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 人質となったヨルダン軍パイロットは生きているのか。生存の証拠を示すよう強く求めるヨルダン政府に対し、過激派組織「イスラム国」からの具体的な反応はない。フリージャーナリスト後藤健二さんの救出にも直結する条件だ。膠着(こうちゃく)状態が続く交渉に、ヨルダン世論はいらだつ。

 「サジダ・リシャウィ死刑囚の命は『イスラム国』次第だ」。人質交換の「期限」が迫っていた29日午後、ヨルダン治安当局高官は地元メディアに語った。「イスラム国」が、拘束しているヨルダン軍パイロットのムアーズ・カサースベ中尉を殺害すれば、リシャウィ死刑囚の刑を執行することを示唆したものだ。

 「イスラム国」が「ボールはヨルダン側にある」としたのを投げ返した形。だが、期限から丸1日が過ぎても「イスラム国」は沈黙している。

 過激派に詳しいエジプトのジャーナリスト、サラ・ディーン・フセイン氏は「敵を不安に陥れ、心理的にもてあそぶのは『イスラム国』の常套(じょうとう)手段だ」と指摘する。

 カサースベ中尉の生存の証拠を求めたヨルダン政府に対し、「イスラム国」は生死を明かさない。ヨルダンが焦りを見せれば見せるほど、「イスラム国」は弱みにつけ込んで新たな条件を切り出してくることも考えられる。