって長かった王雀孫の「始まらない終末戦争と終わってる私らの青春活劇」も発売、その他精力的な活動をみせ、SD文庫の時よりも活気づいていることがはっきりとわかり、期待が非常に持てます。
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一方、なろう戦線はさらに激化をたどる一途です。
今年に入ってからさらに手を出すことが盛んとなった富士見書房、コンペを開催し人気を集めるOVL文庫、先に述べたDX文庫も「カボチャ頭のランタン」を書籍化することを発表をし、遂に戦線へ突入するかとみられています。アーススターは、小説家になろう作品を書籍化することを目指したと考えられる「アーススターノベル」を創刊。ヒートアップはとどまることを知りません。
そのレーベルの中で現在、一際存在感を放っているのが「モンスター文庫」なのではないでしょうか。
先駆者であるヒーロー文庫に対して挑発をするかのようなモンスターというネーミング、そして発売日も30日に被せるというこの喧嘩腰っぷり。
刊行数も底底を毎月キープしており、勢いが感じられます。どの書籍化作品も基本ランキング上位から引っ張ってきている、特に最近のランキングに載るようなものを青田買いのように刈り取っているように思うので、これからの成長が出来るかどうか、にかかっているとも考えられます。
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モンスター文庫もなろうと連動したコンペティションを主催。小説家になろう内でも様々なコンペティションが開催されていて、ランキング以外からでも書籍化にたどり着くチャンスが広がっているのかもしれません。
こうした現状を受けて、既存の新人賞は手軽な小説家になろうとの差別化をどのようにして図るのか、そして価値を高めていくのかということを考える必要に迫られているのではないでしょうか。
・世代交代は巻き起こった?
今年のオリコンのシリーズ別の年間ランキングを見てみると、上位陣はこう並んでいます。
1位 魔法科高校の劣等生(2011~)
2位 ソードアート・オンライン(2009~)
3位 カゲロウデイズ(2012~)
4位 <物語>シリーズ(2006~)
5位 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている(2011~)
6位 ハイキュー!(2013~)
7位 ノーゲーム・ノーライフ(2012~)
8位 新約とある魔術の禁書目録(2004~)
9位 黒子のバスケ Replace(2011~)
10位 ログ・ホライズン(2010~)
どの作品も最近アニメで放送されたものばかりで、アニメの影響の強さを感じずにはいられないランキングとなっています。
アニメ化を経験した作品が終われば、また新しくアニメ化する作品が登場するわけであって、その穴を埋めるサイクルというのは出来ていると、ランキングを見ているとわかります。
ランキングで赤字で表示したのはシリーズスタートから2年以内にランクインした作品です。3作ドレもヒットした経緯が違うため、興味深い。
カゲロウデイズは、ボカロPが小説を書く、というボカロ小説。最近のボカロ小説の発展はライトノベルの動きの中でも目覚ましいものがあるので、それを象徴する一端です。
ハイキューは、人気漫画のノベライズ作品。9位にランクインする黒子のバスケの小説版と並んで、少年ジャンプでの力が大きく感じられます。それがあるだけに、DX文庫がこのパワーを引き込めるか、というのはとても大きな課題であり、チャンスだと思います。
ノーゲーム・ノーライフはアニメ化が成功して、ライトノベルの売り上げも爆あげした、昨年でいう俺ガイル枠。アニメの成功がラノベの売り上げを左右するというお約束を体現した形になりました。
世代交代、というには少し語弊があるのかもしれませんが、長期化したシリーズから読者が離れていって、また新しい作品へファンが付く、という形が出来ているのでしょうか。
レーベル別に見てみると、ファミ通文庫は、バカテスが今年は刊行されず、その穴を埋める作品は登場しませんでした。
作品の中では、このラノで上位に食い込んだ「この恋と、その未来」が、一部のコアなファンに受け、話題を呼びました。
将来性を考えると「アオイハルノスベテ」辺りが注目株か。アニメ化を控えている艦これに乗って、さらに売り数を「陽炎、抜錨します」が伸ばすか、にも期待です。
| 特装版 艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!4 (ファミ通文庫) (2014/12/26) 築地 俊彦 商品詳細を見る |
SD文庫から一新して、DX文庫となり、勢いが出てきた集英社は、ベン・トーが抜けてさらにパッとしなくなってしまった作品らを入れ替えることが出来るのか。
最もこれから期待できるのは、アニメ化が決定した「六花の勇者」でしょうか。あの緊迫した状況をアニメで上手く表現することが出来たなら、大うけは間違いないと思うのですが。
創刊ラインナップに並ぶ作家勢は手堅い人たちが多く、大崩れはしないだろうなという安心感が持てるだけに、それらを束ねてけん引していく作品の登場が引き続き待ち望まれます。
……このラノ5位になったからってハレムリーグ・ベースボールは続刊されねぇんだろうなぁ。
| 六花の勇者 5 (ダッシュエックス文庫) (2014/11/21) 山形 石雄 商品詳細を見る |
電撃文庫では、終わるのかな――?と思っていたデュラララ!!が「デュラララ!! SH」として再び登場。アニメ2期放送も迫っているために、終わらせねえぜ、美味しい金づるは離さないぜ、という心構えなのか。
| デュラララ!!SH (電撃文庫) (2014/04/10) 成田良悟 商品詳細を見る |
世代交代、というとこれまでの新人賞を受賞してデビューという形のみならず、ネットで人気を得てから出版に至る――という過程がうまれてきたこともその流れの一つなのかもしれません。
今年では「ログ・ホライズン」「魔法科高校の劣等生」が、特に後者は色々とありましたが、人気を博して、今年のオリコンにランクインするまでになりました。
来年はさらにネット出身の作品がアニメ化という形を通してのブーストを得ることになりそうです。その中での筆頭は間違いなく「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか」でしょう。このラノでも2年連続上位に食い込み、また私としてもこれが売れなきゃ一体何が売れるのだろう、と思う作品ですので、ぜひ爆発してほしい。
| ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 (GA文庫) (2014/11/14) 大森 藤ノ 商品詳細を見る |
「オーバーロード」は、「ログ・ホライズン」」と同じくエンターブレインから出版されているソフトカバーライトノベル。主人公が骸骨なのですが、アニメでどう表現するのか凄い気になるw
「ゲート」はアルファポリスより。これは自衛隊異世界トリップもの。……自衛隊がスポンサーなのかしら。
| オーバーロード1 不死者の王 (2012/07/30) 丸山くがね 商品詳細を見る |
Twitterを利用した作品発表からアニメ化に至ったのは「ニンジャスレイヤー」。カルト的ファンを擁する作品は大衆に受け入れられるのか。
| ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1 (2012/09/29) ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼズ 他 商品詳細を見る |
ライトノベル界におけるネット小説の重要性というのは、このようにアニメ化するネット小説が増加している今、さらに大切になっていることは間違いありません。これを世代交代と呼ぶのか。
・MF文庫Jアペンドラインと、新たな読者層獲得への模索
ここからが本番と言ってもいいかもしれません。
MF文庫Jでは、昨年からポツリポツリ、と表紙絵が同レーベルのものとは雰囲気が異なる「クレイとフィンと夢見た手紙」「終焉ノ栞」といった作品を出してきていました。
| クレイとフィンと夢見た手紙 (MF文庫J) (2013/09/21) 友野詳 商品詳細を見る |
そして、それらの作品が好評なことを受けてか、今年MF文庫JではMFJアペンドラインフェアなる企画を開催しました。そこにラインナップされている作品は、ボカロ小説、ノベライズ作品など、様々な形態ものです。
そもそもappendの意味は、直訳すると付け加える、ということになります。と、いう事はアペンドラインというのは、何をもってアペンドラインという名を冠しているのでしょう。
一つ考えられるのは、これまでのMF文庫Jでの基本潮流である萌え主体のレーベルであるというイメージを払拭するために、新たな作風と読者を「付け加える」ことでしょう。萌えに興味がない人たちでも興味を持ってくれる環境を整備したい、そんな思惑があるように思います。
フェア内で刊行された作品では、らきるちの「絶深海のソラリス」がネットで人気を集め、このラノ2015では6位にランクイン。また、ボカロ小説である「ミカグラ学園組曲」はアニメ化が発表。制作は動画工房。これまでのMF文庫Jのイメージ転換点となるのか。
| 絶深海のソラリス (MF文庫J) (2014/03/22) らきるち 商品詳細を見る |
アペンドラインとして考えられる要素をいくつか整理したいと思います。
・作風が明らかに他の作品とは違う
・特徴的な表紙
・新たな読者層獲得を意識した作品 ……などがあげられるでしょう。しかし、いずれも正しい要素を含んではいるものの、それだけでは説明にならないのです。
この付近が混然とする最大の原因は、MF文庫だけにとどまらず、ライトノベル界全体があらゆる方向に触手を伸ばしているというのが最大の原因でしょう。
これまでは出版社内のみで動いていた小説制作が、小説家になろうを筆頭とした小説投稿サイトであったり、角川とドワンゴの経営統合に代表される動画投稿サイトとのつながり、さらには反対にアニメやゲームなどの作品がライトノベルに流れ込んで来ることが増えたり……。貪欲に方向性を模索しているように思えます。
ただ、複雑に動いているライトノベルの動きの中でも、、私が共通していると感じているのは、新たな読者層の獲得に腐心している、ということです。
動きの一つとして顕著なのは、ボカロ小説や艦これのノベライズに代表される、ライトノベル以外で外部で人気のコンテンツを引っ張り込んでくるという動きです。
ボカロ小説である「カゲロウデイズ」は4月にアニメ化をし、今年のオリコン年間ランキングでも上位に食い込むほど。
「ハイキュー!!」「黒子のバスケ」のノベライズもオリコン上位に食い込んでおり、人気のあるコンテンツを引っ張り込んでくることの強みということを証明した形になりました。
| カゲロウデイズV -the deceiving- (KCG文庫) (2014/03/29) じん(自然の敵P) 商品詳細を見る |
ゲームのノベライズ作品も、また復調気味に増加しているように感じます。すでに述べたFateに加えて中心となっているのは艦これのノベライズでしょう。複数レーベルで展開していますが、いずれも人気な模様。
縹けいかによって「ファタモルガーナの館」がノベライズされるように同人ゲームがノベライズされることも目に付くようになる一方で、「乃木坂春香の秘密」の作者である五十嵐雄策の手により稼働したばかりであるソーシャルゲーム城姫クエストのノベライズ「城姫クエスト 僕が城主になったわけ」が登場したりと、双方向での挑戦も見られるようになりました。
| 城姫クエスト 僕が城主になったわけ (電撃文庫) (2014/11/08) 五十嵐 雄策 商品詳細を見る |
ノベライズに力をいれているレーベルとして、「桜ノ杜ぶんこ」をあげておきたいのですが、いかんせん知名度が低いだけに出されている作品がどれもただのファンアイテムにとどまってしまっている感じがあって残念ではある。
また、映像作品のノベライズも盛んな一年でした。
虚淵作品として劇場アニメ化された「楽園追放」を王子降臨で話題を集めた手代木正太郎がガガガ文庫でノベライズ。ファン内で話題を集めました。
| 楽園追放 mission.0 (ガガガ文庫) (2014/10/17) 手代木 正太郎 商品詳細を見る |
アニメのスタッフが大勢入れ替わりながらも、変わらぬ話題を呼び込んだ「PSYCHO-PASS」もノベライズ作品が複数登場しました。
また、私一押しの桐山なるとは、新海誠が監督をしたZ会のテレビCMアニメーションを元にしたノベライズ作品「クロスロード In their case」を発表。私から感心を買いました。
| クロスロード in their cases (2014/09/29) 桐山 なると 商品詳細を見る |
また、獲得したファンを囲い込むために人気シリーズの拡大再生産をする、という形も見られるようになってきたこともあげられるのではないでしょうか。
電撃文庫の看板作品、「ソードアート・オンライン」は、一つには「ソードアート・オンライン プログレッシブ」シリーズを刊行していましたが、12月には作者の川原礫ではなく、時雨沢恵一が同世界を描いた「ソードアート・オンライン オルタナティブ」を刊行。
また、アニメ化を果たした「甘城ブリリアントパーク」は「甘城ブリリアントパーク メープルサモナー」として短編連作作品を発売しました。
小説家になろう作品と同じように一定のファンがついていることが分かっているから、安定していると考えられているのか。富士見としては先例のフルメタアナザーに続きたい形なのかもしれない。
| 甘城ブリリアントパーク メープルサモナー (1) (富士見ファンタジア文庫) (2014/10/18) 八奈川 景晶 商品詳細を見る |
残念ながら、ボカロ小説というのは、私がボーカロイドというものに興味がない故に手を伸ばすことがなく、どうしてこれがウケているのかという根本的な理由を今では考えることが出来ません。しかしながら、ライトノベルが活路を目指している一路線である以上、それは触れないといけない分野なのかもしれません。アペンドライン戦略によるラノベ読者層拡大はなされるのか。数字を見ることは難しいことですが、着実に存在感を増してはいます。
・総括
これまでは独立した文化であった〝ライトノベル〟というジャンルが、今年では新潮文庫NEXの登場に代表されるライト文芸やキャラノベなどの俗称がある分野の作品の発展、小説になろうを中心としたネット小説からの出版形態の普及、動画投稿サイトやソーシャルメディアを活用した作品発表など、これまでには見られなかったさまざまな動きが介入するようになり、またその新しい動きの中でもさらに、新潮文庫NEXで登場した「坂東蛍子、日常に飽き飽き」のように新たに登場した要素のハイブリット作品も急伸的に登場したり、これまでの動きとは明らかに速度が代わって変化が起こっているように思えます。
| 坂東蛍子、日常に飽き飽き (新潮文庫) (2014/08/28) 神西 亜樹 商品詳細を見る |
昨年のまとめで私は、2014年はレーベル間の争いではなく、戦記物だとか学園ものだとかSFだとかのジャンルの主流を争う年になるのではないだろうか、ということを書きました。
しかし今振り返ってみると、その一歩上をいく、ジャンルの争いというよりも、今後のライトノベルの有り方を占っていた一年間ではなかったのか、と私は思いました。
2015年というのは、またその動きにつられてライトノベルの有り方が変化をし、キャラノベはキャラノベ、ボカロ小説はボカロ小説、なろうはなろうで棲み分けが進みつつも、そのつながりと言う橋を担う作品も数多く登場するのではないか、と予感しています。
まとめると、今、ライトノベルはアツい!!その一言に尽きるのではないでしょうか。(前もこんなこと書いた気がする←)
・今後の期待作
・Occultic Nine
| Occultic;Nine1 -オカルティック・ナイン- (オーバーラップ文庫) (2014/08/22) 志倉千代丸 商品詳細を見る |
ニンジャスレイヤーに続くツイッターと連動した作品発表をする作品。いまだ1冊しか出ていないが、9人がこれからオカルトの中に飛び込んでいくんだというプロローグの出来はおもしろくなる、ということを確信させられる。
刊行ペースが上がればヒットすることは堅いだろうに……。
・WORLD END ECONOMiCA
| WORLD END ECONOMiCA (1) (電撃文庫) (2014/12/10) 支倉 凍砂 商品詳細を見る |
「狼と香辛料」の作者である支倉凍砂がシナリオを担当した同人ゲームをノベライズ――というよりは文庫化した作品。1巻の厚さは同レーベルで刊行される鈍器を想像させた。
3部構成なので3巻構成となってしまうので先が短く思えてしまうのだが、月を舞台にした少年の物語は、見るものを熱くさせ、また苦い思いを共にすることになる。
・フルメタルパニック!アナザー
| フルメタル・パニック! アナザー1 (富士見ファンタジア文庫) (2011/08/20) 大黒 尚人 商品詳細を見る |
なぜ今更!!?とお思いの方も多いだろうが、2014年はフルメタTRPGが登場したり、アニメ化された甘ブリのモッフルはボン太くんと同デザインだったりと何かとフルメタの話題も尽きない一年だった。
また、ドラマガでもフルメタ関連の意味深な見開きが打ち出されたりと、これは遂にフルメタ4期、あるいはアナザーアニメ化なのか……!? 超期待している私でした。
・・・・・・・。
新年あけましておめでとうございます。今年はもう少し、更新頻度を。
今年も宜しくお願いします、今年も面白いライトノベルをよみたいな。
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