スカイマーク:大手、LCCに押され ワンマン経営致命傷
毎日新聞 2015年01月28日 21時18分(最終更新 01月29日 01時11分)
スカイマークが民事再生法の適用を申請した。大手航空会社の寡占に風穴を開けようと政府が1990年代に進めた航空自由化の象徴として誕生してから19年。同時期に新規参入したエア・ドゥなどは既に経営不振によってANAホールディングスの傘下に入っており、大手と格安航空会社(LCC)に挟撃される「第三極」の経営の難しさが鮮明に。退任する西久保慎一社長の大型機大量購入など、ワンマン経営の失敗が致命傷になった。
◇西久保社長は退任
スカイマークは、日本航空、全日本空輸などの既存の大手航空会社に対抗する新興航空会社として96年に創業した。航空自由化で、運賃が認可制から届け出制になったことを受け、安さを前面に打ち出し、注目された。
しかし、価格競争の激化で赤字が続いたため、2003年にIT関連企業の創業者だった西久保氏の出資を受け、債務超過を解消した。西久保氏は04年に社長に就任。赤字路線からの撤退と、羽田−新千歳(札幌)など収益力の高い路線への集約でコストを下げ、経営を安定させた。一方、滑走路の誤進入など安全面の問題を立て続けに起こしたとして、12年に国交省から厳重注意を受けるなど、公共交通の経営者としての資質を問われることもあった。
顧客流出が進んだのは、LCCが相次ぎ参入した10年代以降。このため昨年、安さ以外に「機内の快適性」を売り物にする作戦に出る。従来運航していたボーイング社「B737」より1席当たりの面積に余裕があるエアバス社の「A330」を導入した。これが誤算だった。客室乗務員にミニスカートを着用させ、物議を醸したばかりでなく、円安による燃料費高騰で、運航コストが膨らんだ。
業績悪化からエアバス社の超大型機「A380」6機の購入をキャンセルせざるを得なくなった。7月に違約金7億ドルの支払いを求められ、経営不安が表面化する。15年3月決算(単独)では136億円の最終赤字見込みで、決算書で監査法人は「事業継続に重要な疑義がある」と明記した。さらに、14年12月の搭乗率は54・5%と12月としては過去5年で最低水準を記録。業績不振と客離れの悪循環に陥っていた。【種市房子】