(悲鳴)
(福地信也)グリーンパレス315号室。
何分で来られる?
(携帯電話の音)はい。
何?ドアの外?遅い!早く処理しろ。
(川端武次)紀美が何を…?
(福地)いいから早くしろ!いまいましい女子大生だ。
またいきなり…。
(福地)つべこべ言わず早くしろ!手伝ってください。
何してるんですか?手伝ってください!死体はどう始末するんだ?明日滝川町のゴルフ大会がありますね。
早めに官舎にお迎えにあがります。
途中で死体を…。
紀美の着衣は…。
焼却炉で燃やしておきます。
何してるんですか!手伝ってください!行け!
(車のエンジン音)
(高木順次)おい翔太!お母さんあと何日で帰ってくるんだ?
(高木翔太)50日。
違うよ51日だよ!50日!間違いないの!!そうか?
(翔太)そうだよ!おい翔太!遠くに行くんじゃないぞ!確かにあと50日なんだよな。
遅いな…。
翔太!翔太。
あの2人…?あーっ。
行くぞ!死体の始末がまだ残ってる。
早くしろ!福地署長…?川端助役…?翔太…。
翔太ーっ!翔太ーっ!!
(那須昌子)滝川町の柳澤病院。
(タクシーの運転手)はいわかりました。
1時間前に…クモ膜下出血…?はい。
体調を崩されて入院なさっていたんですが…。
ご主人さまからお手紙を預かっています。
何か予感があったんでしょうか?昨日のことでした。
(順次)「昌子私は今悲痛な思いでこれをしたためている」「君の帰国を目前にして信じられないことが…」「翔太が死んだのだ…」「告別式には間に合うようにとフランスに連絡をとったのだが君はヨーロッパ各国に研修中でかなわなかった」「そのうえ告別式の翌日私は倒れた」「君と会う前に私は今死を予感している」「翔太の死は事故死として片づけられているがそうではない」「翔太は殺されたのだ!」「私はこの目ではっきり見た」「福地警察署長と川端助役が翔太を追いそして翔太が滝つぼに消えた姿を…」《翔太必ず私は復讐する》《順次さんあなたも見ていて》
(司会)皆さまお待たせいたしました。
午後6時になりました。
それではここでふるさと文化センターのコンペで最優秀賞を獲得された建築家インテリア・デザイナーをご紹介いたします。
わが滝川町が東京からこの会場にお迎えした那須昌子さんです。
どうぞ拍手でお迎えください。
(拍手)ただいまご紹介にあずかりました建築家の那須昌子でございます。
このたび滝川町ふるさと文化センターのコンペで最優秀賞をいただきましたことまことに幸せに思っております。
私が文化センターの設計で意識したことが2つあります。
1つは滝川町の大自然です。
この町には多くの自然が手つかずのまま残っています…。
内田君。
(内田)どうもお久しぶりです。
こんばんは。
私滝川中央警察の署長をやっております福地と言います。
はじめまして那須昌子です。
あの私今名刺が…。
いやけっこうですよ。
福地信也さん?そうのぶやではなくしんやです。
いかがですかこの町の印象は?ええ歴史があって自然がすてきで…。
自然しかない。
福地署長さん。
頭脳明せきでしかも独身。
この町は腰掛けでやがて中央に戻って雲の上の人になると評判ですよ。
毎日が味気ない。
この町にはあなたのように才能豊かで女性として魅力のある人はどこを探してもいない。
初めまして。
私この町の役場の助役をやっております川端です。
どうぞよろしく。
初めまして那須昌子です。
昌子さんもしよろしければこの後カラオケなど…。
助役!昌子さんはそういう俗なところは好まれないと思うね。
東京にはいつお帰りですか?あまりにも自然がすてきなのでもう少し滞在しようかと…。
そうですか。
この近くに自然がいっぱいのゴルフ場があるんですがよろしければご一緒に。
川端助役呼んでるよ。
ちょっと失礼。
こんなとこまで取りに来たのか!
(柏木朱里)招待状いただいたの。
だから…。
金は都合できしだい…。
(朱里)やけどしないようにね。
あの人危険な匂いする。
署長さんご機嫌ですね。
(福地)ああ…。
お気をつけて。
危険な匂いする。
さっきの女はこの町のバーのママ柏木朱里。
柏木朱里さん?この町のことならなんでも知ってるらしい。
町の有力者たちと関係してベッドで金になる情報を手に入れるとか。
助役もあの女に貢いでる。
噂です。
(翔太)〔お母さん…!〕翔太…。
夢の中まで福地と川端が…。
大の大人が2人翔太を追ってた…。
何かの線で2人はきっと結びついている。
翔太…。
(滝本英輔)那須昌子さんですよね。
ここで何を?自然を楽しんでいるだけです。
去年翔太という男の子があの滝から落ちて無惨に死にました。
あっ私滝本と申します。
ちょっと散歩しましょうか。
この町は汚れている。
川端という助役に公金横領の噂があるが福地警察署長はなぜか手をつけない。
川端たちとゴルフ宴会癒着している。
そう…。
1年前の女子大生失踪事件…名前は成瀬紀美。
成瀬紀美?柏木朱里の店でバイトしていたがこつ然と姿を消した。
行方不明になったのは1年前のいつごろ?翔太という坊やが死んだその前日からぱったり消息が絶えている。
前の日から…?この町は汚れてるうえに不可解な事件が多くあって危険だ。
自然を満喫する前に去るべきです。
タマ!すいませんここに来るといつもこうなんです。
いいえ。
タマ行くよ。
タマ!《去年の6日…》《7日…》《成瀬紀美が消息を絶ったのは翔太が死んだ前日…》《成瀬紀美さんは6日夜7時過ぎ誰かと会う約束があると言ってバー朱里を早退。
以後誰も紀美さんの姿を見ていない》
(ホステス)ママ近藤さんが歌を歌いたいって言っているのでお願いします。
(朱里)はい。
どうぞ。
成瀬紀美さんってどんな感じの人だったのかしら?そうねこの辺りじゃ派手めね。
じゃあつき合っていた男性も多い?例えばどんな人と?あなた建築が専門なのに男と女の占いでも始めるつもり?ここはあなたのような方がいらっしゃるところじゃありませんの。
・
(客)ママ!次歌うよ。
(朱里)はーい。
お代結構ですからお帰りください。
遅い…。
(仲居)失礼いたします。
お客さまがお出でです。
はい。
はい。
いやあ美しい…。
まあどうぞ。
はい座って!まあ1杯。
ビールでよろしいんですよね?ええ。
昌子さんこの年でこんなことを言うのは恥ずかしいのだが私の頭の中は今昌子さんのことでいっぱいだ。
この間も話したように子供たちはこの町を出ていっているし女房は死んでいない。
恋愛するのに障害はない。
柏木朱里さん…あの方は?あんなやつのことはどうでもいい。
興味金だけ…。
いつでも縁は切れる。
そういえば町の人から聞いたんですけど朱里さんのバーでバイトしていた成瀬紀美さんという女子大生が去年から行方不明なんですって?なぜそんな話に興味を?いえ川端さんがよく成瀬紀美さんとデュエットをなさってたとお聞きしたものですから…。
川端さんの好みの女性なのかなって。
もう忘れた…。
昌子さんそれより私の思いかなえていただけないかな?恋愛したい。
恋愛?すいません。
1本電話かけさせていただいてもよろしいですか?明日福地署長さんとゴルフの約束をしてるんです。
もしもし昌子です。
はっ?はい。
はい。
わかりました。
はい。
では。
失礼しました。
どうかなさいました?福地署長には気をつけたほうがいい。
気をつけるって?あの男の心は氷より冷たい。
そうかしら…。
私には優しくて気も配ってくださるしとてもすてきな男性だと…。
そうやって油断させるんだ。
やつの巧妙な罠だ。
私失礼させていただきます。
人の悪口を言う方嫌いなんです。
いやちょっと待ってくれ。
そんなつもりじゃ…。
誤解だ!触らないでください。
座って。
失礼します。
恋愛したい?川端助役が?ええ。
断定して悪いがこの町で川端助役は最も品のない男性だ。
それが恋愛とは…。
彼は情欲のかたまり。
どうぞお先に。
人が見てますよ。
(ドアをノックする音)7時ジャスト。
約束どおり。
(ドアをノックする音)昨夜は昌子さんを怒らせてしまったので呼んでいただけるなんて夢のようです。
昨夜のことは許していただけるんでしょうか?許すも何も…。
お飲みになります?昌子さん昌子さん!あーっ!昌子さん昌子さん好きです。
好きなんです。
ちょっと待って!誰にも言いませんから!!昌子さん!!やめてください!やめて!!好きなんです。
やめてください!!やめてください。
川端さんやめて!誰にも言いません。
署長…。
大丈夫ですか?昌子さんから電話をいただいてすぐに署を出たんですが…。
電話?署長に…?ふるさと文化センターの打ち合わせをしようと思ってお部屋に呼んだらいきなり…。
こんなこともあろうかと不安で電話を…。
恥ずかしくないのか。
表出ろ!何ですって?冷静になるんだ。
お互いあの女に操られてるとは思わないか?昨夜は助けていただいてありがとうございました。
お話というのは…?ちょっと質問したいことがある。
質問?去年この町で翔太という子供が滝つぼへ落ちて死んだ。
父親の名は高木順次。
子供の死後まもなくクモ膜下出血で死亡した。
高木順次には妻がいる…。
旧姓那須昌子。
あなただ!この町にやってきた目的を知りたい。
どうしました?翔太の復讐のため。
復讐?翔太は殺されたの。
ある人物に追われて滝つぼに落ちた。
ある人物とは?川端助役。
主人が残したメモに翔太が落ちた後滝つぼのほうから逃げてくる男を見たと…。
それが川端助役。
《信じるか…?》《この時点でのターゲットは川端だ。
福地は目撃されていないことにして安心させなければならない》それが事実だとして高木氏はなぜ目撃したことを警察に告げなかったのかな?それは主人のメモに復讐すると…。
私は彼の遺志を継ぐことを決心したの。
この町でふるさと文化センターのコンペがあると聞いて必死の思いで応募した。
川端助役に近づくため。
あなたに近づいたのはいざというときに助けてほしいという願いから…。
私成瀬紀美の失踪事件と翔太のことと何か関わりがあるんじゃないかと…?憶測にすぎない。
警察署長として言う。
事実を突き止めるのはいい。
しかしこの町で法を犯すのは許さない。
タマ!いいから!タマ!《あのとき…》〔行くぞ!死体の始末がまだ残ってる〕〔早くしろ!〕《川端はあのとき凍りついていて滝から離れるのがたしかに遅れた》《そのせいで川端だけが高木に姿を見られたんだ…》《だが那須昌子の言うことをうのみには出来ない》《どう動くつもりなのか?》危ないことがお好きな人ですね。
ここの玉子味がよくしみてほんとうまいんですよ。
女性の方でも3つはいけますからどうぞ。
あなたの正体判ってきた。
尾行して他人の秘密をかぎつけたりする仕事。
探偵かな。
・
(父親)まさひろお前今日はよく食うな。
(男の子)だってお母さんよりずっとおいしいんだもん。
(母親)もうまーくんったら。
(父親)それは言えてるな。
〔翔太の誕生日なのにごめんね〕〔お母さん忙しい忙しいでついあり合わせの材料で作っちゃって〕〔今度おいしいもの食べに行こうね〕〔行きたくないよ。
だってお母さんの料理のほうがおいしいんだもん〕〔翔太お前調子よすぎるぞ!〕
(翔太)〔だって本当だもん〕
(高木)〔そうかー?〕子供って可愛いですね。
妹の子とたまにサッカーやってるんですよ。
これが笑っちゃいけないんだけど顔がサッカーボールみたいで。
危険なことはしないほうがいい!出て行ったほうがいいという俺の忠告を聞かず危険なことをしでかすような気がしてならない。
(川端)那須昌子が成瀬紀美の事件を探っている…。
〔成瀬紀美さんという女子大生が去年から行方不明なんですって?〕そういえばここで俺に紀美のことを…。
何のためにだ?ワケは知らん。
(川端)知らん?ああ。
俺に何か隠してないか?その必要がどこにあるんだ?それであんたにどんなふうに探りを入れてきたんだ?遠回しに…。
いろいろ…。
女性建築家…?もしかしたらあの女がこの町にやってきた本当の理由は紀美のことを調べるため…?
(福地)かもしれん。
とにかくあの女にあおられてつまらないことはしゃべるな。
お互いに身の破滅だ。
(土肥刑事)いつも鳴いてた?
(主婦)そうです。
タマ!よしよし。
じゃああとよろしく。
ご苦労!滝本!やっぱり刑事か…滝本警部補にここを掘り返せと言われまして。
何?
(土肥)原因はあの犬です。
ここ掘れワンワンって言ったんですよ。
冗談言ってる場合か!!本当ですよ。
ご苦労さん!身元は判明しそうか?多分行方不明の女子大生成瀬紀美でしょう。
歯並びに特徴があります。
殺されて埋められたと思います。
《川端と福地署長。
2人の間には妙によそよそしさがある》《あの滝本って男…。
そして成瀬紀美の白骨死体…》あら滝本さん。
朱里さん1年間捜し続けていた成瀬紀美が見つかりましたよ。
そうよかったわね。
でも白骨じゃ。
誰に殺されたか心当たりない?あるわけないじゃない。
ここでバイトしていた紀美は去年の同じ月の6日に消息を絶った。
あんた6日は何をしていた?1年前のことねえ…。
お店にいたはずだけど…。
私が殺したとでも…?動機は?嫉妬…。
あんた川端助役から貢いでもらっている。
その助役が紀美と仲良くしていた。
嫉妬って…。
私が興味あるのはお金だけ。
他にはなんにも…。
川端は紀美を金で買っていたんだろう?あの男じゃ現金でも積まなくっちゃ…。
あ…カラオケの業者さんそろそろ来るころかな…。
おう朱里。
もし警察が紀美のことで何か聞いてきたら…。
助役ちょっと待ってくださいよ。
去年の6日あなたは夜11時すぎに車で出かけて帰宅は深夜の1時過ぎ。
1年前に伺ったとき気晴らしに湖のほうを走らせた。
そう言いましたね。
それがどうした?この間調べて判ったんですが6日の晩あなたの車を町役場に出入りしている造園業者がグリーンパレスの近くで見かけているんですがあんなとこ何しに行ったんですか?お前には答えん。
福地署長にそう言え!翌早朝その福地署長を車に乗せてゴルフ場に行きましたね。
しかし大会開催時間に1時間以上遅れて着いた。
えっ!そりゃどうして?パンクだ…パンクしたんだよ!手を離せ!滝本刑事を何とかしろ…。
それで…彼何と言ってんだ?あいつは俺を紀美殺しの犯人と決めてかかっている。
しつこくいろいろかぎまわって休まるときがない!聞いてるのか!!聞いている。
このままでは俺は犯人にされる。
もしそうなれば俺は紀美を埋めるのを手伝っただけで殺したのはあんただとぶちまける!滝本!君を成瀬紀美事件の捜査から外す。
理由は?川端助役に暴力をふるった。
暴力…?彼の肩にちょっと手が触れただけで…。
言い訳はいらない。
私は捜査を続行しますよ。
気にいらなかったら懲戒免職でもなんでもしてください。
(川端)〔紀美を埋めるのを手伝っただけで殺したのはあんただとぶちまける!〕川端を…。
始末するしかない…。
那須昌子を利用して…?えっ?川端が翔太を追いかけていたわけが判った?私が極秘に入手した情報によると紀美殺しは川端。
たぶん紀美を埋めている現場を翔太くんに見られたんでしょう。
どうします?復讐しますか?ええそれはもちろん…。
手伝いますよ。
どういった方法で復讐しますか?警察署長のあなたが?昌子さん。
あなたのためなら。
《この男は川端に紀美殺しの罪をきせて川端を葬り去ろうとしている》《この女は川端を殺すための道具だ》《川端の死後この世から消えてもらえばいい》川端を自殺に見せかけて殺すというのはどう?自殺…?…なるほど。
2人で協力しあえばアリバイ工作もしやすい。
(川端)極秘の話とは何だ?川端さんあなた成瀬紀美さんを殺して埋めたわね?バカな!…あんた紀美の事件を探ってるみたいだがなぜそんなことを?埋めているところを翔太という少年に見られ滝に追いつめて死なせた。
私は翔太の母。
まさか…!私がこの町にやって来たのは翔太の敵を討つため。
私…必ずあなたを殺します。
ちょっと待ってくれ!俺は…俺は誰も殺しちゃいない。
言い訳はムダ。
福地署長がすべて話してくれたの。
福地…?そう。
福地がそんなことを言うはずがない。
あんたはどうかしてるよ。
じゃ今福地署長に電話して訊いてみたら?どうしたの?本当なのか…?ええ。
そうか…そういう腹か…。
あの野郎!俺1人に罪をなすりつけようと…!紀美を殺したのは福地だ。
福地!!くそ…!あの裏切り者。
人の恩も忘れやがって!どういうこと?よしこうなったら全部しゃべってやる。
あいつが何をしたか…どんな奴かみんなあんたにしゃべってやるよ。
(川端)あいつと出会う数年前から俺は交際費などの公金をかすめていた。
〔今日は少ないのね〕〔いつもうまくいくとは限らんよ〕〔川端さん〕
(カラオケ)
(川端)そのころ新任の警察署長福地信也が現れた。
やり手だという評判に町中の人間が彼を恐れた。
〔君なかなかうまくやってるそうだね〕〔特に交際費〕
(耳うち)〔えっ…紀美を?〕
(川端)俺は福地の意向を紀美に話し金を渡して同意をとりつけた。
そして6日の夜ホテル「グリーンパレス」で2人は落ち合いセックスのいざこざから福地は紀美の首を絞めた。
そして翌日の朝死体を埋めてるところをあんたの息子に見られたってわけだ。
俺は埋めるのを手伝っただけだ。
あんたの子どもを殺そうなんて…。
あんたの本当の復讐の相手は福地だ。
福地を殺すなら手を貸す。
さーてそうなると…殺す方法だ。
…考えついたら連絡する。
裏切りはなしだ。
そうね。
裏切りはなしよ。
大丈夫か?ケガは?バッグが…。
…翔太君が描いた絵ですね?俺が刑事だってことはもう知ってるでしょ?…いつから私が翔太の母と?俺は1年前から成瀬紀美の失踪事件を追っていた。
紀美の事件と翔太君の事件これはつながっているとにらんでいた。
あなたがこの町に現れたのは翔太君を殺した人間に復讐するため。
それはあなたの勝手な思い込み。
私復讐なんて思ってもいない。
だって翔太は事故死だから。
昌子さん。
あなた川端に何か仕掛けたんでしょ?襲ってきた車車種は間違いなく川端の車と同じだった。
川端は危険を感じてあなたを襲ったのでは?疑い深い人ね。
こんな女の身で大の男相手に復讐なんてできるはずないじゃない。
…ずっとあなたを見ていて思った。
あなたはこうと思ったらひるまずに進む一念みたいなものを漂わせている。
昌子さん。
仮に復讐を果たしたとしても翔太君は喜びませんよ。
翔太君はどんな少年でしたか?翔太は…。
〔こんな夜中に…ありがとう翔太〕〔冷たくてとっても気持ちいい〕〔大丈夫よお母さんただのカゼだからすぐよくなるから心配しなくていいのよ〕〔お父さんは?〕〔グーグー寝てる〕〔君が2年間フランスに行ってる間東京を離れて自然と親しもうと思ってるんだけどどうかな?〕〔あらそれは翔太にとってもとてもいいことね〕〔でどっちの方向に行くつもり?〕〔今考えてるのは上田の方だ〕〔あっ〕〔大丈夫か?〕〔薬!〕〔ありがとう〕〔お母さん。
2年経ったら本当にフランスから帰ってくるよね?〕〔うん。
お母さん必ず帰ってくる〕やさしい子だった…。
俺妹の子しか知らないけどもし妹の子が何の罪もないのに殺されたとしたらどうなっちゃうか…。
復讐したいと思うかもしれないけどやっぱりそれは…。
助けていただいてどうもありがとうございました。
そろそろ失礼します。
昌子さん。
翔太君を死なせた奴は俺が必ず逮捕します。
復讐がうまくいったとしてもあなたは殺人者です。
俺は逮捕しなければいけなくなる。
そんなことになったら翔太君が悲しむだけだ。
〔復讐がうまくいったとしてもあなたは殺人者です〕〔そんなことになったら翔太君が悲しむだけだ〕
(携帯電話の着信音)はい川端です。
福地さんの件だけど聖湖の弁天桟橋はどう?あそこなら夜になったら人気がないし…。
私が福地を誘い出してあとは川端さんが隙を見て…。
手を下すのは俺ってわけか。
平気なはずでしょ。
2人で場所の下見をしたいの。
じゃ明日の夜10時に。
裏切りはなしよ。
…明日夜10時。
裏切りはなし…。
おおっぴらにデート。
署長那須昌子に完全にいかれてるようですね。
仕事に戻らなくていいのか?行けほら!仕事!
(福地)この車は?レンタカーを借りました。
これパソコンで作った川端の遺書。
その文面でよかったら封をするわ。
もうちょっと付け加えた方がいいんじゃないか?短い方がいいと思って。
これは俺が預かる。
ねえちょっと貸して。
何だ?まだどこかに私の指紋がついてるんじゃないかと思って。
心配性だな。
はい。
これからのエリートはタバコを吸わない方がいいわね。
そうだな。
この裏がすぐ聖湖だったよな。
(店長)いらっしゃいませ。
メニューでございます。
お決まりになりましたらお呼びください。
ごゆっくりどうぞ。
…10時に桟橋近くの小屋の前。
わかった。
その前にここを出よう。
4番をください。
(店長)ブイヤベースの壺屋風でございますね。
あとワインを…いやいいです。
(店長)はい。
ああ携帯電話を忘れました。
車の中だと思います。
はい鍵。
桟橋の小屋の前…。
10時に近いはずだが…。
(時計の音)お待たせいたしました。
お連れの方はまだですか?はい…。
今取り皿をお持ちします。
あの女…!やっぱり俺をだましたな。
うわあっ!いやあ探したよ。
座席の下に転がっててなかなか見つからなかった。
《満足げに笑ってるが川端の遺体が自殺と処理されたらあとはこの女を…》さあ食べましょうか。
土肥!はい。
遺書だ。
向こうに川端助役の車があったな。
ええ。
自殺…。
おい新たな展開だ。
川端の遺書から署長の名刺が出てきた。
(土肥)署長の名刺が?署長は?県警本部で会議です。
署長には内緒にしておこう。
課長には俺から言う。
しかし…。
責任は俺が取る。
これお願いします。
(店員)宅配便ですね。
はいそうです。
滝川中央警察署ですか?はいそうですが。
…えっ?福地署長は去年の同じ月の6日にホテル「グリーンパレス」に偽名で部屋を取っています。
もしもし?あなたどなたです?何ですって!?殺された成瀬紀美が部屋を訪れてる?もしもし?もしもし!?あなた誰です!?どうした?「グリーンパレス」…。
(従業員)失礼します。
去年の8月から10月までの宿泊者名簿です。
(土肥)ありがとう。
結構です。
あった。
これだ。
福田信次…福地信也…。
「福」と「信」俺たちが見慣れた署長の筆跡だ。
紀美殺しに福地署長が…?それはまだ断定はできない。
(土肥)どうした?何だそれ?宅配便で届きました。
送り主は?わかりません。
伝票にある電話番号にかけてみたんですが通じないんです。
(土肥)下着類や靴のすべてがぬれて湿ってます。
「S.F」…。
エス・エフ?信也福地…。
福地信也…!どうもご苦労さまでした。
昌子さん。
昨夜福地署長と一緒でしたね?10時ごろどこにいました?レストラン「壺屋」。
福地とずっと一緒だった?ええ。
携帯を忘れたとかで車に取りに戻った以外は。
携帯?なるほど店の主人の証言と一致しますね。
失礼しました。
川端の遺書に私の名刺が?川端を殺しましたね?
(笑い)滝本。
君は言っている意味がわかってるのか?レストラン「壺屋」であんたは携帯電話を忘れたと席を立った。
戻ってくるまで15分以上かかっている。
座席の下に転がっていてなかなか見つからなかったんだよ。
それに風にも当たっていた。
いやそれは嘘です。
あんたはひそかに聖湖に呼び出していた川端を水に浸けて窒息死させた。
湖で争ったなら制服がぬれてるはずだ。
そういう言い訳のためにあんたはあの晩俺たちにことさら制服を印象づけた。
そうしておいて祠に乾いた下着を用意していた。
何者かがスポーツウェアなどと一緒にS.Fのイニシャル入りのハンカチを署に送ってきた。
送り主は誰か。
そのことは今はおいときます。
問題はなぜあんたが川端を殺さなければならなかったかだ。
たぶんあんたが紀美殺しに関係してるからだ。
紀美殺しを川端1人のせいにするために殺した。
…証拠は?グリーンパレスにあんたの筆跡が。
福田信次…福地信也…お忘れですか?
(足音)…お前は川端の遺書に俺の名刺を入れた。
レンタカーのトランクの中のビニール袋もお前が始末するはずだった。
お前が署に届くようにした。
グリーンパレスで俺が部屋を取っていると匿名の女から電話があった。
それもお前だ!なぜだ!?…まだわからないの?なに…!?翔太が落ちたあの滝つぼの近くで主人はあなたのことも見てるのよ。
あなたは私の危険な嘘を頭から信じてはいなかったはず。
だけど私の嘘にのった。
私の目的はあなたと川端醜い者同士殺し合いをさせて破滅させること。
あなたは翔太を死なせ成瀬紀美さんを殺し川端も殺した!殺人者としての明日が待ってる。
俺も川端もあんたの子供に直接手は下していない。
あの子は滑り落ちて滝つぼに…。
滝つぼに落ちなかったら殺さなかったとでも言うの?殺しを見られたも同然のあんたと川端が翔太を生かしておくはずがない!絶対に殺した!我が子を殺された母親のつらさがあんたにわかるはずがない!何の罪もない翔太を…。
主人だって翔太を殺され憔悴して…。
あなたに殺されたも同然だわ。
川端殺しではお前も共犯だ。
どうせ破滅するならお前も道連れにしてやる!・
(滝本)やめろ!署長やめるんだ。
(銃声)…昌子さんどうしてこういうことになったんですか?…福地署長から訊いてください。
(昌子)《翔太…お母さん敵を討ったわよ…》《順次さん…あなたも見ていてくれた?》・
(朱里)まだ帰るのは早いわ。
2人の男を死なせて逃げるつもり?何を言ってるのかさっぱりわからないわ。
いったい誰を死なせたっていうの?じゃあ思い出させてあげる。
あなた川端の家で福地を殺す相談をしてたじゃない?私川端に最初に注意しておいたのね。
やけどしないようにって。
でも川端はあなたの罠にはまって福地に殺されちゃった。
その福地も川端殺しと紀美殺しで追い詰められて自殺した。
すべてあなたの計画どおり。
まああなたに言わせれば子供の敵を取ったってことになるんだろうけど。
冗談じゃないわ。
あなたはただの人殺しじゃない。
いい加減にして。
何を根拠にそんなこと言ってるの?根拠?あなたが川端の家の応接間でしゃべったことみーんなこのテープに録音されてるの。
川端の家の応接間のテーブルの下に盗聴器が取り付けてあるの。
川端の死体を見たとき警察が来る前に取り外した。
あなたと川端の生々しいやりとり聞いてみる?
(テープ音声)「福地を殺すなら手を貸す」
(テープを巻き戻す音)
(テープ音声)「福地を殺すなら手を貸す」
(朱里)早送りしまーす。
(テープ音声)「裏切りはなしよ」3億円で売る。
3億!?盗聴は私と川端の共同作戦。
町の有力者たちが川端の前で他人に知られたくない会話をする。
それをもとに私が脅迫してお金にしてきた。
川端が死んじゃった今あなたに出してもらうしかないじゃない?嫌なら警察に持って行く。
嫌なら警察に行く。
…明日まで待って。
いいわ。
だけどまけないわよ。
(鼻歌)待ち合わせに変なところ選んだわね。
成瀬紀美が埋められていた場所。
あなたもやるわね。
翔太の死…すべてここから始まったから。
へえー。
まあいいわ。
で持ってきた?500万。
ケチね。
いただくわ。
その前に。
テープ最後まで聞かせて。
3億円いただくまでは何度でも聞かせてあげる。
(テープ音声)「福地を殺すなら…」《福地と川端に追いかけられ翔太はここを逃げたはず》翔太ーっ!キャーッ!《翔太…翔太…!助けてくれたのね》
(昌子の嗚咽)《お母さんを守ってくれてありがとう…》ふるさと文化センターの仕事降りられたそうですね。
ヨーロッパでもう一度勉強し直そうかと思いまして。
その前にこの辺りの自然を楽しんで帰ろうかと。
不可解な謎の事件が解決したからですか?これ忘れ物です。
滝つぼの近くで…上でしたかねえそこで拾いました。
“ごきげんなお母さん”どうぞ。
どうぞ。
…もう二度と戻ってきませんよね?《翔太…お母さんには見えるわ》《あなたがお父さんと仲良く釣りをしている姿が》《これでよかったんだよね…》《悲しんでないよね?翔太》《お母さん必ず帰ってくるから》2015/01/21(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
母が復讐に燃える時[再][字]
女子大生殺人を目撃した息子が殺された!犯人のエリート権力者に仕掛けた誘惑の完全犯罪
詳細情報
◇出演者
とよた真帆、古尾谷雅人、秋本奈緒美、小木茂光 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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