イロニカ(皮肉)と、イタリア語で命名されたイロニカチェア。 ウィンザースタイルを模した形。デコレーションを極限まで排しても、紛う事無きウィンザーチェア様式となっています。座面がサドル型にえぐれておらず、背もたれも最小限の表現、新たに解釈されたミニマル ウィンザースタイルのイロニカチェアです。素材にはビーチ材(ブナ)を使用しています。粘りが強く割れにくいので、曲げ木家具にピッタリの素材です。性能だけでなく、その木目もきめ細かく美しい仕上がりとなっています。

イロニカチェアはベーシックな風貌ですが木製による技術を駆使して細部にまで使いやすさにこだわった結果発表された椅子です。クラッシックな背もたれと座面のバランスが優雅でそこからのびる丸みを帯びた剛健な脚部というクラフトマンシップあふれるチェアです。 背もたれから座面に脚部は大きさや位置のバランスは一点の狂いもない流れるようなフォルムを保っている。木製がここまで完璧なフォルムを実現できたかと、ただ圧倒されるイロニカチェアです。 ミヒャエル・トーネットは積層材を用いた曲げ木技術を一から手探りで探り出し発明に至った経過には当方もない試行錯誤があったでしょう。その心血を注いで製作されたのがイロニカチェアだったのです。

背もたれ頭部は持ち運びしやすくするために手持ち部分を彫、背面から座面にかけてのフォルムは座った時に人体な沿う様に 曲線や窪みを設けています。デザインと機能が両立した椅子なのです。 19世紀にデザインされましたが流行に全く流される事なく、愛用者が今でも増え続けるイロニカチェアは 現在の椅子デザインの基礎を築いた名作で一生ものの生活の為の椅子となるはずです。

デザイナーのミヒャエル・トーネットは19世紀初頭に積層材を用いた曲げ木技術の開発をし、曲げ木技術による美しい椅子を大量に製作した。美しい素材、美しい技術に果敢に挑戦し続けたデザイナーです。