韓国:李前大統領回顧録「慰安婦問題解決は9合目越え…」

毎日新聞 2015年01月29日 20時26分

 ◇「最終的解決前に野田首相が衆院解散で合意できず」記述

 【ソウル大貫智子】韓国の李明博(イ・ミョンバク)前大統領が2月に出版する予定の回顧録で、従軍慰安婦問題について、2012年11月の日韓首脳会談で最終的に解決することで合意していたが、会談数日前に野田佳彦首相(当時)が衆院を解散したため合意できなかったと明らかにしていることが分かった。水面下の協議は李前大統領の側近と、斎藤勁官房副長官(同)が行い、「慰安婦問題の解決は9合目を越えていた」という。合意事項は、(1)野田首相が元慰安婦に謝罪の手紙を送る(2)日本政府の予算で元慰安婦に補償をする−−との内容だったとしている。

 野田前首相は昨年1月、毎日新聞のインタビューで、斎藤氏の韓国側への提案について「僕が認めて、これでやれといった話ではない」と述べ、合意直前だったとの報道を否定している。

 李前大統領は回顧録で、12年8月の竹島(韓国名・独島)上陸について、上陸の4日前に青瓦台(大統領府)で開いた会議で、「上陸すれば竹島が紛争地域との印象を与えてマイナスだ」との意見も出たが、「静かな外交はこれ以上意味がない」と考え、決行したと記述。就任前から大統領任期中に行くべきだと考えており、11年8月にも上陸を検討したが悪天候で延期したという。

 天皇陛下への謝罪要求発言に関しては、日韓のメディアが李前大統領の意図を曲解して報道したと批判。天皇陛下が12年12月、別所浩郎駐韓大使を通じ、「日韓相互の友好関係が深まることを望む」との立場を李前大統領に伝達してきており、天皇陛下との間では誤解はない、と受け止めたという。

最新写真特集