2015-01-29 大学で得た「今、もっとも役立ってること」って何?
「貧しい家庭の子供は大学進学率が低い。親の貧困が教育格差を通して連鎖する!」って主張してる人に、
「で、あなたが大学で学んだことで、今、いちばん役立っていることは何ですか?」って聞くと、
返ってくるのは、「それって授業料の対価として得られたものじゃないですよね?」みたいな答えが多い。
大学時代にクラブや NPO などに参加し、課外活動で学んだとか、
大学時代にアルバイトで学んだとか、
大学時代に起業して学んだとか、
大学時代に海外を放浪して学んだとか、
大学時代にたくさん本を読んで学んだとか、
そんなんばっかりで、
「いやそーじゃなくて、大学に授業料を払うことでしか手に入らないもので、人生でめっちゃ役立ってることは何なんですか?」って聞き直すと、
「えっ? えー、えーっと」みたいになったりする。
別に NPO もスポーツも放浪も起業もアルバイトも読書も、大学なんか行かなくてもできるんだから何の問題もないじゃん。
★★★
大学時代にかけがえのない仲間と出会った、とか、
周囲にスゴイ奴が多くて刺激を受けた、とか言うのだって、
大学に行くかわりにベンチャー企業にでも入ってれば、もっと多くの「スゴイ仲間」に会えたのでは? 議論だって大学より圧倒的に密度が濃く、活発だよ。
別に今時のベンチャー企業じゃなくても、日本は地方の零細企業の町工場にだって、やたらと「スゴイ人」がいる国なんだから、大学なんか行くよりそっちで働いたほうが、よほど「すげえっ!」って人に会えるんじゃない?
「貧困家庭の子供が大学に行けないことで、生きる上で不利益を被ってる」というのなら、「大学に行って手に入る、そんなスゴいものって一体なによ?」っていう問いにきちんと答えて欲しい。
もしも、その「価値あるもの」が「卒業証書である」=「大卒である証明。もしくは、どこの大学を卒業したか、という証明書である」というのなら、
「価値に応じた価格」について、よく考えるべきだよね。
だって誰でも知ってるように、卒業証書の価値には大学によって大きな差があります。だから「価値ある卒業証書」なら、大枚はたいて手に入れてもいいけど、価値の低い卒業証書を大金払って手に入れる必要はまったくない。
しかも日本は(アメリカと異なり)、「価値ある大学卒業証書」ほど安く売られてる。民主的な国なんです。
だから、「東大に受かった。でも学費がないから進学できない」って子がたくさんいるなら、そういう子に「返済義務のない奨学金を!」という提案も理解できるけど、
「名も無い大学に受かった。でも学費がない」って人に学費援助をしても、儲かるのは「名も無い大学」だけでは?
当の本人はそのお金と引き替えに、何を得られるの? (←当エントリ最初の質問)
その大学にいけば就職に困らないとか、生きるに困らないとか、そういうコトがほんとに期待できるわけ?
★★★
東大生の親はみんなお金持ちだって?
塾や(授業料の高い)有名私立高校に行けないから東大にいけないのだと言うのなら、地方の国立大学にいけばいーじゃん。東大を出たら成功できるけど、東北大学や広島大学だと成功できないわけ?
「いやいや、塾にいかないと東北大学も合格できないのだ!」って?
だとしたら必要なのは奨学金じゃなくて、公立高校の教育能力でしょ。そっちを改善した方がいいと思います。
★★★
世界でも日本でも、MOOC (Massive Open Online Course)とかいって、大学はどんどん授業を外部に公開し始めてる。
高校を出てスグじゃなくても、働き始めてからでも勉強できるし、いわゆる授業の中身については、授業料を払わなくても手に入るようになるわけです。
大枚はたいて大学に行く価値は何なのか?
みんなもーいっかい、よーく考えたほうがいい。
もしも「みんな行ってるから行ってるだけ」なら、そのうち行かない人が増え始めたら「行かない人も増えてきたから行かない」→「みんな行かないから行かない」に変わっていく可能性は、十分にあるんじゃないかな。
そんじゃーね。
<参考サイト>