国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請した。日本航空と全日本空輸を中心とする体制に風穴を開けようと、政府の後押しも得て参入したが、20年弱での挫折である。

 民間投資会社の支援で運航を続けながら、大手2社との業務提携も視野に再建を目指すという。航空会社にとって安全の徹底は最低限の責任だ。関係者全員が肝に銘じてほしい。

 格安航空会社(LCC)が台頭するなかで、スカイマークが売りにしてきた「安さ」が強みを失いつつあった。その打開策としてもくろんだ国際線への進出は頓挫し、航空機を納めるはずだった欧エアバス社とトラブルに陥った。経営を主導してきた西久保慎一社長の退任は当然だろう。まずは足元を固め、戦略を練り直してほしい。

 スカイマークの動向とともに気がかりなのは、わが国の国内航空の競争の行方である。

 スカイマークなどの参入で価格(運賃)競争がやっと本格化した路線は少なくない。航空会社にとってドル箱でもある羽田空港の発着路線で、大手2社以外の「第3極」を維持・拡大していけるかがカギになる。

 スカイマークと同様に羽田便に参入した地域航空3社は、いずれも単独での経営を断念し、全日空から出資を受けている。LCCが少しずつ力をつけてきているが、大手2社のグループ企業が中心だ。

 国土交通省が進めてきた航空分野の自由化は大原則だ。ただ、その結果が寡占では利用者利益の実現が怪しくなる。大手2強と羽田一極集中という国内航空の特殊性を踏まえ、どうかじ取りするのか。国交省の役割と責任は小さくない。

 その際のキーワードは「透明性」だろう。関係業界だけでなく国民の納得を得るには、政策判断の過程と理由を明らかにすることが欠かせない。

 国交省は自らの姿勢を省みるべきだ。スカイマークを巡っても、日航との提携方針を打ち出した際に太田国交相が「厳しく判断する」と語り、全日空を巻き込む方向に事実上誘導した。

 民主党政権のもとで破綻(はたん)しながら劇的な再生をとげた日航に対しては、かつて蜜月関係にあった自民党の厳しい姿勢が目につく。そんな政治状況への配慮がなかったと言い切れるかどうか。日航だけとの提携が公平な競争を妨げると考えたのなら、きちんと説明するべきだ。

 スカイマークとともに頓挫した空の競争を立て直すには、国交省が「政治」との関係を見直すことが出発点となる。