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スカイマーク破綻 支援元に全日空、楽天、ソフトバンクも浮上 国交省の航空行政頓挫

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スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)
 国内航空3位で経営不振に陥っていたスカイマークが1月28日夜、自力での経営再建を断念、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請し、受理された。東京地裁は監督委員に多比羅誠弁護士を選任した。投資ファンドのインテグラルが当面の資金を融資する方針で、運航は継続する。

 スカイマークの負債総額は710億8800万円だが、欧州のエアバスから求められている最大7億ドル(約830億円)の違約金など、簿外の債務を含めると1000億円を超える見通しだ。格安航空会社(LCC)との競争に敗れ、局面を打開するためにエアバス「A380」6機を総額1915億円で購入する契約を結んだが、この拡大路線が完全に裏目に出た。

 生き残りを図るため、日本航空、全日本空輸との3社による共同運航を模索したが、交渉が長引き、実現する寸前に自己資金が底をついた。日航、全日空は今週中にも共同運航を申請する予定だったが、民事再生法の申請で先送りされることになろう。しかし、「民事再生法の申請は想定外だが、運航が続く限り共同運航は可能だ」との声もあり、スカイマークが持つ羽田空港の発着枠(36枠)は、依然としてドル箱なのである。

「空の風雲児」と呼ばれ、IT起業家からエアラインに転身した同社筆頭株主で社長の西久保愼一氏は、1月28日に開いた臨時取締役会で社長を退任した。後任には日興証券(現SMBC日興証券)OBで、スカイマーク取締役の有森正和氏が同日付で就任した。

●憶測広まるスポンサー選び


 今後は多比羅弁護士とともにスポンサーを選定し、再生計画をまとめることになるが、スポンサー選びは大口債権者の意向が強く反映されるため、エアバスと米航空機リース大手イントレピッド・アビエーションの2社がカギを握るとみられている。また、西久保氏は社長を引責辞任したとはいえ、大株主として経営に影響力を残している。

 航空業界にはエアバス―全日空密約説が流れており、国土交通省の後押しで全日空の持ち株会社、ANAホールディングスがスポンサーになるとの見方が出始めている。また、リース大手や海外の大手エアライン、LCCの雄として名を馳せるマレーシアのエアアジアもスポンサー候補に上がっているほか、ソフトバンクや楽天の名も業界内では浮上している。

 つなぎ融資に名乗りをあげたインテグラルは、アパレルのワールドのMBO(経営陣による買収)などを手掛けた佐山展生氏が率いる投資ファンドである。

 スポンサー選定が経営再建への第一歩だ。その重要な役割の一翼をインテグラルが担うことになる。インテグラルに関しては、昨年12月31日当サイト記事『QBハウスが世界進出加速でグローバル企業に変身?あの豪腕投資家が挑む』において、低価格・短時間で散髪するヘアカット専門店「QBハウス」を運営するキュービーネットを100億円強で買収すると報じた。M&Aの助言者として実績のある佐山氏がカギを握ることになろう。