1月15日にソフトバンクが、続いて19日にau、そして23日にドコモが発表したことで、役者が出そろった通信キャリアの学割商戦。“学割”と言いながら、よく見ると学生じゃなくても25歳以下なら加入できるなど、実は各社大きく内容が異なっている。まずは、各社の基本的な学割プランを確認してみよう。
◆ドコモ「U25応援特割」
対象ユーザーは、新規契約・MNPで「カケホーダイ&パケあえる」を契約した25歳以下(面倒なので以下、学生)・家族で、割引内容は学生の場合「カケホーダイ&パケあえる」が1年間月々1850円割引(月額850円)、その家族は「カケホーダイ&パケあえる」が1年間月々1350円割引(月額1350円)になる。また、1年経過後も学生は「U25応援割」が継続され、月々500円割引および1GBのボーナスパケットが26歳の誕生月まで提供される。もちろん、こうした割引を受けるには、家族で10GB以上の「シェアパック」への加入が必要だ。加入しない場合、学生に月額500円割引の「U25応援割」のみ適用される。
◆au「auの学割」
対象ユーザーは、新規契約・MNPで「カケホとデジラ」または「LTEプラン(旧プラン)」を契約した学生・家族で、割引内容は「カケホとデジラ」の場合、学生本人が2年間、家族は2年間(新規の場合、家族は1年間)、それぞれ月々1500円割引になる。「LTEプラン」の場合、学生本人も家族も3年間(新規の場合、家族は1年間)、それぞれ基本料金の934円が無料になる。また「auスマートバリュー」に加入した場合、さらに最大2年間、毎月1410円割引になる。こちらも「データ定額」5GB以上への加入は必要だ。
◆ソフトバンク「家族の学割」
対象ユーザーは、新規契約・MNPで「スマ放題」または「ホワイトプラン(旧プラン)」を申し込んだ25歳以下(以下、学生)・家族で、割引内容は「スマ放題」の場合、学生本人が26歳になるまで学生も家族も毎月500円割引になり(新規の場合、家族は2年間)、データ定額パックも毎月1GB追加される(新規の場合、家族は2年間)。「ホワイトプラン」の場合、学生も家族も2年間月々1000円割引となる(新規の場合、家族は1年間)。
各社の学割の内容を一見すると、ドコモの割引額がもっとも多く見える。しかし、これを2年縛りで新プランの料金で比べてみると、下の表のような結果に。
⇒【資料】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=788470
ドコモは、最初の1年経過後は、学生の割引額が500円と3分の1に縮小され、家族の割引がなくなってしまう。auは、もともとの割引期間が2年間なので、MNP利用の場合、学生も家族もそれぞれ3万6000円の割引が受けられる。ソフトバンクは、2年間で見ると学生も家族もそれぞれ1万2000円の割引にとどまり、一見お得感が低いように見えるが、MNP利用の場合、学生である子供が26歳になるまで、ずっと学生も家族も年間6000円の割引を受けられる。このように似たようなネーミングのプランでも、利用する期間によって、お得なキャリアが異なるわけだ。とはいえ2年縛りがある以上、もっとも現実的なのは、2年ごとにキャリアの乗り換えを検討すること。そうなるとauのお得感が高い。
さらに細かく見てみると、ドコモは旧プランがなく通話定額プランにしか選べないため、通話定額を利用しないという選択ができない。家族単位で考えた場合、全員が通話定額プランに入らなければいけないとなると、旧プランが選べないのはお得ではないだろう。
その点、旧プランとの組み合わせも可能なauやソフトバンクのほうが、家族の利用実態に即したプランを組みやすく、学割の恩恵を受けやすい。極端な話、ソフトバンクのMNP利用で、“子どもの26歳の誕生月まで割引が受けられる”という恩恵を最大限活かそうと思うなら、子どもが小学校入学と同時に契約すると、その後20年近くも学割の恩恵を受けることができる(現実的に、そんな小さな子にスマホを持たせる必要があるかという問題はあるが)。まあ、キャリアをいちいち変えるのが面倒という人にはいいかもしれない。
一方のauは、25歳以下に対象を広げたドコモやソフトバンクと異なり、あくまで対象は学生だが、これまでは重複して適用できなかった「auの学割」と「auスマートバリュー」を同時に適用できるようになった結果、例えば家族3人がそれぞれ通話定額と5GBパックを契約しても、月々1万5000円程度で収まる。さらにデータギフトを使えば、余ったデータを家族に分けられたり、旧プランを適用すれば、もっと月額料金を抑えることもできるなど、お得感が高いと言える。実際、2年縛りで考えるとauの割引額がもっとも大きいわけで。
このような状況の通信キャリアの学割商戦だが、光回線サービスとのセット割引などで状況は一変する可能性もある。いずれにしろ、ユーザーにとって割引が拡大されるのはいいことなので、今後も注目が必要だろう。 <文/日刊SPA!取材班>