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固定資産税の過徴収多発 明細や帳簿の確認を

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 土地や建物にかかる固定資産税の過徴収が多発している。市町村が課税額の計算を誤ったのが原因で、公表まで納税者本人は気付かなかった。税額が正しいかどうかは、役場に行けば税額をはじき出した根拠を教えてもらえる。「税金が高すぎる」と感じたら、確認してみてはいかが。

 「市が税額を間違えたなんて、信じられない」。名古屋市の無職男性(83)は憤る。

 男性が過徴収を知ったのは一年ほど前。市担当者が電話で知らせてきて、市からの謝罪文も届き、二〇〇九〜一二年度分の計十五万四千八百円が還付された。男性は一九八九年、市内に所有していた三百十五平方メートルの土地に、二戸が入る共同住宅一棟を建設。ところが市は一戸と誤認し、一戸当たり二百平方メートルまでの宅地の税額を安くする小規模住宅用地の特例を、一部に適用していなかった。

 男性は「全然知らなかった。市が間違えたのに、二〇〇九年度より前の過徴収分を返さないのはおかしい」と二重に怒る。だが市固定資産税課は「地方税法の時効は五年」と還付に応じていない。

 課税の誤りは、全国ほとんどの自治体で起きている。総務省の調査(岩手、宮城、福島の三県を除く)では、〇九〜一一年度に税額修正が一件でもあった自治体の割合は97%。本来より多く払った人は約二十五万六千人に上った。原因は▽住宅用地の減額特例を適用せず▽家屋の構造を誤認▽データの入力ミス−など。誤徴収が相次ぐ事態を受け、総務省は昨年九月、課税事務の見直しを促す通知を出した。

      ◇

 誤徴収多発の事態に、納税者としてできることがある。まずは市町村から四、五月ごろに郵送されてくる課税明細書をチェック。記載内容は市町村によって多少異なるが、地目や建物構造、面積が正しいか確認する。住宅用地の特例適用や、建物の建築年数の記載がある明細書もある。

 次に役場窓口で、四月一日から一カ月程度公開される土地・家屋価格帳簿の縦覧。帳簿には評価額が書かれており、土地や建物の条件が似通った近隣地と比べてみる。納税通知書か身分証明書を持参すれば、自分の土地や建物の課税額がどう計算されたのか担当者が教えてくれる。不動産鑑定士の田中利彦さん(51)=三重県=は、固定資産税額に関する相談を年間二十件ほど受けており、このうち三割ほどが過徴収だったという。田中さんは「自治体窓口で、納税額の算定の仕組みや評価の理由をしっかり確認した方がいい」と話す。

 (寺本康弘)

 <固定資産税> 申告が必要な所得税などとは違い、市町村が計算し土地や建物などの所有者に課す地方税。小規模住宅用地の特例は、所有者が住み続けることができるように設けられており、1戸当たり200平方メートル以下で税額を6分の1に減額。それを超える部分は3分の1に減額する。

 

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