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スカイマーク 安さの優位低下で業績悪化
1月28日 21時45分

平成10年に航空業界に参入したスカイマークは、運賃の安さで成長してきましたが、ここ数年は相次ぐLCC=格安航空会社の参入や大手2社との競争によって業績が悪化していました。

「安さ」の優位性低下

スカイマークの前身のスカイマークエアラインズは、規制緩和後の初の新規航空会社として、平成8年、旅行会社などの出資によって設立されました。
平成10年9月に羽田と福岡を結ぶ路線で運航を開始し、その後、運賃の安さを売り物に年々路線を増やしましたが、大手2社による対抗値下げの影響などで赤字が続きました。
このため、インターネット関連企業の創業者だった西久保愼一氏が増資を引き受け、平成16年から西久保氏みずから社長として経営再建を進めました。
しかし、いったんは業績の改善は進んだものの、LCC=格安航空会社が相次いで登場し、運賃の安さという優位性が低下しました。

戦略転換するも

スカイマークはその後、厳しい状況を打開しようと、価格だけでなくサービスで競う戦略への転換を打ち出します。
間隔の広い座席を取り入れたエアバスの「A330型機」を主力路線に導入したほか、期間限定で客室乗務員にひざ上15センチのミニスカートを着用させて話題を呼びました。
さらに、1機当たり300億円ともされる世界最大の旅客機「A380型機」を6機購入すると発表し、新たな収益の柱として国際線への本格参入を目指していました。
しかし、業績の悪化から購入資金の調達にめどが立たず、この機種の契約を見直そうとした結果、去年7月、エアバスから契約の解除とともに巨額の違約金の支払いを求められる事態となりました。

収益悪化 改善策模索するも

利用者の低迷は続き、円安で燃料費の負担も大きくなったことから、昨年度の決算では5年ぶりの最終赤字に転落し、今年度は最終的な損益が136億円と過去最大の赤字の見通しになりました。
また、スカイマークの決算書によりますと、手元の資金を示す現預金はおととし3月末は231億円でしたが、去年3月末では70億円、9月末には45億円と急速に減少しました。
このためスカイマークは、コスト削減のため成田空港から撤退したり、米子空港を発着する便などの休止を相次いで決めるなど、不採算路線の見直しを進めました。
さらに、経営体力を回復させようと国内や海外のファンドなどとの間で融資や出資を求める交渉を始めました。
しかし、業績の悪化に加え、エアバスから多額の違約金を求められていることも影響し、交渉はまとまっていません。
メインバンクと呼べる銀行を持っていないかったことも裏目に出て、まとまった資金を自力で確保することが困難になりました。
また、収益力の強化を目指して、航空業界では異例と言える全日空と日本航空のライバル大手2社との共同運航を目指して交渉も始めましたが、これも実現には至っていません。
こうした厳しい状況のもと、スカイマークは、予備のエンジンやパイロットの訓練装置を売却したり航空機のリース費用の支払いの延期を要請したりと、まさに自転車操業の状態で資金繰りを続けていました。
しかし、乗客の搭乗率が低下したうえ、冬場の悪天候や航空機の整備の遅れなどで欠航が相次いだことも追い打ちをかけ、経営破綻に追い込まれました。
平成8年の会社設立から19年目、平成10年の運航開始から17年目でした。

単独運航路線は10

スカイマークは羽田空港や神戸空港を中心に13の空港に就航し、経由便を含めて国内27路線を運航しています。
このうち、ほかの航空会社の運航がなくスカイマークが単独で運航しているのは、経由便も含めて10路線あります。
▽茨城空港と新千歳、米子(神戸経由)、神戸、福岡、那覇(神戸経由)をそれぞれ結ぶ路線、▽神戸空港と仙台、長崎、米子、鹿児島を結ぶ路線、▽さらに米子と那覇を結ぶ路線です。
スカイマークの利用者は低迷が続き、先月の搭乗率は前の年の同じ月より5.6ポイント低下して54.5%となり、12月としてはこれまでで最も低くなりました。

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