前回の記事の末文twitterにおいて、おときた都議のブログでの「いち地方議員である私には残念ながら、今回の事態にできることは何もありませんが」との発言を「モスクに行ってムスリムとの連帯を表明する」ぐらいしたらどうかと批判した。これに対し、都議は今夕の訪問を決断されたが、その経緯及びその傑出性を論じたい。
1.筆者の批判とおときた都議の見事な対応
筆者の批判は、要約すれば以下の内容である。
・彼の主張する理由でのテロに屈するな論は見当違いだ
・そもそも、そうした専門外のことを書く時間があれば、
 (1)今後発生する蓋然性の高い、都内のテロ対策
 (2)国内のイスラム教徒との交流・啓発活動・連帯によって、彼らの差別と孤立化を食い止め、テロ実施者と協力者を生み出すことを防ぐ。併せて、彼らからの広い意味でのテロ情報の協力を可能とするための基盤作り
の2点の推進、議会質問での実施を行うべきだ。
・後者については、日本最大のモスクたる東京ジャーミィを訪問すればよいので、すぐ出来るはずだ。
・そして、モスクを訪問して、ムスリムたちと意見交換するなり、連帯を唱えるべき。
・ブロガーとして評論家ぶる前に、都議としてテロを未然に防ぐために行動すべきだ。

かなり辛辣かつ無礼な表現で書いたが、これに対し、おときた都議よりtwitterで返信があり、やりとりを行った。
なんと、東京ジャーミィを今夕訪問するというのである。

2.おときた都議の傑出性
都議への返信でも書いたが、彼の強靭な行動力、職務に対する真摯さ、底知れぬ懐の深さ、計り知れない自制力には感服するしかない。

政治家としては、PR会社作成の対応マニュアルを実行しているだけにしか見えない小泉進次郎議員よりも遥かに素晴らしいと思う。

何故ならば、彼がモスクに行くことになれば、初のムスリムとの連帯を訴えてモスクを訪問した政治家になるからだ。欧州では、こういう事態が起きれば、政治家がモスクを訪問し連帯を訴えることはしばしば行われる。

例えば、先日のフランスのテロの直後には、ドイツの法務大臣がベルリンのモスクを訪問し「そもそも今はテロに対して共にそれを阻止する時だ。社会が分断されることや、ムスリムが疎外されることを許してはいけない」と訴えた。

だが、我が国ではそうしたことを行う議員はいない。よいPRになるし、何よりムスリムへの差別と孤立化を防止し、それによってテロの実施者と協力者を生み出すことを防ぐことが出来るにもかかわらずである。つまり立派なテロ対策なのだ。しかし、我が国では誰もやろうとしない。

その意味で、おときた都議の傑出性は類を見ず、今回のモスク訪問によって、少なくとも安倍首相他の議員よりもテロの防止に貢献することになるだろう。少なくとも、テロ対策では日本一実績のある政治家である。

ある方は、「政治家だからどうせスタンドプレーだろうという穿った見方もできるかもしれないが、昨今のマスコミや政治家の態度を見慣れていたので、何か新鮮でいいものを見た気がした。」とコメントされていたが、私もまったく同感である。

また、都議はテロ対策の推進をするとされていたが、個人的には以下の点を期待したい。東京都のテロ対策は、ハザードマップの在り方の改善、警察と自衛隊の連携、民間防衛等多岐にわたるが、何よりも防災にも通じるがコミュニティの連帯感の醸成が急務である。一歩間違えれば隣組になってしまうが、隣人同士が互いに知人でなければ、有効なテロ対策は出来ない。これもおときた都議の傑出した発信力と行動力に期待するや切である。

また、「最近の彼はブロガーが本業なのか、都議が本業なのか一都民としてはよくわからない」との当方の発言を撤回し、同時に彼に対し過剰な批判を行ったことをお詫びし、おときた都議の姿勢と行動の傑出性を素直に賞賛したい。

最後に、このような怪しく無礼千万な論者にも丁寧に有権者対応してくださったことを感謝し筆をおきたい。
おときた先生、有難うございました。

付記
貴重なやりとりをもたらしてくれたのもひいては池田先生、石田先生をはじめとする編集部の皆様、そしてアゴラ様のお蔭でございます。心より感謝申し上げます。

站谷幸一(2015年1月29日)

twitter再開してみました(@sekigahara1958)

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