深夜が期限 ヨルダン政府は公式な反応出さず1月29日 18時25分
イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織に拘束されている後藤健二さんを名乗る男性の声で、29日朝、新たな音声メッセージがインターネット上に投稿されました。
男性の声は日本時間の深夜までにヨルダンで収監中の死刑囚をトルコ国境に連れてくるよう求めていますが、ヨルダン政府は今のところ公式な反応を出していません。
日本時間の午前8時ごろ、「イスラム国」とみられる組織に拘束されている後藤健二さんを名乗る男性の声で、新たな音声メッセージがインターネット上に投稿されました。
メッセージは英語で、現地時間の29日の日没まで、日本時間の深夜までに後藤さんと引き換えになるサジダ・リシャウィ死刑囚をトルコ国境に連れてくることを求めていて、応じなければ「イスラム国」が拘束しているヨルダン軍のパイロットが直ちに殺害されると述べています。
現地対策本部があるヨルダンの首都アンマンの日本大使館は、メッセージが明らかになった直後から慌ただしく動いていて、指揮に当たっている中山外務副大臣は、日本時間の29日午後4時ごろ、記者団に対し「政府一丸となって救出に向けて頑張る、この目的を完遂するだけだ」と述べました。
一方、ヨルダン政府は、新たな音声メッセージが出たあと公式な反応を出していませんが、ヨルダン軍は日本時間の午後3時ごろ、ウェブサイト上で軍のスポークスマンの話として「パイロットが私たちの優先事項だ。新しい音声メッセージを確認しているところだ」と伝えています。
また、ヨルダンの国営テレビは、日本時間の29日午後のニュース番組で、モマニ・メディア担当相の話として、「ヨルダン軍のパイロットが無事に解放されれば、リシャウィ死刑囚を釈放する用意がある」と改めて伝えているだけで、新たな音声メッセージについては触れていません。
後藤さんを名乗る男性の声によるメッセージが、具体的な場所を指定してきたのは初めてですが、トルコ国境のどこなのかなど地名は指定されていません。
こうしたなか、トルコ南部のシリアとの国境にあるアクチャカレの検問所では、日本時間の午後4時現在、国境を行き交う人たちに加え、多くの日本やトルコのメディアが集まっています。
アクチャカレは、これまでも「イスラム国」に拘束されていたトルコの総領事館の職員やフランスのジャーナリストが解放された場所で、ここで引き渡しが行われるのではないかとの臆測が広がっています。
後藤さんを名乗る男性の声が引き渡しの期限とした「現地時間の日没」は「イスラム国」が実効支配しているイラク北部の都市モスルの日没時間で、午後5時半ごろ、日本時間の午後11時半ごろとみられています。
期限の時間が迫るなか、現地の対策本部はヨルダン政府と連携するなどして後藤さんの解放に向けた交渉を進めていくとしています。