(風のざわめき)
(郷田)チンタラやってんじゃねぇよ。
(佐々木)バシバシいけよバシバシよ!お〜いい蹴りじゃん。
お〜いけいけ!よっしゃ〜!
(ノック)
(樋口警部補)警察です。
開けてください。
(ノック)うわっ!
(須崎巡査部長)なに考えてんだお前らっ!逃げ場はないぞ!諦めろ!
(須崎巡査部長)ほらもう諦めろ!あっこの野郎っ!おいおい待て!裏だっ!
(巡査)大丈夫か?大丈夫だ!野郎っ!容疑者1名ナイフを持って商店街方面へ逃走!繰り返すぞ!何やってんだお前ら〜っ!逮捕しろっ!逃げてんじゃねぇよお前はっ!
(パトカーのサイレン)見事だった。
名前は?
(安達巡査)はい。
自分は港南署地域課安達弘といいます。
そうか。
報告しておく。
二度目ですこれで…。
先週もお褒めいただきました。
樋口係長に…。
ああ品川のコンビニの?はい。
おおハッハッハハハ…。
(鑑識)とれました。
よく気がついたな。
お手柄だあの金属片でこいつが特定できたんだ。
でなきゃ事件は今も藪の中だったかもしれん。
感謝する。
すみませんこれ課長に…。
自分は当然の職務を遂行しただけです。
ハハハ謙虚だな。
監禁されてた女性一週間前出会い系サイトで連中と知り合ったそうです。
以来ずっと…。
ふ〜ん。
出してなかったんだろ捜索願い…。
ええ。
両親はちゃんといるみたいなんですがねぇ。
何か?いや…。
お疲れさまです。
よおお疲れ…。
ひと息入れてください。
酒か…。
はい。
係長とご一緒できてこの3か月は特に有意義でした。
俺は別に何もしてないよ。
君も飲め。
はい。
恐れ入ります。
しかし本当に腹が立ちます。
アイツら人間のクズです。
若い連中が荒むのは大人にも責任があるよ。
理解がおありなんですね。
そうか。
係長高校生の娘さんがいらっしゃるから…。
なんだ知ってるのか。
はい。
奥様はたしか翻訳関係の仕事をされてるとか…。
うん?ああいや…。
自分は以前から樋口係長を尊敬申し上げていたんです。
今まで難事件を幾つも解決されてますし警視庁でも有名な方ですから。
それでいろいろと…。
手本にする刑事なら他にいくらでもいるぞ。
係長!折り入ってお願いがあります。
自分を本庁に推薦していただけませんか?自分も刑事の道に進みたいんです。
なぜ刑事になりたい?はい。
刑事の仕事は犯罪捜査の中核だと考えていますので自分はなんとしても…。
そんなこと聞いてないよ。
出世したいのか?俺を見ろ。
40歳を過ぎていまだに現場をはいずってる。
出世なら警務か公安を目指すべきだ。
出世なんか興味ありません。
自分はただ世の中の犯罪を一掃したいだけです。
警官を志したのもそのためです。
そんなのぼせた考えじゃとても刑事は務まらんと言ってるんだ。
君はコンビニでナイフの欠片を見つけていい自慢話が出来たろう。
しかし刑事の仕事はこれからだ。
靴底をすり減らして何千軒ものショップを歩き回る。
行く先々で白い目で見られあげくは自分が何をしているのかもわからなくなる。
それでも小さな歯車の一つになり切って与えられた指示を全うする。
永遠にその繰り返しだ。
それが刑事だ。
そんなことはわかってるつもりです。
いやわかってないな。
どうして決めつけるんです!あなたに僕の何が分かるんですか!においだよ。
におい?君は刑事に向いていない。
悪いが力にはなれん。
(カメラのシャッター音)
(樋口恵子)お帰りなさい。
あぁ…。
ご飯は?食って来た。
そう…。
タバコやめたんじゃなかったのか。
うん?ああちょっとね。
ここんとこ忙しくて。
(樋口照美)お帰りなさい。
今日も一日お勤めご苦労さまでした。
疲れたでしょ?ビール飲む?お酌してあげようか?何たくらんでるんだ?沖縄へ行きたいんだって学校のお友達と。
イエス!高校最後の夏休みだし。
いいでしょ?ダメだ。
ほらね。
何で?どうしてダメなの?当たり前だ。
お前まだ高校生だぞ。
泊まりがけで旅行なんてとんでもない。
断りなさい。
なに言ってるの。
来年大学生だよ。
だったら受験勉強があるだろ。
それはそれ。
もうお母さん!照美ねもう約束しちゃったんだって。
美幸ちゃんってここにも何度も遊びに来た子。
いい子よまじめで。
あの子が一緒なら心配ないと思うけど…。
そうだよ。
美幸私の大親友だから今更キャンセルなんかできないの。
自分の都合でさっさと決めて後でお父さんを丸め込めると思ったのか?だったらなおさら許せないな。
もうお父さんさ何でいつもそうやって反対ばかりするの?髪の毛だって3年間染めてないんだよ。
超ダサイの我慢してさ。
ねえいいでしょ?旅行くらい…。
絶対変な事しないから。
帰って来たらちゃんと受験勉強もするし。
ね?お願い!いやダメだ。
もう頼まない。
わからずやの頑固親父!マジ最悪だよ!おい照美!あなたが思ってるほど子供じゃないのよ。
子供だよ。
お前が甘やかしすぎなんだ。
私のせい?俺は相手をしてやりたくてもできないんだよ。
そんなこと百も承知じゃないか!とにかく俺は反対だ。
友達と行くって話も実際のところはどうだか分かったもんじゃない。
自分の子供信用できないの?今の子供は分からんってことだ。
今日もそんな連中を見て来たばかりでな。
だからって…。
家に帰ってまでいちいち煩わせんでくれよ。
そのために君がいるんだろ。
(天童警視)昨夜総監の自宅にこれが届いた。
脅迫状ですか?「現内閣の無策による経済破綻。
その責任を逃れんとする財務大臣。
族議員の圧力に屈して骨抜きの行政改革しかやろうとしない総理大臣。
全て私利私欲に目のくらんだ権力の実態を象徴するものである。
警察は庶民のために不正を糾し正義を行うのが責務と信じる。
然るに警察はこの腐り切った権力の走狗となりこれを擁護せんとしている。
この有様に憤りを覚える多くの国民に代わり警察機構の象徴である警視総監に天誅を加えることをここに宣言するものである」と…。
「激昂仮面」ですか。
単なるいたずらならいいんだが郵便を使わずわざわざ総監の自宅に出向いて投函をしている。
その大胆さが不気味だな。
帳場を開きますか?うん。
今のところ警務と公安が内偵を進めている。
もしもの時は頼むぞ。
あいてるのは君の班だけだ。
警務と公安ですか…。
ハッハハ…。
気が進まんのは分かる。
ヤツらの秘密主義は体質的なもんだ。
警務は憲兵公安はスパイだと言うヤツさえいる。
しかしこの案件はやむをえんだろ。
分かりました。
(汽笛)
(城島直己)う〜ん完璧だ。
このまま出版に回せるよ。
どう?樋口さん…そろそろ翻訳家として独立しちゃ。
いい編集者紹介しますよ。
おだてないでください先生…。
私今の仕事で十分です。
おだててなんかいない。
本当にあなたは優秀だ。
あなたみたいな女性が下訳なんかやってちゃもったいない。
僕に任せてくれたらすぐに売れっ子の翻訳家になれる。
保証するよ。
私そろそろおいとましませんと…。
まだいいじゃないですか。
どう?たまには食事でも…。
近くに気さくなフレンチの店がある。
お父さん…遅いよ!何だ?旅行の話むし返そうったってダメだぞ。
違うのお母さんがいないの。
いない?夕方から帰ってないの。
ずっと連絡ないの。
ケータイは?だからかかんないんだってば!伝言なんかないよ。
お母さん遅くなる時は絶対電話するもん。
どこへ行ったか聞いてないのか?知らないよ。
私が帰った時にはもういなかった。
お父さん?どこかに原稿でも届けに行ったんじゃないのか?それで仕事相手と酒でも…。
だからってこんなに遅くなるわけないよ。
やっぱ事故かな。
車にはねられたとか…。
あっ夜分どうも…。
私警視庁捜査一課の樋口といいます。
今日県内で中年女性が関わった事件か事故はありませんでした?年令40代前半。
小がら髪…?髪は長めです。
そうですか。
ご協力感謝します。
ないって?うん。
なんだ恵子の名前なんかどこにもないじゃないか。
当たり前でしょ。
お母さんの仕事は翻訳の下訳。
だから名前なんて載らないの。
知らなかった?出版社は全部で7社か。
今から電話しても誰も出ないよね。
他に何か心当たりはないのか?普段からつきあってる友達とか。
趣味の集いとか。
何かあるだろ。
なんだよ?お父さん…お母さんのことなんにも知らないんだね。
誰か!誰かいませんか!あっ!?
(ドアの開く音)
(悲鳴)
(男)叫んでも無駄だ。
助けは来ない。
どうして私を…。
どうするつもりですか!ハッハ…。
やめてください。
やめてください。
まさか仕事なんか行かないよね。
ここにいたって始まらんだろ。
なんで?お母さんのこと心配じゃないの?心配だよ。
だから本庁に行って調べるんだ。
出すんだよね?捜索願い。
なんで黙ってるの?とにかく今日はお前ここにいなさい。
何かあったらすぐお父さんに電話するんだ。
いいね?ちょっとねえお父さん!
(ドアの開閉の音)
(吉田警視)今朝また田所総監宛に脅迫状が届いた。
同じヤツだ。
しかも今度は今週の総監のスケジュールが正確に書かれている。
どうやら敵は本気らしい。
(天童警視)やはり内部の人間ですかね。
そうと決めつけるわけにもいかんだろうが内偵の結果該当しそうな人物が浮上した。
(石上警視)木之本…聞いた名前ですね。
木之本文雄44歳。
元乃木坂署の生活安全課長だ。
半年前バカラ賭博業者との癒着が発覚し懲戒免職となった。
先週執行猶予つきで有罪も確定している。
木之本は2年前までSPだった。
当時の警護対象は田所警備部長。
つまり今の総監だ。
木之本はSPの中でも特に総監に気に入られていたそうだ。
乃木坂署への栄転もそのためだと…。
ところが半年前の事件で総監はあっけなくヤツを切り捨てた。
つまり逆恨みで総監を?事実逮捕後は総監を道連れにしてやると周囲に何度も洩らしていたらしい。
証言も複数とれている。
それだけじゃない。
木之本は射撃の腕も超のつく一流だ。
ライフル競技でオリンピックに二度出場している。
その気になれば大変危険な男だ。
吉田部長…よろしいですか?なんだね?これはあくまで推測ですがこの脅迫状の文面を見るかぎり犯人はむしろもっと若い人物という気がしますが。
根拠は?これは一見古い人間が書いた文章に見えます。
しかしそれにしては内容が稚拙です。
この天誅などという言葉もむしろ今の若い連中が好んで使う言葉じゃないでしょうか。
こちらでリストアップした要注意人物に根拠のない半畳を入れるだけか。
刑事のほうからの情報はないのか!言うまでもないがこの案件は完全極秘扱いだ。
絶対に外部に情報が洩れることのないよう各自細心の注意を払って当たってもらいたい。
以上だ。
(田所総監)世話をかけるな。
よろしく頼むよ。
総監の予定は全てキャンセルだ。
ただし3日後の全国本部長会議だけは外せない。
それまでにかたをつけんとな。
(恩田職員)ちょっと氏家さん!流しで頭を洗わないでって言ったでしょ!歯まで磨いて…。
何度言ったら分かるんですか!
(氏家巡査部長)分かった…。
堅いこと言うなよ。
これ洗っといて。
えっ!?汚いわねぇ!・はい生活安全課氏家…。
おう珍しいな。
どうした?折り入って頼みがある。
今から会えないか?お〜い俺だって暇じゃないんだぜ。
すまん。
プライベートか?その顔を見りゃ分かる。
カミさんだ。
とうとう実家に帰ったか。
だったらお前に相談なんかするか。
そりゃそうだ。
女房がいなくなった。
昨日からだ。
連絡もない。
特にケンカらしいケンカもしてないしそもそも黙って家を空けるようなヤツじゃない。
所轄は?確認した。
該当する案件はなかった。
それだけか?隠すなよ。
わざわざ俺に連絡よこしてきたんだ。
何か表沙汰にできない事情でもあるんだろ?不倫とか…。
図星かよ。
まだ何も言ってないだろ。
樋口!見たんだよ。
4日前女房が知らない男と歩いていた。
妙に親しげだった。
でもそれだけだ。
場所は?品川の海岸通り。
仕事先でもあるのか?カミさんの…。
分からん。
分からん?で俺にどうしろって?実は今厄介なヤマをかかえている。
どうしても手が離せん。
モノは?言えない。
極秘捜査だ。
だからって俺に興信所のマネ事させるのか。
俺だって時間があればこんなこと頼んだりしないよ。
お前しかいないんだ。
頼む。
条件がある。
ちょいと都合してくれ。
苦しいんだ今月…。
(ドアの開く音)早く食べろ。
この暑さじゃすぐ腐る。
これじゃ無理です。
おかしなことしたら舌かんで死にます。
私の主人は警視庁の刑事です。
嘘じゃありません。
今頃私のことを捜してるはずです。
それがどうした。
刑事だろうがなんだろうが俺には関係ない。
警察をナメないほうがいいわ。
私は主人の仕事ぶりをよく知っています。
ハッハッハッハッハ…。
大した信頼だな。
楽しみにしてるよ。
あなたはいったい誰?私をどうするつもり!?
(銃声)
(銃声)
(銃声)
(銃声)
(銃声)すげぇ〜。
盗難?盗まれたんですか?ライフルが。
(神波職員)えぇ一昨日です。
モノが物だけに地元の警察もえらい騒ぎでした。
その事で来られたのではないんですか?ライフルの種類は?モーゼル98K。
中古でも軽く40万円〜50万円しますからねぇ。
これ一昨日の来場者です。
被害に遭われたのはこの方。
兵藤さんて常連さんですよ。
ちょっと拝見します。
13時50分か。
おい樋口!あぁ。
こっちだ。
城島?城島直己翻訳家だ。
カミさんが下訳を手伝ってるそうだ。
出版社に問い合わせて分かった。
そういえば本にもそんな名前があったな。
二年前に離婚して今は一人暮らしだ。
でも近所の評判は悪くない。
もちろんマエもない。
しかしな一時間ほど前高校生くらいの女の子がこの中へ入ってった。
城島に娘はいない。
文化人も裏じゃ何やってるか分からんな。
行こうか?うん。
(ドアを叩く音)誰か…誰かいませんか!誰か…誰かいませんか!セールスならお断りだ。
表に書いてあったはずだが。
警視庁の樋口です。
氏家です。
樋口って…もしかして樋口恵子さんの?はい。
恵子は私の妻です。
ちょうどよかった。
お上がりください。
おい!・開けて!壊れるじゃないか!何するのよ!変態オヤジ。
照美!?お父さん何やってんの!?お前こそ何してるんだ!ねこいつ私を閉じ込めたの!逮捕して!早く。
それを言うならこっちのほうだ。
庭に忍び込んでたのを取っ捕まえたんですよ。
お母さんが行方不明とか訳の分からんこと言って…。
本当だったんですか?昨日妻がここを出たのは何時頃ですか?原稿チェックが済んで…夕方の5時前には出られたはずですよ。
その後どこかに寄るとか人と会うとか言ってませんでしたか?いや何も…。
ここへはよくお邪魔していたんですね?いやよくってほどでも。
せいぜい仕事をお願いする時だけですよ。
昨日だって久しぶりに会ったんだ。
それは変ですね。
先週の金曜日海岸通りで二人を見た人がいるんですよ。
あああの日は知り合いの絵画の個展があったんだ天王洲で。
そこで彼女と偶然会った。
だが誰がそんなこと…?その後どうされました?その後?個展で会って一緒に散歩されて。
その後です。
そのまま別れましたよ。
品川で。
嫌だな…一体何を疑ってるんですか?いやただ事実関係をお伺いしてるだけですよ。
(ドアの開く音)うっ!亭主は一向に助けに来ないな。
どうした?優秀な刑事さんは。
それよりお互いもっとよく知り合う必要がありそうだ。
ええ教えてください私を閉じ込めてる目的は何ですか?それはおいおい分かる。
さあ何から話そう。
娘のことか?どういうつもりだ。
今日はうちにいろと言っただろ。
だってお父さん頼りないの。
出版社にも電話しなかったし。
全然信用されてないね。
そういうが世の中にはいろんなヤツがいるんだ。
危ないだろう。
(高校生らの騒ぐ声)そうそう最近うちのマンションの周りで変な男がウロついてるって知ってた?誰が言ってた?マンションの人ならみんな知ってるよ。
お前自分のことは空っきしだな。
氏家さんって何してる人?お父さんの同僚?同僚じゃないな。
前に捜査本部でお父さんを手伝った。
それ以来のお友達。
友達?お父さんに…。
意外…。
(高校生らの騒ぐ声)君たち。
未成年者禁酒の法律があるの知ってるかな?ああ?だったら何だよ。
文句あんのかジジイ。
こっそり飲むならまだしもここまで大っぴらじゃなあ…。
うぜえ!なめんなよ!お前らだってあんなガキ連れ込んで。
とやかく言えんのかよ!女の子がそんな口のきき方するかな?失せろって言ってんだろ!脅さないでよ。
脅しじゃねえマジだよ。
害悪の告知刑法第222条脅迫罪。
痛てて…。
ちょっとちょっとこっちへ来て。
お願いちょっとね。
大丈夫?大丈夫だよ。
俺さ今日非番なんだよ。
余計な仕事させるなよ。
おい!何で帰るの?このオッサンどうすんの!?ちょっと待てよ。
何でよねえ!?ちゃんと勘定払ってけよ!すみませんお騒がせして。
ねぇ何て言ったの?「金貸してくれ」って言ったら逃げちゃった。
氏家さんって…?毎日あんな連中相手だとね。
おじさん送ってあげよう。
カミさんのことは心配するなよ。
その代わりここの勘定頼む。
例のストーカー男のことも調べとく。
じゃあね。
(巡査)変質者ですか?最近は聞きませんね。
痴漢被害なら何件かは…。
事件ですか?まあちょっと…。
はっきり説明してもらいませんと協力のしようがないなあ。
樋口係長!おう君か。
安達君だったな。
ここの担当か?はい今日は何です?うん…。
何かの内偵だそうだ。
お前知り合いか?はい。
例のコンビニ強盗で。
あああの時の…それは失礼しました。
自分は4時で上がりますし何かお力になれることがあれば。
失礼ですが…もしかしたら奥さまと何か関係が…?実は昨日この近くでお会いしたものですから。
昨日?何時頃だ。
はい。
ちょうどお昼頃でした。
近所に花屋がないか尋ねられて。
はじめはまさか樋口係長の奥さまとは知らず話してるうちにそうと知ってビックリしたんです。
何か言ってたか?係長のことですか?いや俺と花屋以外のことで。
近所に仕事関係の方がいらっしゃるとか。
他は特に。
じゃなぜ俺が女房のことで来たと分かった?いや偶然が二度続いたので何となくです。
やっぱりそうなんですね?奥さまがどうかなさったんですか?いや…。
何かお手伝いできることがあれば言ってください。
係長…自分は確かに一介の巡査です。
しかしこの界隈では誰よりも顔が利きます。
きっとお役に立てると思うんです。
そうか…。
でも本当に大丈夫だ。
ありがとう。
野郎…!どうだ?特に変わった動きはありません。
奥さんへの暴力は相変わらずですが。
うん…。
帳場のほう進展ありました?いや。
あれっタバコやめたんでは…?おっとまずい!
(ノック)ご苦労さん疲れたろ。
一杯やってくれ。
勤務中だよ。
堅いこと言うな。
で?今回の容疑は何だ?言えんな。
アンタ樋口さんだよな捜一の。
警視庁のヒーローが何やってんだ。
えっ?例のライフルの盗難だったら的外れもいいとこだぞ。
どうかな。
俺にはなもう失うものは何もない。
あんまり怒らせるなよな。
野郎っやっぱ何かありますよね。
はい樋口…。
分かった。
すまん。
後を頼む。
どちらへ?後で連絡する。
ちょっと係長!お帰りなさい。
おう…。
表でうろついてたのを捕まえたんだ。
大森雅之19歳。
都内の専門学校に通ってる。
なあ。
お前もちゃんと自己紹介しろよ。
(大森雅之)ホント何もしてません。
マジで。
こいつの本当の狙い分かるか?照美ちゃんだよ。
どういうことだ?参ったな。
何だこの野郎。
私に惚れたんだってバッカみたい。
通学途中の電車でひと目惚れ。
でも告白する勇気がない。
で後をつけたわけだな?何とか言えよこの野郎!もういいよ。
なんかかわいそうだよコイツ。
本来なら警察に突き出すところだ。
だってさ。
二度とやるな次はないぞ。
はい…すみませんでした。
(照美)お父さん。
うん。
眠れない?つきあおうか。
いや…もう寝ようと思ってた。
あのさ…。
うん?ううんやっぱいいや。
何だよ。
気になるじゃないか。
怒らない?約束する?約束する。
お母さんさ…もしかしたら浮気してたんじゃないかな。
あの城島ってヤツと。
もちろん想像だよ。
絶対違うと思うけど。
どうしてそう思った?うん…今日さああの家にお花のアレンジあったでしょ?あれ見ててなんとなく。
お父さん…お母さんのこと愛してる?何だよ急に…。
ちゃんと答えてよ。
うん愛してるよ。
本当に?嘘じゃない?嘘じゃない。
だったらお母さん帰って来ても許してあげられる?もちろんだ。
きっとすぐに帰って来るさ。
何でもないような顔して土産でも持ってさ。
そうだよね。
きっとそう。
お母さん案外そういうところあるしね。
じゃあ寝るねおやすみ。
クーラー切って寝ろ。
うん。
あなたか。
何か進展でも?いえ。
実はもう一度お宅を拝見させていただきたいと思いまして。
は?一応今後の捜査のために妻がここにいないことを確認したい。
ちょっと待ってくれ。
令状は…?いいえ。
冗談じゃない。
一体何を考えてるんだ。
失礼します!ちょっとアンタ!いい加減にしてくれ!警察を呼ぶぞ。
下何ですか?地下の物置きですよ。
ガラクタばかりだ。
(足音)ここを開けてください。
勝手にやってくれ。
何もないって言っただろう。
本来なら人権侵害で訴えるところだ。
申し訳ありません。
まアンタの気持も分からんでもない。
同情するよ。
同情…?逃げられて初めて女房のありがたみが分かったろ。
女房は逃げたんじゃない。
だったらなぜ一人でコソコソ嗅ぎ回ってる?僕と彼女が浮気してるとでも…?そうなればいいと思ったことはある。
僕も男だからね。
でも彼女は全く応じなかった。
本当だよ。
いよいよ人手が必要になってきたな。
(安達)樋口さん!よかった。
警視庁に連絡しても行き先分からなくて。
何だ?一昨日の夕方この先で不審な車を目撃した住人がいます。
車内に女性が連れ込まれたのを見たそうです。
(住人)ほらすぐそこ。
そこに停まってたのよ。
どんな車でした?私車のことはどうも…でも…白い四角い車。
最近テレビでよく宣伝してる車。
ミニバンでしょうか…。
ドライバーの顔は…?さあ帽子被ってたから。
なぜすぐに通報しなかったんです?それがね女の人を介抱してるみたいだったので「大丈夫ですか?」って声をかけちゃった。
おばさんさっきナンバー控えてるって…。
あっこれね。
気になったので控えといたんですけど。
そのナンバーの下はね…「47」だったか「74」だったか?ごめんなさい覚えてなくって。
「わ」ナンバーは間違いありませんか?ええ。
それは確か。
レンタカーか…。
なんとか割り出せるな。
心配するな。
俺がやる。
もし後で何か思い出されたら私のケータイまで連絡をいただけますか?ご苦労さまでした。
ありがとうございました。
あの自分はこれから仕事があるのでこれで。
また君のお手柄だ。
恩にきる。
いえ。
いつでも呼んでください。
自分は自分は…かうさんくさい奴だ。
まじめすぎるだけだ。
俺にもあんな時代があったなあ。
すまん。
はい樋口…。
・須崎です。
ちょっとマズいことになりました。
弁当買いに行った10分程の間だったんですが。
すみません。
電話があって出かけたということですが相手の見当はつきませんか?
(木之本麗子)分かる訳ないでしょ。
あの人のことなんか興味ないもの。
ライフル…。
ライフルを持って出た!?
(吉田総監)とんだ失態だな。
申し訳ありませんでした。
とにかく明日の全国本部長会議は総監の出席を見合わせたほうがよろしいかと…。
それがそうもいかんのだ。
今回のテーマは「テロに屈しない社会」です。
総監がテロに怯えて欠席じゃシャレにもなりません。
とにかく木之本だ。
すぐに身柄を確保しよう。
どうして勝手に持ち場を離れたりしたんだ?いい加減に単独行動は慎め。
捜査方針に不満があるならはっきりとそう言え!はい…。
樋口さんだね?どなたですか?激昂仮面…。
もしもし…!失望した。
アンタならもっと早くたどり着くと思ってた。
女房が恋しくて仕事にも身が入らんか?お前が女房を…。
なぜだ。
ハンデだよ樋口さん。
ハンデ…?アンタ警視庁のヒーローだ。
少しはハンデがないと不公平かと思ってね。
恵子は生きてるのか?今のところはね。
でもアンタ次第だ。
望みは何だ?総監を救えなければ女房も死ぬ。
取り返せるものなら取り返してみろ。
おいおい!おう。
おう分かったぞ。
該当する車は1台だけだ。
どうぞ。
どうした?女房を誘拐したヤツから電話があった。
例の極秘捜査に関係のあるヤツだ。
上には話したのか?いやまだ。
見てみろ。
3日前に白のミニバンを借りたヤツだ。
大森?ああ。
あいつか…。
ああ一昨日のストーカー野郎だよ。
なんだあいつこんないいとこに住んでるのか。
あここだ。
(チャイム)警察だ話がある
(ノック)ここを開けろ!大森君!大森さん!上がらせてもらうよ。
おいっ。
過ぎたことを言っても始まらん。
で君の考えは?大森は利用されただけだと…。
はい。
とても誘拐のできるタイプではありません。
ゲーム感覚で下準備を手伝わされただけだと思います。
たとえそうでもなぜ犯人が君を狙うのかということだ。
本当に思い当たることはないんだな?はい。
大体どうして犯人はあなたがこの捜査に関わると分かったのか。
だって変でしょう?犯人が誘拐を計画したのはどう考えてもあなたが帳場に参加する以前ですよ。
それは樋口が前のヤマが終わったのを知ってた…。
手の空いた者が駆り出される…。
外野は黙っててもらいたい!あなたがここにいること自体特例中の特例なんだ。
何のマネですか?セレモニーの前夜祭とでも言っておこう。
明日日本の犯罪の歴史が大きく変わる。
一体何を…?警視総監を暗殺する。
JFK並みの騒ぎになるだろうな。
でもそれと私と…?総監に脅迫状を送った。
その捜査をアンタの旦那が担当してる。
何のためにそんなことを…?日本の警察の警備態勢がいかに脆くていい加減かを知らしめるためだよ。
いわば…世の中への警鐘だな。
さあ乾杯だ。
さあ…。
旦那ともよくこんな食事するんだろ?いいえ…一緒に食事する暇なんてほとんどありません。
侘びしいなあ。
会話ぐらいあるだろ?どんな会話をする?話って…普通の家庭と一緒です。
普通の家庭?明日は何時に起きるとか…風呂場の電球を替えて欲しいとか…。
そういう他愛のないこと。
それが普通か?ええ…。
つまらないな。
そういうつまらないことの積み重ねが家庭なんです。
それで満足なのか?ええ…多分。
嘘だ。
嘘じゃありません!私は家族のみんなが無事で暮らしてくれればいい…。
そう思っています。
旦那を愛してるのか?尊敬しています。
愛してるのかと聞いたんだ。
尊敬が愛情です。
浮気しようとは思わないのか?少し不躾だったかな?少なくとも…行動に移したことはありません。
ハッハハ…その気はあるんだ。
20年近く夫婦をやっていれば誰でもそういう気持はあると思います。
旦那はどうだ?浮気しないか?さあ…考えたこともありません。
するはずだ。
旦那も男だからな。
そう…。
男なのよね。
長いこと忘れていたわ。
アッハハハ…。
あなただってご家族いらっしゃるでしょう?そんなものはいない。
じゃ友達は?世の中どいつもこいつもくだらん連中ばっかりだ。
俺と釣り合うような人間は一人もいない!でも普通の家庭に憧れているのね…。
いつ俺がそんなことを言った?言わなくても分かるわよ。
フッフフフ…。
居たよ居たよ家族ぐらい…。
親父は今で言うところの勝ち組でね。
一流企業の重役だった。
でも…それだけだ。
一緒には暮らさなかったの?同じ家には居た。
でも一緒に暮らしたと言えるのかなぁ…。
母親もそうだ。
いい親だったよ。
勉強のことでとやかく言われたこともないし欲しいものは何でも買ってくれた。
親父の稼いだあぶく銭のお陰でいまだに何不自由なく暮らしていける。
ご両親のこと恨んでるのね?あなたまだ若いんでしょう?こんなことをして一生無駄にしていいの?うわ〜っ!母親みたいな言い方はやめろ!甘い顔見せればつけあがりやがって!十分味わって食え。
しばらくおとなしくしてもらうからな…。
(ドアが閉まる音)
(男の足音)
(スパーク音)
(男が倒れる音)誰か!誰か〜っ!ううっ!お願い…開いて!えいっ!
(子供たちの話し声)誰か…お願い!助けて〜っ!誰か助けて〜っ!誰か!助けて!ううっ!うう〜っ!あう〜っ!
(子供たち)うわ〜っ!ああ〜っ!殺さないで!お願い!
(パトカーのサイレン)4名は駐車場!3名通用口!はい。
全員配置につけ!通用口問題ないか?5分後到着。
すみません…あのガラス張りのビルはチェックしましたか?いいえ。
ここを狙うには遠すぎるでしょう。
500mはあるんじゃないかな…。
危ない!!
(銃声)
(銃声)うわ〜っ!
(銃声)あのビルだ!急げ!ああ〜っ!
(銃声)おい大丈夫か?
(記者)ひと言お願いします。
田所総監は無事です。
手に軽い傷を負っただけで命に別状はありません。
重傷の職員も一命を取りとめました。
なぜ今まで脅迫の事実を公表しなかったんですか?政治団体のテロという噂もありますが…。
断じてテロではありません。
それ以外はノーコメント。
ちょっと待ってください!現場に残っていた薬莢は308ウインチェスター。
弾頭はA・MAXの168グレインです。
いずれも指紋は検出されませんでした。
盗まれたライフルってのは?モーゼル98K30口径です。
う〜ん合うな…。
で…木之本はまだ行方知れずか?はい。
うん…ご苦労。
ああ氏家君レンタカー関係は?ええここが大森雅之が白のミニバンを借りたレンタカー会社。
そしてこちらが樋口恵子さんの拉致現場。
距離にして往復約5km。
車の走行メーターは14km。
よって移動可能範囲はこうなります。
恐らくこの範囲内に監禁されている可能性が高いと思われます。
よし…所轄を動員して一帯をシラミ潰しだ急げ!
(一同)はい。
(パトカーのサイレン)おい…。
心配すんな。
カミさんはきっと無事だ。
樋口さん現場から連絡入ってます。
おい322だ。
はい。
はい樋口だ。
樋口さん?安達です。
今東品川3丁目の倉庫街ですがひとつ気になる情報がありました。
こら…静かにしろ!何だ?近所の子供たちなんですが昨夜使われていない古いビルから女性の悲鳴が聞こえたと言うんです。
分かった。
すぐそっちに向かう。
いいかくれぐれも余計なマネだけはするな!
(パトカーのサイレン)「余計なマネするな」…か。
(鍵の音)
(ドアが開く音)樋口恵子さんですね?もう大丈夫です。
きゃ〜っ!!警察だ!銃を捨てろ!撃つぞ!
(パトカーのサイレン)
(銃声)樋口さん…奥さまはご無事です。
あなた!なぜだ?なぜ勝手なマネをした!なぜだ!男が…。
なに?裏に回るのが見えたんです。
ひとつ間違えれば二人とも死んでたぞ!そんなに出世したかったか?あなたやめて…。
おい…樋口。
ヤクか…。
打ち始めて日が浅い。
妙だと思わんか?う〜ん。
おい大丈夫か?ええ。
平成15年8月の警視総監狙撃未遂事件の解決において貴君の名誉と勇気ある行動をたたえここに警視総監賞を授与するものとする。
平成15年8月7日警視総監田所順哉。
転属を希望する部署があれば遠慮なく言いたまえ。
ありがとうございます。
おいちょっと入るぞ。
はい。
樋口…。
どうした何かあったのか?あれからどうしても気になってな…。
見てみろこれ。
ほう…。
佐伯さん指紋は?これだけ錆び付いてちゃとても不可能です。
けど…何か金属でひっかいたものですね。
鎖とか手錠とか…。
えいっ!チキショー!おい!出てこい!いいかげんにしろ!すみませんが木之本の検屍報告書の写しをコイツに渡してください。
分かりました。
お前は?ちょっと調べたいことが…。
おい!ちょっとここをカメラに…。
(武藤教官)安達君ね…よう覚えてますよ。
なかなか優秀な男でね。
優秀…?実技面についてですよ。
メンタル面ではこれは…かなり問題がありましたな。
例えばどういう?協調性の欠落と極度に激しやすい性格。
仲間と暴力沙汰を起こすこともしばしばでした。
一度は資格を取り消そうって話にもなったんですがね…。
そうならなかった理由は?射撃のベンチレスト競技で全国優勝したんですわ。
つまり安達が木之本をヤク漬けにして監禁し犯人に仕立て上げた。
こう言いたいんだな?安達なら距離からいっても勤務中にあのビルに出入りできる。
可能性としては十分あり得ると思う。
でもどうしてアイツがお前を?前に…本庁に推薦しろと言われて断ったことがある。
それを根に持ったのかもしれん。
木之本の検屍報告だ。
右の手首に新しい裂傷があった。
でもそれだけじゃ安達とは結びつかん。
死人に口なしだ。
確証がなけりゃ上は絶対に動かんぞ。
それに下手すりゃ潰される。
お前の言ってることが事実なら前代未聞の不祥事だ。
総監だって黙っちゃいないだろう。
あとは俺一人でなんとかやってみるよ。
元はといえば俺の責任だ。
首が飛んでもやむを得ないと思ってる。
水くさいこと言うなよ。
友達だろ?
(談笑する声)
(恵子や照美の笑い声)ああお帰んなさい。
お帰りなさい。
すみませんお邪魔してます。
ああお帰んなさい。
お帰りなさい。
すみませんお邪魔してます。
ああ…。
どうした?たまたま近くに用事があったもんで…。
すみませんお先にご馳走になっちゃって。
気にしなくていいの。
お父さんなんていつ帰ってくるか分かんないんだから…。
(笑い声)やっててくれ。
着替えてくるよ。
(ノック)樋口さん。
ちょっとよろしいですか?すぐ行くよ。
二人だけでお話がしたいんです。
何かな…?樋口さん…最近自分のこと調べてらっしゃるようですね。
目的は何です?上からの指示だ。
君が本庁にふさわしい人間かどうかを調べてる。
一般的な身上調査だ。
何か問題ありました?いや…クリーンそのものだ。
感心したよ。
フフフ…。
そうかなあ。
ああそういえばあの大森ってヤツ…。
ん?あのマンションで殺されてたストーカー野郎ですよ。
ああいう馬鹿がまたここに来るかもしれませんよ。
ご家族を狙って…。
どういう意味だ?いや…ちょっと気になっただけです。
そんな時は氏家さんなんかじゃなく僕に相談してください。
何せ僕とあなたはもうタイですから…。
これからはハンデなしでいきましょう。
ああ…そうだな。
あちらに行きましょうか。
ご家族が気になさるといけない。
うん…。
安達さんはどこの出身?いろんなとこ転々としたけど一番長いのは横浜かな…。
横浜…横浜中華街。
ああ行ったことある!いい店知ってるよ。
今度連れてってあげようか?ホント!?ヤッター!みんなで行こうよ。
なに?うんちょっとタバコ買ってくる。
樋口さん…これでよかったらどうぞ。
はいどうぞ…。
じゃ…1本貰う。
でもいいなぁ。
うらやましいですよ樋口さんが。
えっ…何が?こんな明るい家族に囲まれて。
自分なんて子供の頃からこういう雰囲気に全く縁がなかったので…。
だったら結婚して理想的な家庭を作れば?どなたか決まった人いらっしゃらないの?自分は武骨者ですからそのほうはからっきし…。
えっ!そんなことないでしょ?安達さんモテそうだもん。
どんな人がタイプですか?いや…タイプなんてないよ。
ええ〜っ!まいったなあ。
絶対ある!安達さんってスポーツはやるんですか?うん…昔はいろいろとね。
さあコーヒー入れるわ。
あなたこのお皿下げてくださる?あの人が…あの人が…。
安達がどうした?私を誘拐した犯人よ間違いない!分かってる…。
(皿が割れる音)ごめん。
大丈夫です。
動かないでください。
大丈夫ですから…。
あっ!?ああっ!!安達っ!安達…馬鹿なマネはよせ!今日は様子を見るだけのつもりだったんだけど…奥さんにまで感づかれちゃしかたがない。
やっぱりあなただったのね。
どうするつもり?言ったでしょう。
世の中どいつもこいつもくだらん連中ばかり。
そいつらが寄ってたかって俺の邪魔をする。
樋口さんアンタもだよ!安達お前の考えは間違ってるぞ。
いいから俺の話を聞け!アッハハハ…。
俺の馬鹿親父もそう言ったよ。
「お前は間違ってる」…ってさ。
動くな〜っ!証明してやるよ。
どっちが間違ってるかをな…。
馬鹿野郎!お前がやってるのはただのゲームだ!あの時のコンビニ強盗と一緒だぞ!アイツらとは頭の出来が違うよ。
ゲームだって勝てばいい。
世の中結果オーライだよ。
ああっ!
(銃声)
(花瓶が割れる音)だあ〜っ!えいっ!えいっ!負けるかよアンタみたいなジジイに…。
じゃまずは奥さんアンタからだ。
いや…いや〜っ!ここから飛び降りてもらおうか。
叫ぶんなら殴って俺がほうり出す。
好きなほうを選びな!いやいや〜っ!うわ〜っ!?うっ!ああ〜っ!あっ…ああ…。
ああ〜っ!ううっ。
ああ〜っ!あなた!照美!照美…照美!お母さん…。
よかった。
大丈夫か?お父さん!お父さ〜ん!痛いよ〜。
チクショー!何でだよ〜。
(パトカーのサイレン)おはよう!おお…。
いつも早いねお父さん。
何言ってんだ…学生は呑気でうらやましいよ。
何よお父さんだって昔は学生だったくせに。
俺のときはもう少しマジメだった。
嘘ばっかり。
あっ!何…これ。
沖縄へ行くんだって。
誰が?みんなでだよ。
決まってるだろ。
嘘っ!何考えてんの?あのね今どき家族旅行なんてキモ過ぎ。
無理無理!お前が行きたいって言ったんじゃないか。
それとこれとは別。
ホント…信じられない!何だよ…。
だったら俺たちだけで行くか…。
いいわよ…別に無理しなくても。
無理なんかしてないさ。
行きたいんだお前と…。
沖縄か…そんなもんよ今どきの子供は。
分かった口利くな独り者が…。
これでも努力してんだぞ。
そう…努力は大事だ。
でもだからって子供に媚びろって言ってんじゃないぞ。
今の大人たちは自分に自信がないんだよ。
自信がないからガキに媚びる…。
いつの間にかそういう風潮になっちまった。
テレビなんかいい例だ。
どのチャンネル回してもみんなガキ相手の番組ばっかりだろう。
大人が自分の文化に自信が持てなくなったわけか。
2015/01/21(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「朱夏〜警視庁脅迫事件」[字]
妻が突然姿を消した…不倫か?それとも誘拐か?家族を狙う不気味な影と警視総監暗殺予告!
詳細情報
番組内容
警視庁捜査一課強行犯捜査係長警部補・樋口顕は、現場一筋に様々な難事件を解決してきたやり手のベテラン刑事。部下や上司からの信頼は厚いが、仕事優先で家庭を省みず、翻訳の下訳の仕事をしている妻・恵子と高校3年生の一人娘・照美とはコミュニケーションがとれていない。そんなある日、警視総監・田所順哉の自宅に「警察を糾弾し、総監に天誅を加える」と書かれた脅迫状が舞い込む。
番組内容続き
差出人には「激こう仮面」と書かれていた。樋口の班は極秘裏にこの捜査を命じられる。
出演者
樋口顕…内藤剛志
樋口恵子…風吹ジュン
樋口照美…柳沢なな
氏家譲…佐野史郎
安達弘…東根作寿英
城島直己…白竜
木之本文雄…遠藤憲一
須崎…内田健介
吉田…中根徹
石上…遠山俊也 ほか
原作脚本
【原作】今野敏
【脚本】吉川次郎
監督・演出
【監督】松原信吾
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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