三鷹市議会が12月19日の本会議において、2009年6月に可決した意見書の意見を事実上撤回する意見書を賛成多数で可決したことが新聞で報じられました(『東京新聞』2014年12月21日付朝刊)。 『東京新聞』2014年12月21日付朝刊 2009年6月23日に可決された意見書は、次のようなものでした。 「1993年の河野談話は、第一次、第二次調査を経て、「われわれは、このような歴史の真実を回避することなく、むしろ教訓として直視し、歴史研究、歴史教育を通じ永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を表明し、今後とも民間の研究を含め十分に関心をはらっていきたい」旨の発表がなされている。 今、この精神を維持・発展させて、内容を具体化することこそがアジアの人々の戦争被害の傷をいやし、和解して、平和的に共存していく道筋をつくることにつながることと確信する。 被害者の存命中に名誉につながる納得できる解決が急がれる。 よって、本議会は、政府に対し、下記の項目について、国の誠実な対応を強く求めるものである。 記 1 被害者の声に耳を傾け、真相究明を行うこと。 2 「慰安婦」問題の責任を認めて、政府は公的に謝罪すること。 3 過ちを繰り返さないために、学校などで歴史教育を通じて次世代に事実を伝えること。」 新聞報道によれば、12月19日の意見書は、政府に真相究明と公的な謝罪などを求めた旧意見書に対して、「朝日新聞社が従軍慰安婦をめぐる故吉田清治氏の証言報道を取り消して謝罪したことを理由に挙げて」、旧意見書の「重大な根拠が崩れた」と指摘し、「確認された事実に基づき積極的に国際社会へ情報発信することや教科書が史実に基づいて記述されるよう対応することを求め」た内容だということです。 もし新意見書が、旧意見書が述べている、1993年の河野談話は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」とおわびと反省の気持ちをあらわしたのは吉田証言を根拠にしているというのであれば、事実誤認も甚だしいと言わなければなりません。安倍政権による河野談話の検証においても、菅官房長官の下に設置された有識者5人からなる検証チームの報告書は、談話作成時に韓国側と文言調整したが、「それまでに行った調査を踏まえた事実関係をゆがめることのない範囲で、韓国政府の意向・要望については受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは拒否する姿勢」で「調整に臨んだ」として、日本側が自主的に行ったとの見方を指摘し、作成過程については「今回の検討作業を通じて閲覧した文書等に基づく限り、その内容が妥当なものであると判断した」と明記しており、また、吉田証言を根拠に河野談話が作られたとは何も言っていません。 今回の三鷹市議会の意見書は、朝日新聞が「慰安婦」問題の検証記事で、吉田清治証言にもとづく日本軍「慰安婦」の強制連行関連の記事を取り消したことを受けて、安倍首相など政府首脳や一部の政治家、読売新聞や産経新聞、週刊文春や週刊新潮などマスメディアが、この朝日の記事取り消しによって、あたかも日本軍「慰安婦」の強制連行の事実が根拠を失い、「慰安婦」に対する暴力の事実全般が否定されたかのような言動が相次いでいますが、このような動きに同調し、歴史修正主義の立場に立ったことを意味しています。歴史学研究者の学会である歴史学研究会が声明を出しているように、吉田証言が否定されたことによって、日本軍の関与による「慰安婦」の強制連行の事実が根拠を失い、「慰安婦」に対する暴力、人権侵害はなかったとするのは「不当な見解」です。 三鷹市民の1人として、三鷹市議会が、このような歴史修正主義にたった意見書を可決したことに抗議の意思を表すものです。 この河野談話をめぐる「慰安婦」問題を解決するためには、前にも書きましたが、三鷹市議会の新意見書とは反対に、次のことが求められていると考えています。 1つめは、曖昧さのない明確な事実認識と謝罪を行うことです。河野談話は、日本軍の責任をほぼ認めていますが、このような「慰安婦」問題を起こした責任は旧日本軍にあることを明確にすることです。三鷹市議会の意見書のように、「慰安婦」対する強制性や暴力、人権侵害はなかったと国際社会に情報発信をしたならば、国際的批判を呼ぶことは必至です。 2つめは、事実を歪曲する言動に対して公式に否定することです。今回の三鷹市議会の意見書のように、河野談話で認めたことに反するような言論や意見書に対して日本政府は、「それは事実と違う」と公的に否定することです。 3つめは、「慰安婦」の史実を日本の現在と未来の世代に教育することです。政府は、中学校の歴史教科書から「慰安婦」の記述をなくしてしまうなど、河野談話が約束していることとは反対のことが進められ、いっそう教科書の統制を強めようとしています。三鷹市議会の意見書は、中学校の歴史教科書だけでなく、高校の日本史教科書にも「慰安婦」の記述をなくすように求めたもので、断じて許されません。 日中、日韓の緊張を激化させるような安倍政権の政治・外交政策が進められている中で、日本が東アジアの地域で生きていくためには、「慰安婦」の問題1つをとっても、国民1人ひとりが正しい歴史認識をもち、意識を変えていかなければならないと考えています。12月の総選挙でも自民・公明党が大勝し、きわめて悲観的な状況にありますが、いつかはそれが克服されていかなければならいし、そうならなければ日本の未来はないと思っています。 |
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