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<核燃再考>格差 六ケ所村羨望の的/原子力マネー(2)

交付金で整備された六ケ所村泊地区のイベント広場。朝市は大勢の人出でにぎわった=昨年11月8日午前7時ごろ

<断トツ480億円>
 1玉80円のキャベツが山と積まれた軽トラックに人が群がった。青森県六ケ所村の海沿いにある泊地区の朝市。冬場を除いて毎月開かれる。昨年11月に訪ねると、主催する村商工会の木村豊治事務局長は「村で採れた鮮度抜群の食材が自慢。朝市は住民に喜ばれている」と胸を張った。
 会場のイベント広場は2003年、電源3法交付金の約3億527万円で整備された。同じ場所で1986年、使用済み核燃料再処理工場の建設に反対する漁師と、機動隊がにらみ合った。
 逮捕者を出し「泊沖海戦」とまで呼ばれた因縁の地だが、食材を抱えた元漁師の男性(82)は「広場ができて多くのイベントを楽しめる。核燃の争いは昔の話だ。思い出したくない」と家路を急いだ。
 1981〜2013年度の累計で村に入った交付金は約480億円。県内では15市町村が原子力関連の交付金を受け取っているが、村の総額は2位のむつ市を約130億円引き離し、断トツだ。
 村は10年度までに、交付金21億4280万円を使って、全世帯にテレビ電話を設置した。同じく交付金で建設した村中心部の文化交流プラザ「スワニー」では、世界的なアーティストが度々コンサートを開く。

<交付7分の1>
 「六ケ所村はうらやましい」。隣の野辺地町の中谷純逸町長は羨望(せんぼう)のまなざしを向ける。
 原子力関連の交付金を受け取っているが、総額は六ケ所村の約7分の1。消防署の人件費や給食センターの維持管理費でほとんど消える。人口は約3400上回るが、町の本年度の一般会計当初予算は約64億円で、六ケ所村の予算約133億円の半分に満たない。
 東北電力東通原発(東通村)の30キロ圏内に入る町は東日本大震災後、国から防災計画の策定を義務付けられた。使用済み核燃料再処理工場は同原発よりもさらに近い。重大事故が起きれば、町は壊滅的な被害を受ける可能性がある。
 中谷町長は「福島の事故を見れば、ここも高濃度の放射能汚染が懸念される。原子力施設の隣接自治体への交付は、立地自治体の7〜8割が妥当ではないか。格差是正の議論は必要だ」と訴える。

<最大で13倍も>
 原子力施設が立地する六ケ所、むつ、東通、大間の4市町村に隣接するのは、三沢、野辺地、佐井など6市町村。県のまとめた数字から交付総額を比べると、立地市町村は隣の各自治体の約13〜3倍になる。
 震災を機に、交付金制度の抜本的な見直しを求める声が出ているが、県幹部は「県内では全国的に珍しく、原子力施設に隣接する自治体のさらに隣の市町村にまで交付金が落ちている。すでに格差に配慮していることを理解してほしい」と話した。


2015年01月29日木曜日

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