冨名腰隆、ワシントン=大島隆、カイロ=春日芳晃
2015年1月22日07時23分
「イスラム国」に対し、米国は身代金の支払いなど、要求に応じない姿勢を貫く。一方で応じたとされる国もある。
「イスラム国」に誘拐・殺害された米国人ジャーナリストのジェームス・フォーリー氏。家族や、彼を雇用したニュースサイトに対して、殺害前に100億円以上の身代金の要求があったという。
フォーリー氏の家族は、寄付を募って身代金にあてようとしたが、米政府から「テロリストに資金提供した罪で訴追される恐れがある」と警告されたと明かし、米政府を批判した。
米国は、身代金の支払い拒否を国際的な合意にしようと各国に同調を求める。
「自国民を守り、敵への資金供給を断とうとするなら、すべての国々が『身代金は払わない』という方針を適用しなければならない」。コーエン財務次官(テロ・金融犯罪担当)は昨年10月、講演で訴えた。
13年の主要国首脳会議(G8サミット)は「テロリストへの支払いを拒否する」と首脳宣言に盛り込み、「世界中の国と企業に対して、我々の後に続くよう求める」と訴えた。
ただ各国の足並みはそろっていないようだ。ニューヨーク・タイムズ紙は解放された人質などの証言に基づき、フランス、ドイツ、スペインなどの人質十数人が身代金と引き換えに解放されたと報じた。支払われた身代金は、平均すると1人あたり200万ユーロ(約2億7千万円)以上という。
トルコは昨年6月中旬、イラク北部モスルにある領事館が「イスラム国」の前身組織に襲撃され、総領事を含む外交官や職員、家族ら49人が拘束された。トルコ政府は同国東部の部族などを通じて交渉し、3カ月後に全員が解放された。
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朝日新聞国際報道部
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