くらし☆解説「どうなる?高齢者の運転免許」 2015.01.21


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうは、どうなる高齢者の運転免許という話題です。
高齢者による道路の逆走といった事故を防ごうと75歳以上の人が運転免許を更新する際の制度が、見直されることになりました。
寒川由美子解説委員とお伝えします。
寒川さん、高齢者の運転といいますと、本人だけではなく、もし何かあった場合、周囲の人やご家族の方にも関わってきますから非常に気になるところなんですが免許制度はどう見直されようとしているんですか。
寒川⇒ひと言で言うと判断力や記憶力など認知機能が低下した認知症とみられる人について免許更新の要件が厳しくなるんです。
背景には高齢者による交通事故が後を絶たない現状があります。
死亡事故の件数は、減っているのに対し75歳以上の人が運転していた死亡事故の割合は年々増えています。
警察庁によりますと免許を保有する75歳以上の人は430万人に上るんですが、このうち6%から16%程度の人は認知症とみられるという推計もあります。
今月7日には、東京板橋区で茨城県に住む83歳の男性が軽乗用車で首都高速道路を逆走しトラックやトレーラーと次々に衝突して死亡しました。
男性は認知症だったということです。
警察によりますと去年1月から9月までに起きた高速道路の逆走、165件のうち少なくとも23人のドライバーは、認知症だったとみられるということです。
こうした事故を背景に制度が見直されるというわけですね。
寒川⇒改正のポイントを見る前に今の制度について説明します。
今の制度では75歳以上の人は3年に一度の免許更新の際認知機能を調べる検査が義務づけられています。
全部で16個。
これ、大砲です。
いくつかのイラストを見て覚えて何があったのか描き出すんですね難しそうあとで思い出す記憶力の検査。
ですね。
時計の絵を描く検査では数字の位置や針の長さなどから位置関係の把握ができているかを見ます。
そしてそれぞれの検査結果に応じて2時間半ほどの高齢者講習を受けます。
実際に車を運転する講習も受けたうえで免許が更新されます。
検査の結果は認知機能が低下している、少し低下している、心配ない、の3段階に分けられるんですが今の制度では低下と判定された人も、原則として免許は更新されるんです。
そうなんですか?わざわざ検査で分けたのに。
寒川⇒道路の逆走など、違反をした場合のみ医師の検査が義務づけられていましてそこで認知症と診断されれば免許取り消しとなりますが違反が事故につながる危険性を考えますと違反の時点ではもう遅いということになりかねません。
そこで道路交通法が改正されることになりまして、来週からの国会で審議されます。
改正案では認知機能が低下という人、全員に医師の診断を義務づけることになりました。
そこで認知症と診断されれば免許が取り消しということになります。
低下という結果が出たら必ず1段階増えて医師の診断を受けるということですね。
寒川⇒はい。
それ以外の人でも逆走など認知症と疑われる違反をした場合寒川⇒臨時に認知機能検査を受けることなります。
その結果、低下と判定されれば医師の診断を受け認知症と診断されれば免許が取り消しとなります。
こちらのケースになるんですね。
このような制度を変えるうえで2つの大きな課題があります。
どんなことですか。
寒川⇒1つは認知症の正しい理解と周囲の対応、もう1つは移動手段の確保や生活支援です。
どちらも大切ですね。
まず大切なのは認知症になるとどんな運転となって現れるのか本人や家族、周囲の人がきちんと知っておく必要がありますし認知症になりますと、位置関係の把握が難しくなることでセンターラインをはみ出す、集中力が低下することでブレーキなどの操作が遅くなる。
社会のルールを守るのが難しくなり信号を無視するこうした運転行動は、重大な事故を引き起こすおそれがあります。
危険ですね。
加害者となって相手を傷つけることもありますし自分の身も危険です。
ですから家族や周囲の人が行動に気付いて危険だから運転をやめるよう説得することが大事なんですが、本人に病気の自覚がない場合も多く難しいんですね。
本人が大丈夫だという場合説得するとかえって怒り出してしまうこともあるので難しそうですね。
ただ車のキーを隠すなど、無理に運転をやめさせるような対応をとると、かえって意地になって拒否したり被害妄想を悪化させたりするおそれがあります。
どう対応していけばいいですか。
認知症の高齢者や家族の支援について研究している専門家の荒井さんによりますと説得には家族や周囲のねぎらいが大切だといいます。
自分が今までやれていたことやっていたことを中止するというのは誰にとっても大きな決断ですので運転を中止したというまずは、その決断と勇気に対して運転を中止というよりは今まで運転してくれてありがとうって、そこもねぎらって差し上げることが大切だと思います。
ねぎらいのことばを、とにかくかけるということですね。
荒井さんたちは認知症の高齢者の方やご家族などに向けた、支援マニュアルをまとめインターネットで公表していますこちらも参考になると思います。
本人が決断する、家族の説得に応じて運転をやめるといった場合どうすればいいですか。
運転免許をみずから警察に返納する自主返納という制度があります。
自主返納をしますと免許証の代わりに本人確認の証明書にもなる運転経歴証明書を発行してもらえます。
自主返納を促すために、多くの自治体ではこの証明書を持つ高齢者にタクシーやバスの運賃を割り引く制度を設けています。
また商品券を贈るという自治体もあるほかデパートやレストランで割引をしてくれるところもあります。
そんな特典が得られる可能性があるんですね。
寒川⇒はい。
運転や運転に不安がある方や、そのご家族は医師や警察に相談するなどして早めに自主返納を検討してみることも大切です。
自主返納も、大事な選択肢ということですね。
寒川⇒はい。
しかし2つ目の課題、移動手段生活支援が必要になります。
65歳以上の高齢者の交通手段ですが、都市部に比べて地方ではマイカーに頼る割合が多く、6割近くに上っています。
背景には過疎化で鉄道やバスの路線廃止が相次いでマイカーに頼らざるをえない実態があります。
うちの実家もそうですが買い物や病院への通院にマイカーがないと本当に困るというところも多いですからね。
寒川⇒自治体の中には、駅や病院までコミュニティーバスを運行したり乗合タクシー、あるいは予約制のタクシーなどに補助金を出す、あるいは買い物支援サービスを行っているというところもあります。
自治体が動いているわけですね。
寒川⇒高齢化社会の中で、国や自治体は認知症の方に限らず誰もが利用しやすい公共交通ネットワークを再構築していくことが求められると思います。
社会としてもどう取り組んでいくかが重要だということですね。
寒川⇒そうですね、認知症の方は10年後には今より200万人増えて700万人、高齢者の5人に1人になると推計されています。
自分の身を守り、人を傷つけず家族を悲しませないためにも私たち自身が、いざとなったら運転をやめることを考えそれに備えていくことが大切だと思います。
寒川由美子解説委員でした。
次回のテーマです。
真冬のこの時期、増えるのがストーブなどの暖房器具の事故です。
2015/01/21(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「どうなる?高齢者の運転免許」[字]

NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:18896(0x49D0)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: