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「イスラム国」支持者、ネット書き込み 「日本人記者を誘拐しろ」

産経新聞 1月31日(土)7時55分配信

 ■通訳装い接近 「人質売買」が横行

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が設定していた人質交換の期限が経過し、後藤健二さん(47)の解放を待つ関係者の間には緊張感が高まっている。ここに来て、中東の地で取材する日本人記者にもイスラム国による危機が忍び寄っていることが判明。後藤さんの妻が公表した声明では、イスラム国が自分たちの要求を世界に発しなければ「健二が次だ」と妻を脅迫していたことなどに対し、海外で武装集団などに拘束された経験を持つジャーナリストは卑劣な行為を強く非難した。

 【アクチャカレ(トルコ南部)=内藤泰朗】「日本人記者を誘拐し別の捕虜交換に利用しろ」−。「イスラム国」の支持者らが29日、後藤健二さんら人質事件を取材する日本人記者を標的にした書き込みをツイッター上でしていることが明らかになった。過激派支配地域では、人質を売買する誘拐ビジネスが横行、記者活動は厳しい状況に置かれている。

 地元トルコや日本、欧米の報道陣数十人は29日、後藤さん解放の可能性があるとみて、シリアのイスラム国支配地域の「正面玄関」で、過去に人質交換が行われたアクチャカレ検問所の前に集結した。

 しかし、ツイッター上では、イスラム国支持者とみられるユーザーらが検問所前で待機する日本の報道陣の写真を掲載。中には記者の顔がはっきりと判別できる写真もあり、ユーザーらからは「このうちの誰かを誘拐して、別の捕虜交換に利用しろ」といった書き込みが相次いだ。

 欧米メディアの記者たちによると、シリア北部では昨年以降、通訳やガイドを装って外国人に近づき、数万ドル(数百万円)でイスラム国に売り渡す誘拐ビジネスが横行。イスラム国が敵視する米英など欧米を中心とした記者たちが最大の標的になっている。

 後藤さんも、仲介していた同行ガイドに裏切られ、人質取引の材料となった可能性が指摘されている。29日の日本記者への脅しは、日本人も標的の一つになったことを示した形だ。

 イスラム国は、500万ドル(約6億円)程度とされる高額の身代金のほか、欧米に屈しない姿勢を世界に誇示する政治宣伝などを目的に、人質の国籍で使い分けている。今回は、日本とヨルダンの人質2人を使って両国の対テロ連携を引き裂く狙いがあるものとみられている。

 「国境なき記者団」(本部・パリ)は先月、昨年1年間で、イスラム国の支配地域があるシリアとイラクで計47人のジャーナリストが誘拐されたことを明らかにした。これは世界で誘拐された記者の4割に当たる数だという。

 過激派に詳しいトルコ人記者は「イスラム過激派たちは、外国の記者たちは全てイスラム国の破壊をもくろむスパイだという基本的な認識をもっている。そのスパイを逆に利用して敵(外国)に打撃を与えるのは正当なことだと考えている」と指摘した。

最終更新:1月31日(土)16時7分

産経新聞

 

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