橘玲の世界投資見聞録 2015年1月29日

マダガスカル、治安のよい「アフリカ」観光へ、
知っておくと得するいくつかのアドバイス
[橘玲の世界投資見聞録]

 昨年末にマダガスカルに行ってきた。記憶が新しいうちに、ちょっとした観光のアドバイスを。

 マダガスカルはアフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ島で、面積は58万7000平方キロだから、日本(37万8000平方キロ)よりひと回り大きい。

 マダガスカル島は1億~1億5000万年前にアフリカ・インド両大陸から分離したため、キツネザルやカメレオン、『星の王子さま』で知られるバオバブの樹など、独自の進化を遂げた動植物が多く見られることで知られ、近年は日本でも人気の観光地になってきた。

 人種的には、マダガスカルのひとたちは紀元1世紀頃にボルネオからやってきた海洋民族マレー人の子孫で、サブサハラ(サハラ砂漠以南)のアフリカ大陸の黒人とはちがって小柄だ。

 マダガスカルはもともとイスラーム圏の商人が交易に利用するだけの辺鄙な島だったが、17世紀にフランスが進出し、その後の植民地化でフランスの世界戦略の拠点のひとつとなった。公用語はフランス語だがローカル言語はマレー語に近いマダガスカル語で、1960年の独立以降はインドとの関係を深めている。その意味でマダガスカルをアフリカの一部と決めつけることはできないが、日本人旅行者にとっての魅力が、私たちが漠然と思い描く「アフリカ」にあることは間違いない。

 貧しくともたくましく生きるひとたち、子どもたちのはじけるような笑顔、崩壊したインフラ、混沌と混乱、社会の矛盾――そうしたものすべてが、マダガスカルにはある。

マダガスカルのシンボル、バオバブ           (Photo:©Alt Invest Com)

 

ビザ

 マダガスカルを訪れる観光客が最初に戸惑うのはビザだ。

 在日マダガスカル大使館のホームページによれば、観光・商用の短期滞在(滞在日数90日以内)には短期滞在用ビザの取得が必要で、ビザ申請1件につき1万2665円の申請料金がかかる。

 このビザは大使館以外にマダガスカル入国時にも取得可能だとして、以下のような説明が書かれている。

「空港または港での入国時に仮短期ビザの取得が可能です。ただし入国より72時間以内に、内務省にてビザの延長手続きを取る必要があります。」

 この記載には、じつは重要な情報がひとつ欠けている。それは、ビザを入国時に取得すれば「無料」だということだ。

 首都アンタナナリボ国際空港の入国管理では、次の3種類のビザが案内されていた。

① 2~3カ月 77ユーロ
② 30日超~2ヶ月 55ユーロ
③ 30日以内 無料


 ほとんどの観光客は1カ月もマダガスカルに滞在しないだろうから、そのまま入国審査の列に並んで入国スタンプを捺してもらえばいいだけだ。30日を超えて滞在するときはビザの延長手続きが必要になるが、これも大半の観光客には無関係だろう。

 日本でのビザ申請料金(1万2,665円)がほぼ77ユーロに相当することから、記載されているのが90日(3カ月)以内の短期滞在ビザで、これが正規料金だと推察できる。ところがなぜか、空港では60日(2カ月)以内の55ユーロのビザと、30日(1カ月)以内の無料のビザも発行されている。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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