判例本文主文
本件各上告を棄却する。理由
弁護人寺島秀昭の上告趣意及ひ同恵古シヨの上告趣意第一について 所論のうち、憲法三一条違反をいう点は、実質において単なる法令違反の主張てあるから、適法な上告理由に当たらす、憲法二一条一項、二二条一項違反をいう点は、原判決のように、本件「ヒハ・ナチユラル」について、単にその成分のみてなく、その物の形状、外観、販売の際の演述宣伝なとをも総合して、薬事法二条一項二号の医薬品に当たるとし、同法二四条一項違反の罪の成立を肯定しても、憲法の右各条項に違反しないことは、当裁判所大法廷判例(昭和三八年(あ)第三一七九号同四〇年七月一四日判決・刑集一九巻五号五五四頁、昭和二九年(あ)第二八六一号同三六年二月一五日判決・刑集一五巻二号三四七頁)の趣旨に徴して明らかてあるから、所論は理由かなく、判例違反をいう点は、原判決か所論引用の判例(最高裁昭和五六年(あ)第五八号同五七年九月二八日第三小法廷判決・刑集三六巻八号七八七頁)と相反する判断を示したものてないことは明白てあるから、所論は理由かない。
弁護人恵古シヨの上告趣意第二ないし第四について
所論は、違憲をいう点を含め、実質はすへて事実誤認、単なる法令違反の主張てあつて、適法な上告理由に当たらない。
なお、所論にかんかみ検討するに、本件「ヒハ・ナチユラル」の成分、形状、名称、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、特に、販売に際して「このヒハ・ナチユラルは、高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果かある」旨記載したホスターや、これらの疾患、症状に対する薬理作用を示す「治験例集計紙」を添付するなとして、その医薬品的効能効果を演述宣伝している事実なとを総合し
て、本件「ヒハ・ナチユラル」か薬事法二条一項二号の医薬品に当たるとした原判断は正当てある。
よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見て、主文のとおり判決する。
昭和六三年四月一五日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 島 谷 六 郎
裁判官 牧 圭 次
裁判官 藤 島 昭
裁判官 香 川 保 一
裁判官 奥 野 久 之
薬事法違反事件
| 種類 | 最高裁判例 |
|---|---|
| 事件番号 | 昭和59(あ)1280 | 事件名 | 薬事法違反 | 裁判年月日 | 昭和63年4月15日 | 裁判所名・法廷名 | 最高裁判所第2小法廷 | 結果 | 棄却 | 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第42巻4号758頁 | 原審裁判所名 | 東京高等裁判所 | 原審裁判年月日 | 昭和59年9月12日 | 判示事項 | 薬事法二条一項二号の医薬品に当たるとされた事例 | 裁判要旨 | 本件「ビバ・ナチユラル」は、その成分、形状、名称、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、特に、販売に際し「高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果がある」旨記載したポスターや右各疾患、症状に対する薬理作用を示す「治験例集計紙」を添付するなどしてその医薬品的効能効果を演述宣伝していた事実などを総合すると、薬事法二条一項二号の医薬品に当たる。 | 参照法条 | 薬事法2条1項2号、薬事法24条1項、薬事法(昭和54年法律56号による改正前のもの)84条5号 |