「ブラック企業」が継続困難な理由 労働人口減で人材不足に (1/2ページ)

2015.01.29

連載:経済快説


労働条件の改善と全店舗での深夜営業再開を打ち出した「すき家」【拡大】

 長時間労働を事実上強いる企業はすべて「ブラック企業」か。

 そうではあるまい。(1)内部昇進のチャンスが十分ある(2)そこで働くことで人材価値が上がる(3)成果に応じて高額報酬をもらえる、といった条件を満たしている会社はブラック企業ではないと筆者は思う。

 上記3条件のうち、2条件を十分満たしているなら、むしろ「いい会社」だろう。金融、公務員、コンサルティング、マスコミなど、就職人気の高い職場の若手社員が置かれる状況はこれに近い。ちなみに、就活者向けに「いい会社」の条件をまとめるなら「優秀な人が多くて、忙しい会社」が、そこで働く自分のためになるいい会社だ。

 ブラック企業のビジネス・モデルを定義すると「社員が辞めても代わりの労働力を安価に調達できるポジションを背景に、社員を低賃金で長時間使い、使い潰すことをいとわない経営方針」となる。大量の採用候補者がいる職種となると、必然的に熟練をあまり要しない、仕事をマニュアル化することが容易な外食や販売などの職種が多くなる。しかし、ブラックという評判は、企業にとって社員募集や顧客から見たイメージに悪影響を及ぼす。

 一時、ブラック企業と名指しされたワタミは、昨年11月に9月期の中間決算を発表する際に、年度内に約2割のグループ飲食店の店舗を閉鎖すると発表した。同社が、労働条件を改善する目的とともにあげた店舗の大量閉鎖の理由は、人手不足による人材確保の難しさだった。

 

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