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静岡丹那トンネルの工事日誌 遺族が市に20冊寄贈世紀の難工事と言われた一九三四(昭和九)年開通のJR東海道線の丹那(たんな)トンネル(七・八キロ、熱海−函南駅間)の工事に携わった作業員が十一年にわたって記録した工事日誌二十冊が見つかり、遺族が二十八日に熱海市に寄贈した。解読を進める市立図書館嘱託職員の梅原郁三さん(73)は「作業員の工事日記はほかにあるが、十一年の長さで記録している点で貴重。新たな証言になる」と話している。 日誌の一部は、名古屋市港区のJR東海の博物館「リニア・鉄道館」で三月中旬に始まる企画展で一般公開される。 日誌は、トンネル東側の熱海側工事を担当した鉄道工業合資会社の前田恭助さん(一八八七〜一九五二年)が書いた。罫紙(けいし)に墨で書いてあり、二一(大正十)年一月から三一(昭和六)年十二月まで続く。二十冊で推計約四千ページに及ぶ。 丹那トンネルは東海道線の輸送時間短縮を目的に一八(大正七)年四月一日に着工。それまでの御殿場経由の鉄路を熱海経由に変え、観光地・熱海の発展の礎となった。 当初は七年後に完成予定だったが、湧き水で工事が難航し、開通までに十六年を費やした。この間の落盤事故などの犠牲者は六十七人を数え、工事費も当初計画の三倍以上の二千五百万円に達した。 日誌を書き始めて四カ月後に、十六人が死亡する落盤事故が発生。生き埋めになった作業員の救助のため、西側の工事を担った鹿島組や静岡市からの救援班が駆けつけたことを淡々と描写しつつ、日を追って見つかる死者の名が記してある。 ロシアの鉄道技師やアメリカの鉄道協会会長らが視察に訪れたことも記し、工事が国外の関心を集めたことがうかがえる。 孫の前田光延さん(61)、みどりさん(57)夫妻=熱海市福道町=が約二十年前に自宅倉庫で見つけたが、膨大な記述を読み進められず、「このままでは劣化させてしまう」と寄贈した。 ◆全体像解明に期待「再発見・丹那トンネル」の著者で熱海市文化財保護審議委員の加藤好一(よしかず)(65)さんの話 丹那トンネルの史料は鉄道省の文献や当時の新聞に加え、従事者の手記・回想も存在する。だが、大きな事故など特別な事柄に焦点を当てたものが多い。長期間つづった日誌は、日常業務の全体像を明らかにすると期待され、一次史料として貴重だ。六十七人とされる事故死者は、下請けや孫請けを必ずしも含まず、事故死者の全容は今も分かっていない。また、工事は丹那盆地の水枯れを招き、自然や産業に悪影響を与えた。従事者がその点をどう受け止めていたのかも興味深い。 (斉藤明彦) PR情報 おすすめサイトads by adingo
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