日本の金融機関の不良債権はどれくらいあるのですか?
17年9月期における全国銀行の不良債権残高(金融再生法開示債権ベース)は15.9兆円であり、17年3月期の17.9兆円に比べ▲2.0兆円減少しています。これを主要行について見ると、17年9月期における主要行の不良債権残高は6.1兆円であり、17年3月期の7.4兆円に比べ▲1.3兆円減少しています。また、17年9月期における地域銀行の不良債権残高は9.7兆円であり、17年3月期の10.4兆円に比べ、▲0.7兆円減少しています。
不良債権問題は解決したのでしょうか?
主要行の17年3月期の不良債権比率(貸出金等の総与信の額に対する不良債権額の割合)は2.9%となり、「金融再生プログラム」(14年10月)において示された17年3月末までに主要行の不良債権比率を現状(14年3月期:8.4%)の半分程度に低下させるという目標は達成され、主要行の不良債権問題は正常化しました。また、中小・地域金融機関においても、地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の機能強化に関する累次のアクションプログラムに基づく事業再生・中小企業金融の円滑化や経営力の強化等に向けた取組みの進展を受けて、不良債権比率は全体として着実に低下しています。このように、金融行政は不良債権問題の緊急対応から脱却し、将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局面(フェーズ)へと移行していく節目を迎えたと考えています。
一方で、金融仲介においてリスクテイクは不可欠な一要素であり、そうしたリスクをいかに管理していくかは、引き続き金融機関にとっての重要な課題であることには変わりありません。金融庁は、不良債権問題が再び発生し、それが経済の足枷となることのないよう、今後とも個々の金融機関の不良債権の状況やリスク管理態勢等を注視していきます。
不良債権問題が解決すると何が良くなるのでしょうか?
バブル崩壊以降、不良債権問題は我が国経済の大きな足枷となっていました。
金融機関における多額の不良債権の存在は、一般的に、その処理コスト等により金融機関の財務状況を悪化させ、金融機関のリスク許容力の低下、貸出姿勢の弱体化をもたらすとともに、収益力の低下している貸出先企業に対する追貸を増加させるなど、本来融資すべき企業にお金がまわらない等の金融仲介機能の低下をもたらす要因になるものと言われています。
したがって、不良債権問題の解決は、金融機関の収益力改善に伴うリスク許容力の上昇や貸出先企業の経営資源の有効利用などに寄与し、新たな成長分野への資金の供給や資源の移動を促すことにつながるものと考えられます。
中小企業金融の円滑化に、どう対応しているのですか?
○地域や中小企業に必要な資金を行き渡らせるべく、金融庁としては以下の対策に取り組んでいるところです。
○中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう、金融機関に対し繰り返し要請を行っています。
○中小・地域金融機関について、地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の機能強化の一層の推進を図ることとしています。
→地域密着型金融の機能強化に関する累次のアクションプログラムに基づく事業再生・中小企業金融の円滑化に向けた取組みとして、創業・新事業支援機能等の強化、事業再生に向けた積極的な取組み、担保・保証に過度に依存しない融資を推進。
○中小企業の実態に即した検査を確保するため、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕を14年6月に策定し、更に内容がより中小企業等の実態に即したものとなるよう16年2月に改訂を行っています。
○いわゆる貸し渋り・貸し剥がしとして「金融サービス利用者相談室」に寄せられた情報を検査・監督に活用しています。
→提供された情報を活用し、ヒアリングや検査を実施。必要があると認められる場合には、当該金融機関に対して銀行法第24条等に基づく報告徴求を実施。
○金融機関に対して、与信取引に関する顧客への説明態勢の整備を求めています。
○今後とも、日本企業の大宗を占め、我が国経済の基盤を支える中小企業に対する金融の円滑化に向けて、より一層積極的に取り組んでいくこととしております。
貸し渋り・貸し剥がしとは何ですか?
いわゆる「貸し渋り」や「貸し剥がし」について、一般的に受け入れられているような定義はありませんが、「金融機関が貸付けに必要以上に消極的になっている」とか「無理な回収を行っている」という金融機関に対する批判として、「貸し渋り」や「貸し剥がし」という言葉が用いられているものと考えられます。
なお、金融機関の個々の取引には様々な事情が影響していることから、個々の取引が「貸し渋り」や「貸し剥がし」に該当するか否かを判断することは困難であると考えられます。
貸し渋り・貸し剥がしに関する情報は、どこで受け付けているのですか?また、情報はどのように活用されているのですか?
○金融庁では、「金融サービス利用者相談室」において貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付を行っております。
○受け付けた情報につきましては、金融機関の検査・監督の実施に当たり、重要な情報として活用しており、具体的には、
(1)監督においては、寄せられた各金融機関に関する情報を基にヒアリングを行い、顧客への説明態勢等の内部管理態勢の実効性等について確認する必要があると判断した場合に、銀行法第24条等に基づく報告徴求を行っております。
また、
(2)検査においては、寄せられた各金融機関に関する情報を参考とし、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等の検証を行い、銀行法第24条等に基づく報告徴求を行っているところです。
○金融庁としては、今後とも「金融サービス利用者相談室」において貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付を行い、関係部局においてこれらを金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用するなど、中小企業金融の円滑化に向けて引き続き努力していきたいと考えております。
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ペイオフ解禁で預金の保護はどうなりましたか?
17年4月から、ペイオフ解禁が本格実施されたことにより、これまで預金保険によって保護されてきた預金等の保護の範囲が以下のように変わりました。
(1)決済用預金(当座預金、利息のつかない普通預金等)
3要件(○無利息、○要求払い(預金者がいつでも払戻しを請求できること)○決済サービスを提供できること)を満たす決済用預金については、その全額が保護されます。
(2)一般預金等(利息のつく普通預金、定期預金、定期積金、元本補てんのある金銭信託(ビッグなど)等)
決済用預金以外の預金保険の対象となる預金等については、元本1,000万円とその利息等が保護されます。
普通の企業は、倒産しても何ら国から面倒見てもらえないのに、どうして金融機関だけが公的資金を投入して救済されるのですか?
○金融機関についての公的資金の枠組みは、金融システムの安定化のために措置されたものであり、個別の金融機関の救済のために公的資金を投入するものではありません。
○何故、金融機関だけにこのような制度が設けられているのかということですが、金融機関の業務には、次のような公共的な役割があります。すなわち、金融機関は、預金等で受け入れたお金を企業・個人等に対して融資するという金融仲介業務や、口座の付け替えにより各種経済取引を決済するという決済業務を営んでおります。このような業務を行う金融機関は、経済のインフラとしての公共性を持っております。経済活動が円滑に行われるためには、金融機関を通じたお金の流れが滞らないことが必要不可欠です。
このため、公的資金の枠組みにより、金融機関の破綻に伴う混乱を最小限に留めたり、金融機関の資本を増強して健全性を高めたりすることによって、経済の言わば動脈である金融が滞ることのないようにして、預金者や借り手、更には国民みんなが安心して暮らせるようにしているのです。
公的資金を投入されていても、金融機関の行員の給料はまだまだ高いと聞きますが、実態はどうなっているのですか?
○金融機関も民間企業ですから、行員の給料をどうするかといったことは、基本的には、それぞれの金融機関の経営判断の問題です。
○しかし、公的資金によって資本増強を行っている金融機関については、行員の給料などについて国が厳しくチェックしております。すなわち、金融機関が国に対して資本増強を申請した際には、金融機関の経営を健全化・合理化していくためのリストラの目標(役員数、従業員数、役員報酬、人件費等)などについて「経営健全化計画」として提出しております。資本増強後は、国は定期的に経営健全化計画に定めたリストラの目標の達成状況を監視しているのです。
○平成11年3月に資本増強を行った主要行の職員の1月あたりの平均給与は、平成11年3月期から平成17年3月期までの計数をみるとほぼ横ばいで推移しております。これは、各行が人員削減を進める過程で、職員全体に占める高資格者の割合が相対的に上昇したこと等によるものです。
ちなみに、上記主要行の人件費は、平成11年3月期から平成17年3月期までの計数をみると着実に減少しています。
○なお、破綻した金融機関の場合は、旧経営陣は原則として退陣させてきており、これらの退職役員に対して、慰労金の支払いは一切行われていません。
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最近、公的資金を返す金融機関が増えていますが、今どのくらい残っているのですか?
資本増強行に係る公的資金の返済等については、平成10年から15年にかけて行われた資本増強額約12.3兆円(早期健全化法、金融機能安定化法、預金保険法、組織再編成促進特措法)に対し、平成18年3月末までに約5.6兆円が返済されており、残高は6.7兆円となっています。
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銀行等の株式保有制限の導入に伴い、銀行等から売却される株式を買い取る「銀行等保有株式取得機構」が設立されましたが、これはどのような目的で設立されたものですか?また、これが市場原理を歪めることにはならないのですか?
○企業会計においては、企業が保有している株式は子会社や関連会社のものを除き時価評価をしてその変動をバランスシート上の資本の部に反映させることとなっております。我が国の銀行等は株式の持ち合い構造の中で相当程度の株式を保有しており、株価が下落すると自己資本が減少し、財務面の健全性が損なわれる可能性があります。これは銀行等に対する信頼や金融システムの安定性に影響を与えかねません。このような銀行等の株式保有に伴う問題を解消するため、平成13年の臨時国会で成立した「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」(以下「株式保有制限法」)により株式保有制限が課されることとなりました(平成16年9月末から)。
○この株式保有制限の導入に伴い、銀行等は大量の株式を処分する必要があります。しかしながら、一時期に大量の株式が市場に放出されると、これが株価の形成に影響を及ぼし、ひいては株式市場だけではなく、金融システムの安定性や経済全般にも好ましくない影響を与える可能性があります。こうした影響を緩和するため、銀行等の保有する株式の買い取り等の業務を行うことにより株式の処分が円滑に進められるよう、市場売却を補完するセーフティネットとして同じく株式保有制限法に基づき、平成14年1月30日に銀行等保有株式取得機構が設立されました(存続期限は最長10年)。
○株式取得機構の設立後も、銀行は株式を従来どおり市場で売却することができます。また、株式取得機構は銀行から株式を時価で買い取ることとしており、株式取得機構からの売却も時価で行うこととしています。こうしたことから、株式取得機構は、市場原理を歪めないような仕組みとなっていると考えています。
○なお、平成14年の臨時国会で株式保有制限法が改正され、15年1月から株式取得機構は事業法人が保有する銀行株も買い取れることとなりました(銀行からの買取額の2分の1以内)。
○また、平成15年の通常国会での改正により、株式保有制限の適用時期が2年延長(平成18年9月末に)、売却時拠出金が廃止、事業法人からの銀行株買取枠が拡大(銀行からの買取額の同額以内)、及び銀行等保有株式取得機構の存続期限が延長(平成29年3月末まで)されることとなりました。
地域密着型金融という言葉をよく聞くんですが、どういう意味ですか?
地域密着型金融(リレーションシップバンキング)とは、「金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出金等の金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデル」を指します。そして、その本質は、長期的な取引関係により得られた情報を活用し、対面交渉を含む質の高いコミュニケーションを通じて融資先企業の経営状況等を的確に把握し、これにより中小企業等への金融仲介機能を強化するとともに、金融機関自身の収益向上を図ることにあります。
現在、中小・地域金融機関においては、「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」に基づき、地域の再生・活性化や中小企業金融の円滑化を図るとともに、金融機関自身の健全性確保、収益性向上に取り組んでいるところです。
金融庁としては、各中小・地域金融機関が、地域密着型金融の機能強化に向けた種々の取組みを着実に実施することにより、地域の中小企業等の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、経営の健全性を確保し、地域の利用者から十分な信認が得られることを期待しています。
最近、偽造キャッシュカードによる預金引き出しが問題となっていますが、どのようなことに注意すればよいでしょうか?
○キャッシュカードが知らないうちに偽造され、加えて暗証番号情報が盗まれるなどしたため、不正な預金引き出しが行われる事例が問題となっています。その主な手口としては以下のものがあります。
○偽造キャッシュカード被害にあわないために、主に以下の点に注意して下さい。
〔キャッシュカードの管理〕
〔暗証番号の管理〕
○被害を早期に発見するためには、残高照会や通帳記帳をこまめに行うことも重要です。また、ICキャッシュカードや利用限度額の変更機能など、各金融機関が導入している取組みについても上手に利用しましょう。
偽造・盗難キャッシュカードの被害にあった場合、どのように対処したらよいでしょうか?
○キャッシュカードを盗まれた場合や、身に覚えのない引き出しを発見した場合、まずは直ちに金融機関に届け出て、口座の利用を停止しましょう。その上で、金融機関に対して被害の状況を十分に説明するとともに、警察へ相談して下さい。
○平成18年2月10日より、偽造・盗難カード預金者保護法(略称)が施行されました。この法律により、偽造キャッシュカード被害は、預金者に故意又は重過失がなければ被害額の全額が補償されます。盗難キャッシュカード被害は、(1)金融機関への速やか(30日以内)な通知、(2)金融機関への十分な説明、(3)警察署・交番への届出、の要件を満たした場合に被害額の全額が補償されます(但し、預貯金者に過失がある場合には補償額が被害額の4分の3に減額されるほか、故意又は重過失がある場合には補償されません。)。
盗まれた通帳でお金を引き出されてしまったらどうすればよいのですか?
○盗難通帳による不正な預金引き出しの被害は、偽造・盗難カード預金者保護法の対象とはなりませんが、民法の規定により、金融機関に過失がある場合、預金の払出しが無効とされ、補償されることとなります。通帳が盗まれていることに気づいた場合、速やかに金融機関や警察に届け出るとともに、相談して下さい。
○盗難通帳による不正な預金引き出しの被害にあわないためには、通帳と印鑑を別々の場所に大切に保管するようにして下さい。また現在、預金取扱金融機関においては通帳に届出印の印影を残さない取り扱いとしています。印影のある通帳をお持ちの場合には取引金融機関にご相談下さい。
バーセル II とはどのようなものですか?
○バーゼル II とは、2004年6月にバーゼル銀行監督委員会から最終案が公表された、金融機関の新しい自己資本比率規制のことです。バーゼル II は、近年の金融機関のリスク管理実務の進展や金融技術の高度化等を踏まえ、金融機関の直面するリスクをより精緻に評価すると同時に、金融機関のリスク管理能力向上を促すことを目指しています。
○バーゼル II は3つの柱、すなわち、(1)最低所要自己資本比率、(2)金融機関の自己管理と監督上の検証、(3)市場規律から成り立っています。
○「第一の柱(最低所要自己資本比率)」
第一の柱では最低所要自己資本比率を定めており、自己資本比率を算定するにあたり、分母となるリスクの計測を現行規制より精緻化するという点が最も大きな特徴です。
具体的には信用リスク(貸倒れのリスク)の計測の精緻化に加え、オペレーショナル・リスク(事務事故や不正行為等により金融機関が損失を被るリスク)の計測が新たに自己資本比率の算定に導入されました。
○「第二の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)」
バーゼル II においては、銀行勘定の金利リスクや信用集中リスクなど第一の柱の対象となっていないリスクも含め、金融機関自らがリスクを適切に管理し、リスクに見合う適正な自己資本を維持するという「自己管理型」のリスク管理と自己資本の充実の取り組みを期待すること、また当局は、各金融機関が自発的に創意工夫をしたリスク管理の方法について検証・評価を行い、必要に応じて適切な監督上の措置を講ずること等が求められています。
○「第三の柱(市場規律)」
バーゼル II においては、開示の充実を通じて市場規律の実効性を高めることとされ、自己資本比率とその内訳、各リスクのリスク量とその計算手法等についての情報開示が求められています。
検査は何のために行っているのですか?
○金融機関は、預金者や保険契約者から受け入れたお金を元手として、企業に融資又は投資をするといった資金供給の面で重要な役割を果たしています。しかしながら、金融機関の杜撰な審査などによって融資が行われ、損失を膨らませた場合、預金者や保険契約者も徒らに損失を被る可能性があります。
○金融検査では預金者や保険契約者などを保護するとの観点から、金融機関の健全性を確保するため、検査官が金融機関の営業所などに立ち入り、帳簿書類などを見て、業務や資産の状況をチェックしているのです。
金融検査マニュアルって何なのですか?
○金融検査マニュアルは、金融検査を行う際の基本的考え方や具体的なチェックポイントなどを定めた検査官のための手引書です。具体的なチェックポイントは、法令等遵守態勢を確認するもの、各リスク(信用リスク、市場関連リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク)に共通して確認するもの、各リスク管理態勢を確認するもの、等に分けて構成しており、約140ページ程度からなります。
○チェックポイントについては、経営陣の役割を重視しており、法令等遵守態勢に関しては、例えば、「取締役会においては、社会的責任と公共的使命等を柱とした企業倫理の構築を重要課題として位置付け、それを具体的に担保するための体制を構築しているか。」といったポイントを記載しています。また、リスク管理態勢に関しては、例えば、「代表取締役は、各種リスクの特性を理解し、戦略に沿って適切な資源配分を行い、かつ、それらの状況を起動的に管理し得る体制を整備しているか。」といったポイントを記載しています。
○こうした項目は、検査官が金融機関の態勢を評価する際の基準となりますが、これらの水準の達成を金融機関に直ちに法的に義務付けるものではありません。チェック項目について記述されている字義通りの対応が金融機関においてなされていない場合であっても、金融機関の業務の健全性及び適切性確保の観点からみて、金融機関の行っている対応が合理的なものであり、さらに、チェック記述されているものと同様の効果がある、あるいは、金融機関の規模や特性に応じた十分なものである、と認められるのであれば、不適切とするものではありません。
○なお、金融検査マニュアルは、検査官のための手引書ではありますが、検査を受ける各金融機関に予め検査のポイントを周知しておくことは、透明で公正な行政を行う上で必要なことですし、金融機関の自己管理にも役立つと考え、これを公表しています。
※詳しくは以下にアクセスしてみてください。
検査では、金融機関の貸出を制限しているのですか?
金融検査では、金融機関が貸出先企業の状況等を適切に管理しているかなどを事後的にチェックしています。
また、各金融機関は、自らの健全性確保のため、預金者から預かったお金などが、どの程度安全確実な資産で運用されているかを自己評価しています。これが自己査定と言われるものですが、検査では、預金者等の保護の観点から、この自己査定が正確に行われているかどうかも事後的にチェックしています。
しかしながら、検査では、将来の貸出判断などに関与したり、今後の一定の経営判断や行為を求めてはおりません。
金融検査の結果として中小企業は融資を受けられなくなるのではないですか?
金融機関は、自らの健全性を確保するため、預金者から預かったお金などがどの程度安全・確実な貸出などに運用されているかとの観点から自己査定しております。検査では、預金者等の保護のために、この自己査定が正確に行われているかどうかをチェックしていますが、特に、中小企業等への貸出金については、中小企業の財務状況だけではなく、数字には表れない技術力、販売力や成長性、経営者の資質など、経営実態をきめ細かく検証することが重要です。このため、検査において中小企業の経営実態の把握の向上に資するよう、平成14年6月に具体的な検証ポイント及び運用例からなる金融検査マニュアル別冊「中小企業融資編」を作成したのであります。なお、その後、中小企業に対する積極的な働きかけ・再生への取組みを評価などしていくため、同別冊を改訂しております。
中小地域金融機関用のマニュアルを作るべきではないのですか?
○不特定多数の者から預金を預かり、振込などの決済機能を担っている点では、大手行も中小金融機関も同様であり、預金者の保護や金融システムの安定確保のために、各金融機関の経営の健全性を確保する必要性に変わりはありません。
○さらに、中小・地域金融機関に対し、異なる物差しで検査を実施した場合には、市場や預金者からは疑念をもって見られてしまい、かえって信頼を失うおそれもあります。
○こうしたことから、金融検査にあたっては、全ての預金等受入金融機関について、共通の検査マニュアルや会計基準等に基づき検証を行っています。
○ただし、Q19で回答していますように、中小企業向け貸出金の自己査定の正確性の検証にあたっては、その経営実態をきめ細かく検証しているところであります。
「金融検査評定制度」とはどのようなものですか?
○金融検査評定制度は、金融検査マニュアル等に基づき検証した検査結果について、「法令等遵守態勢」や「信用リスク管理態勢」等の9つの評定項目毎(注1)に、段階評価(A、B、C、Dの4段階)を示すものです。
○この制度の趣旨は、まず、金融機関自身の経営改善に向けた動機付けを図るとともに、金融機関と検査官との双方向の議論を充実させることにあります。また、評定結果を、その後の選択的な行政対応(検査頻度、範囲、深度)に結びつけることで、動機付けの意味合いを高め、より効率的かつ実効的な検査の実施にもつながり、さらに、金融行政の透明性を高め、金融機関にとっての予見可能性の向上に資することを期待するものです。
○他方で、評定制度の導入に伴って金融検査の本質が変化するわけではなく、あくまでも従来どおり金融検査マニュアルに則った検査を行ったうえで、その結果に対して段階評価を行うというプロセスが加わっただけであるとご理解下さい。
○なお、評定制度については、預金等受入金融機関を対象(注2)としており、平成18年1月より試行(注3)を開始したところです。本格施行の時期については、昨年7月に公表したスケジュールにおいて、「平成18検査事務年度以降、速やかに施行に移すこととする」とされているところですが、評定に係るデータやノウハウの蓄積等の様々な準備作業を踏まえ、決定したいと考えております。
(注1)該当項目は、例示した2つのほか、「顧客保護等管理態勢」、「リスク管理態勢(共通)」、「自己資本管理態勢」、「資産査定管理態勢」、「市場関連リスク管理態勢」、「流動性リスク管理態勢」、「オペレーショナル・リスク管理態勢」があります。
(注2)対象金融機関は、次のとおりです。
(注3)試行期間中の評定結果は、検査結果通知の一部として通知されますが、その後の選択的な行政対応には反映されません。
※詳しくは以下にアクセスしてみてください。
「金融検査評定制度」について(17年7月1日)
「金融検査評定制度の施行に関するQ&A」について(18年3月30日)