アンマン=渡辺丘、三浦英之
2015年1月28日01時14分
27日午後5時(日本時間28日午前0時)、現地対策本部があるヨルダンの首都アンマンの日本大使館前。新たな展開を受けて集まった約30人の報道陣がカメラの列をつくり、騒然とした雰囲気に包まれた。日本政府は後藤さんに加え、同じく「イスラム国」の人質になっているヨルダン軍パイロットの救出についてもヨルダン側と連携を始めたばかりだった。
「イスラム国」は後藤さんを解放するのと引き換えに、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求めてきた。
しかし、ヨルダン政府は27日までに公式な声明を出しておらず、政府当局者も朝日新聞の取材に対して「ノーコメント」を貫き続けた。
そこからは、ヨルダン政府が置かれた立場の難しさが読み取れる。
ヨルダンは昨年9月からシリア領内での「イスラム国」に対する米主導の軍事行動に参加していた。しかし、昨年12月に北部ラッカでヨルダン軍の戦闘機が墜落し、パイロットが「イスラム国」の人質になった。
国内では軍事行動に加わることへの反対も多く、さらに、パイロットの救出を優先するよう求める世論が根強かった。
関係者によると、ヨルダン政府内ではパイロットとリシャウィ死刑囚を交換する案が浮上。「イスラム国」側と水面下で慎重な交渉を進めていたとされる。
地元メディアによると、アブドラ国王は25日の主要紙編集長との会合で、パイロットの救出が最優先課題だと述べた。後藤さんについての国王の発言は伝えられなかった。
ヨルダンは日本から多額の資金援助を受ける伝統的な友好国だが、後藤さんの解放をめざす日本政府と、国内世論の間で「板挟み」になっていた。
イスラム過激派に詳しいヨルダンの研究者ハサン・アブハニヤ氏は、「『イスラム国』は日本とヨルダンとの交渉で真剣味を感じなかったので、24時間の期限を設定した。リシャウィ死刑囚と日本人の人質の交換を求めたが、ヨルダンはパイロットとの交換を優先し、交渉に時間をかけたのではないか」と分析する。
ヨルダンの態度が「イスラム国」をいらだたせたのか。今回の画像で示された新たなメッセージに、ヨルダン政府がどう対応するかが注目される。(アンマン=渡辺丘、三浦英之)
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朝日新聞国際報道部
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