NY外為(30日):円上昇、米GDP受け世界的な景気減速を懸念
(ブルームバーグ):30日のニューヨーク外国為替市場では円が1通貨を除くすべての主要通貨に対して上昇。昨年10-12月(第4四半期)の米実質国内総生産(GDP)成長率が市場予想を下回ったことから、グローバルな減速が影響をもたらしているとの観測が強まった。
対円で上昇したのは主要通貨中、ノルウェー・クローネだけだった。ノルウェー中央銀行は自国通貨買いを拡大すると明らかにした。ロシア・ルーブルは一時4.5%下落。ロシア中央銀行は市場予想に反し利下げに踏み切った。
ラングリーンズ・キャピタル(コペンハーゲン)の創業者で最高経営責任者(CEO)のピーター・ラングリーン氏はニューヨークでのインタビューで「ドル上昇の勢いがやや弱まってきた」と指摘。「経済は前進しているが、期待されているほどペースは速くない」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで前日比0.7%高の1ドル=117円49銭。週間ベースでは0.2%上昇。円は対ユーロで前日比0.9%高の1ユーロ=132円65銭。
ロシア中銀はリセッション(景気後退)が迫る中で、政策金利を2ポイント引き下げた。
JPモルガン・チェースのボラティリティ指数 は2013年6月以来の高水準付近となっている。
チャプデレーン(ニューヨーク)の為替責任者、ダグラス・ボースウィック氏は電話取材で「ボラティリティが戻ってきた。きょうのGDPのように予想ほど良好でない数字は不透明感を生む」と述べた。
米GDP米商務省が発表した第4四半期のGDP速報値は前期比2.6%増。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は3%増だった。前四半期は5%増と2003年以降で最も高い伸びだった。
経済全体の約7割を占める個人消費は第4四半期に4.3%増と、予想(4%増)を上回った。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズの市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏(ワシントン在勤)は「GDP統計が軟調だったことは、ドルが大きく上昇した分の利益を一部確定するきっかけとなった」と指摘。円の上昇は「ドルに対する強気な見方が一部後退したことに加え、リスク回避の動きが重なったためだ」と述べた。
金利先物市場の取引動向によると、今年12月のFOMC会合までにフェデラルファンド(FF)金利が少なくとも0.5%に引き上げられる確率は59%。29日時点では67%、昨年末時点では86%だった。
ブラード総裁の見解米セントルイス連銀のブラード総裁は米金融当局は景気の拡大と失業率の低下に伴い、年央までに利上げを開始する可能性があると述べた。
ブラード総裁は30日、ブルームバーグのインタビューで、「市場参加者は金融政策に対して当局以上にハト派的な見方だ」と述べ、当局の利上げ見通しを「市場はそのまま受け止めていい」と続けた上で、6月あるいは7月に利上げを見込むのは「妥当だ」と言明した。
原題:Yen Gains in Global Rout on Concern Economic Slowdown Hits U.S.(抜粋)
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更新日時: 2015/01/31 08:01 JST