趣味Do楽 いただきます お寺のごはん〜心と体が潤うレシピ〜第6回▽普茶料理 2015.01.21


洋風の味わいも楽しんで下さいね。

日本古来の食とお寺には深い関わりがあります
お寺に受け継がれてきた無駄のない食の中に心と体を豊かにする知恵が詰まっています。
そんな各地の「お寺のごはん」を私とよた真帆が訪ねました。
「お寺のごはん」から日々の暮らし自分自身を見つめ直すヒントがきっと見つかるはず
京都・萬福寺で江戸時代に中国から伝わった精進料理を学びます。
今回は料理僧のお二人と一緒に萬福寺を訪ねその多彩な魅力を探ります
こんにちは。
とよた真帆です。
「趣味Do楽お寺のごはん〜心と体が潤うレシピ〜」。
教えて下さるのは料理僧の青江覚峰さんと吉村昇洋さんです。
(3人)よろしくお願いいたします。
料理僧として食を切り口にお寺を身近に感じてもらおうと活動する吉村さんと青江さん。
これまで5回にわたって2人の料理僧から家庭でも作りやすい「お寺のごはん」のレシピを教わりました。
残すところあと3回。
東京・深大寺の蕎麦や最後は3人で集大成の一膳に挑戦するなど今後も続きます。
ご期待下さい。
普茶料理っていうものはどういうものなんでしょうか?もともと日本の食文化でほとんど油というものを使う事がなかったんですね。
非常に貴重なものだったので。
ところが普茶料理が始まって…しかも椅子とテーブルという全く新しい食の様式が日本に入ってきたわけですね。
あと一番思い出しやすいのはがんもであるだとか…。
もどき料理ですかね。
そうです。
何かに似せているお料理。
そうです。
じゃあアイデアしだいでいろんなものに変化してもともとお野菜なのにまるでお肉っぽくとか。
そうですね。
そういうふうに出てくるんですね。
そんな興味深い普茶料理とはどのようなものか。
私たち3人は萬福寺に向かいました。
萬福寺があるのは京都の南。
お茶で有名な宇治市です。
町の中央には滔々と宇治川が流れています
その宇治川から程近くに黄檗宗大本山萬福寺があります。
萬福寺は江戸時代初頭日本の禅宗に新風を吹き込んでもらおうと隠元禅師を中国から招いて建立されました
そのため日本古来のお寺とは随分趣が違っています。
例えば境内に入ってすぐのお堂には大きなおなかの布袋様が。
実は布袋様は実在した中国の僧侶で弥勒菩薩の化身と言われているそうです
ようこそいらっしゃいました。
私たちを出迎えて下さったのは萬福寺の広報担当…
布袋さんがこの場所におられるというのは黄檗宗の寺院としては基本的な?いや〜これはどちらかと言うと中国の様式だと思います。
このお堂からお寺の入り口になっていると。
天王殿というのは中国ではお寺の玄関口を表すという事で萬福寺でもこのような造りになっております。
萬福寺のお堂や庭園などその建築様式は江戸時代の日本では画期的。
隠元禅師は住職を務めた福建省の寺院をそのまま再現したのです。
どこを見ても大陸の雰囲気が漂っていました
どこか異国に迷い込んだような気分
すごい美しい。
(青江)ここの回廊もすごくすてきですよね。
(廣瀬)こちら開といいましてお食事の前ですとか法要の前に時間を告げるものとして使われております。
この開。
実は現在のお寺で当たり前に見かける木魚の原型なんだとか
江戸時代の前は木魚は使われてなかったという事ですか?やはり隠元禅師が来られた時にその影響で広まったと。
はあ〜。
隠元禅師が広めたものは木魚だけではありません。
建築や美術医学などさまざまなものを伝え江戸時代の人々に多くの影響を与えました。
中でも他の宗派にカルチャーショックを与えたのがお経のあげ方
木魚だけでなく鐘や太鼓でリズムをとりながらお経を読むのがこの宗派の特徴です。
更にみんな立ってお経を読んでいるのも違う点です
それはなぜか?食事の時間になってその理由がだんだん分かってきました
食事の支度が整うと開の合図で修行僧たちが食堂である斎堂に集まってきます
驚いた事に萬福寺では正座ではなく椅子と机で食事をとります。
更に大皿に盛られたおかずを取り分けています。
これも中国から伝わった風習
実は椅子と机で食事するのも立ってお経を読むのもお堂内が全て瓦敷きになっているから。
畳文化がない中国から来た禅のスタイルなんです。
こうした文化の違いは普茶料理にも色濃く表れています。
「普茶」とは読んで字のごとく「普く大衆とお茶を供にする」というこの宗派の精神を表す言葉。
つまり身分の隔たりなく食卓を囲み食事をする事が普茶料理のスタイルです。
普段は質素な禅宗でこうした料理が並ぶのは普茶料理がもともと特別なもてなしの料理だったからと言われています
(一同)よろしくお願いいたします。
今回料理を作って下さったのは…
この寺では典座和尚は調理をつかさどる重要な役職です
普茶料理を頂くのが私はきちんと頂くのが初めてなもので作法とかがあったら教えて頂きたいんですけど。
別に作法はございません。
上下の隔てなく卓を囲んでお召し上がり頂くというのが普茶料理の基本でございますのでどうぞご遠慮なく。
まず何から頂けばいいですかね?メインディッシュが…こちらの方は…手前から海のもの池のもの里のものそれから山のもの。
こちらはぜんまいと葛をからしであえたもの。
そしてこれはしらすもどき。
こんにゃくを薄くスライスして魚のしらすに見立てたものです。
レモン風味でさっぱり頂きます。
これはぬたもどき。
禅宗ではねぎ類を使わないので青菜で代用し練りごまで風味を引き立てています。
他にも一手間をかけた多彩な品々が並んでいます
へえ〜美しい。
じゃあ取らせて頂いて。
(3人)いただきます。
これはお豆腐の燻製って。
はい。
うん奥行きのある。
(荒木)ちょっとチーズのような。
はい。
奥の複雑な形のものは?
(荒木)これですか。
まあお召し上がり頂いて…。
ではいただきます。
高野豆腐?ええ高野豆腐でございます。
初めてこの高野豆腐とアーモンドが出会ったのを体験しました。
おいしいですねこれ。
しかもジューシーな。
おだしが入って。
おだししっかり含んだ状態で揚げているので口の中で味が広がってこれはおいしいですね。
(荒木)ありがとうございます。
面白いですね。
こちらちょっと甘いですけれど。
(青江)りんごですよね?
(荒木)りんごの紹興酒煮です。
(青江)紹興酒なんだ。
この香り紹興酒なんだ。
あれお酒いいんですか?黄檗宗でございますので檀信徒さんに華僑の方がたくさんいらっしゃいます。
お供えもので紹興酒等を頂戴いたします。
それでもってその紹興酒で煮さして頂いたりんごです。
お供えで紹興酒が上がるんですね。
ですから紹興酒面白いであろうと思ってこれ私のオリジナルでございます。
このもどきのようななになにに似せてとかというものはどこから生まれたもの?
(荒木)私は思いまするに調理する和尚方がクリエーティブな方であったんじゃないかなと。
お亡くなりになった方の法要とかをなさいましてそれでその悲しみに打ちひしがれている方々の心をお慰めしようという事でもってこのもどき料理。
奇をてらうわけじゃないですけどそういうふうに考えて作り出したものでもあるのではないかなと。
心をしっかりと込める。
その手間をしっかりとかけるという事に表現していくというところですよね。
はい。
見た目と口の中に入れた瞬間のギャップがすごいです。
「えっ」ていうそれがすごく楽しい。
これほんとに一つ一つすごく味わいが優しくてでも豊かですよね。
恐れ入ります。
私なりに…
素材そのものが持つ味を生かしながら色とりどりに姿を変える普茶料理。
それが食の楽しみを広げ江戸時代の最先端と呼ばれる料理になりました
(青江とよた)おいしかったです。
ありがとうございました。
今日普茶料理を頂いていろんなアイデアがキュッと濃縮されてそしてどんどん進化していくじゃないですけど新しいものが取り入れられていくお料理なのかなと思ったんですがこれから作られる普茶料理というものはどのようにお考えでしょうか?その時代時代に応じてよりクリエーティブに皆さんに喜んで頂けるようなお料理を作っていきたいと思います。
時代時代というとどんどん新しい食材とかも出てくるので。
そうですね。
いろんなものを取り寄せるなり日本だけのものじゃなくして作っていきたいなと思っています。
楽しみですねこれからも。
世界の普茶料理。
世界の普茶料理ですね。
普く広がっていければと思いますねほんとに。
今日はありがとうございました。
こちらこそどうも。
(一同)ありがとうございました。
普茶料理頂いて油をよく使っていたお料理多かったですよね。
だからねおなかいっぱいになって私もう夜食べれないぐらい。
私本当にしらすかなと思って。
お寺でしらすかなと思って…。
何でしたっけ?こんにゃく。
こんにゃくをすごく細く切ったやつですね。
あれ作るのに手間かかるっておっしゃってましたね。
だから何かすごくびっくりするというかお寺でそういう特に精進料理って普茶料理って言ってるのにそうしたものが出てくるって事にちょっと驚きがあってそれがすごく楽しかったです。
ええそうですね。
萬福寺ならではというのがりんごを紹興酒で炊いたもの。
あれおいしかった。
紹興酒がたくさんお布施として頂くというのは日本全国の中でも萬福寺というのは独特なんだなというのを感じましたね。
ありがたいですよね。
そんな普茶料理を頂いて経験してきて今日はどんなお料理を作って下さるんでしょうか?今日はこの普茶料理のアイデアを受けましてもどき料理として角煮を作っていきたいと思います。
楽しみですね。
何で作るのかな?何でしょうね。
吉村さんは今日は?お手伝いをさせて頂きます。
(3人)よろしくお願いします。
今回はボリューム満点。
食べ応えたっぷりの…使う材料はこちら。
昆布だしで車麩を戻し野菜はあしらいに使います。
一般的なお麩と違い車麩はしっかり焼き固めてあるので歯応えある食感と弾力が楽しめます。
今日はもどきという事ですが。
角煮を作っていきたいと思います。
これが角煮だ。
なるほど。
通常はこれをこちらにある昆布だしに浸して1時間ほど柔らかくなるまで戻していくんですが昆布だしにつけておきましたのでこのように一回り大きく膨らんでおります。
ほんとだ大きい。
まずある程度汁けが残る程度につけた車麩を絞ります。
そしてそれを4等分に切っていきます。
合わせ調味料は砂糖にしょうゆみりんとシンプルな味付け。
よく混ぜてなじませておきましょう。
これ昆布だしいい香りですね。
そうですね。
昆布だしをわざわざ用意するのが大変な方は水で戻して頂いても結構ですがやはり昆布だしがここでつかっている事によって下味まではいかないですけれども香りですとか優しい味わいがつくので私は毎回必ず昆布だしで車麩を戻すようにしております。
もういい香り。
さて車麩もこのように。
はいありがとうございます。
じゃあこれを早速焼いていきたいと思います。
フライパンに少し多めのサラダ油をしき中火で熱して車麩を焼いていきます。
揚げるように焼いていく事で少したつとしっかりいい塩梅の焦げ目がついていくんですね。
いい塩梅出た!今回は角煮という事で豚らしい見た目を作っていくというのも非常に大切になるわけですね。
これで見た目がね確かに。
そこで今回この焦げ目がある事でより豚らしく見えるようになっていきます。
あとはこの時にお箸で持ち上げる時にギューッと押さえてしまうとその分水分が出て油がはねてしまうので優しく持ってスッとこうひっくり返していくというのもコツですね。
青江さんそれが今日の心得ですね。
はい。
はいいい塩梅に焦げ目がついてきましたので。
おいしそう。
ありがとうございます。
では真帆さんこのおしょうゆを大体スプーン1杯ずつぐらい車麩にかけていって頂けますか?あ〜いい香りがしますよ。
弱火にして合わせ調味料をスプーンで少しずつかけながら全体になじませていきます。
それらしく見えてきましたね。
ほんとだ。
いかがでしょうか?お〜!楽しいですね。
ちょっと角煮らしく見えてきましたか?角煮って言われたら角煮ですねこれは。
アハハハハハ…。
ここで付け合わせとなる下ゆでしたじゃがいもとにんじんを合わせ焼きからめていきます。
照りが出てきたら余計にそんな。
おいしそう!もうほんとに角煮です。
ではこれで出来上がりです。
今回普茶料理をヒントにしたアレンジ料理はボリュームたっぷり「車麩の角煮もどき」。
まるで豚バラ肉を使ったような見た目が食欲をそそります。
(3人)いただきます。
これはこれは…まず角煮から。
お味はいかがでしょうか?うん!角煮かな。
ウフフフフ。
フフフフフ。
ほんと油吸っててほんとにちょっと豚の角煮の…。
普通の精進料理ですと淡といって薄味で調えるんですけどもここは角煮というものをイメージして普段のものと比べてだいぶ濃いめに調えておきました。
すごい濃いですね。
濃いですね。
他にも使い方を工夫する事ができる食材もあります。
何か出てきましたよ。
はいこちらです。
何ですか?これ。
お肉っぽいですけど。
何だと思いますか?鶏肉と卵のそぼろ丼に見えます。
実は高野豆腐と木綿豆腐で作った「鶏そぼろ丼もどき」でございます。
これももどき料理なんですね。
はい。
是非お召し上がり下さい。
この黄色って何でつけてるんですか?味付けにしょうゆ砂糖油を加え一煮立ちさせると本当のいり卵と間違うほどの出来栄えになります。
高野豆腐の方は車麩と同じように水で戻したものをおろし器ですりおろしてそぼろ状態にしたものです。
お砂糖を利かせて甘めに炊き上げてます。
うん!すごく優しくておいしい。
おいしいですね。
卵に似せてるのが豆腐の柔らかさと卵の柔らかさってああ似てるんだなって再確認させてもらえる。
豆腐を普通に煮るだけじゃなくて気持ち油を入れてるんですね。
そうすると油がなじんで卵のつるんとした食感というか口当たりに近づいてきます。
こうやって車麩であったり高野豆腐もそのものがこういうふうに食材としてありますけれどもどんな形に料理していくのかで世界はどんどんどんどん広がっていくんですね。
はい。
今日もおいしく完食です。
ごちそうさまでした。
(青江吉村)ごちそうさまでした。

(テーマ音楽)2015/01/21(水) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 いただきます お寺のごはん〜心と体が潤うレシピ〜第6回▽普茶料理[解][字]

京都・萬福寺は、隠元禅師が江戸時代に開いた寺院。中国の禅の文化が色濃いこの寺で作られるのが普茶料理。その極意とは?肉を使わず豚の角煮そっくりなもどき料理も紹介!

詳細情報
番組内容
普茶(ふちゃ)とは「あまねく大衆と茶を共にする」という意味で、身分に関係なく食卓を囲むという平等の精神を表す。普茶料理は、江戸時代、明から渡来した隠元禅師が伝えた当時最先端の食文化。大皿に盛られた料理を取り分けたり、肉や魚を模した「もどき料理」は、目でも楽しませてくれるもてなし料理。大陸的な雰囲気が漂う萬福寺にとよた真帆さんと二人の料理僧が訪ね、その魅力を探る。ヘルシーな「角煮もどき」も必見!
出演者
【案内人】とよた真帆,【出演】黄檗宗萬福寺典座和尚…荒木鉄雄,曹洞宗普門寺副住職…吉村昇洋,浄土真宗緑泉寺住職…青江覚峰,【語り】青井実

ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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