村上さん、はじめまして。『ねじまき鳥クロニクル』が大好きです。
村上さんが書く文章で特に、情景や人物の仕草・表情・特徴などについての特徴的な比喩表現が気に入っています。小説の世界に入ると自然と舞台の情景が頭に浮かび、登場人物の息づかいを耳にしながら文章を目で追うわけですが、その中であまりにも見事な比喩表現が文面に流れてくると、思わず「決まった……!」と心の中でつぶやき集中が切れてしまうくらい。この比喩的表現は、文章を書いている中で自然と思いつくものなのでしょうか? それとも、思いついたものをネタ帳みたいなものにストックしておいて、そこから引き出して書いているものなのでしょうか? 教えていただけると非常に嬉しいです。
(出し入れ、男性、28歳、ベンチャー投資・支援)
その手のことはストックしていません。ノートを持ち歩いてメモしたりとか、そういうことはまったくやりません。机に向かって書いているうちに自然に出てきます。無理にひねり出すようなこともありません。いきあたりばったりです。だいたい比喩なんて、なきゃないでいいわけだから、すらすらと出てくるものだけを書くようにしています。無理にくっつけようとしてもうまくいかない。でもまあゲームみたいなもので、ぴたっと表現がはまると気持ちが良いし、楽しいですね。たしかに。
村上春樹拝