2015年01月25日(日) 07時00分53秒

放射線防護は過去の話?。もはや争点にならない福島県中通りの首長選挙~本宮市長選、きょう投開票

テーマ:被曝
任期満了に伴う福島県・本宮市長選挙はきょう、投開票される。中通りの真ん中に位置し、二本松市と郡山市にはさまれる同市には依然としてホットスポットが点在するが、有権者、特に子育て世代は「放射線を意識していてはここでは生活できない」と口を揃える。福島第一原発の爆発事故から3年10カ月。放射線防護は〝過去の話〟となったのか。


【「被曝を気にしていては生活できない」】

「放射線?放射線云々で投票する人を決めることはないねえ」

JR本宮駅近くで焦点を経営する60代の女性は苦笑交じりに言った。「市長には街を良くしてもらいたいのよ」。平日の午前中。「商店街」とは名ばかりで、人の往来はほとんどない。休日の午後も、マイカーが少し行き交うばかりで買い物客でにぎわう商店街の姿は見られない。

「この前、親戚から干し柿をもらったんだけど、測ったらきっとアウトだろうね。でも食べちゃったよ。一度に100個も食べるわけでは無いし、食べたい気持ちと我慢してストレスになることを比べたらねえ…。放射線を気にしていたら、本宮では生活できないよ。ここの商店街で、いま放射線のことを話題にする人はいないね」。

 商店街近くには阿武隈川の支流が流れ、保育所や病院がある。河川敷の土手は地域の人々の散歩道となっているが、手元の線量計は0.5μSv/hに達した。商店街でも場所によっては数値が0.3-0.4μSv/hを示す。それでも、女性は「気にしていない」と言う。「子どもたちは30歳を過ぎてるけど、全く気にしていないよ。むしろ、甥っ子や姪っ子が住んでる地区の方が危ないんじゃないかな。裏山に神社があって、自宅周辺の放射線量が高いらしいから」。

 JR本宮駅の西側にある市立まゆみ小学校。授業を終えた子どもたちの下校時間だったが、通学路で手元の線量計は0.3μSv/hを超えた。しかし、放射線から身を守るためにマスクを着用している小学生はいない。


(上)今日、投開票される本宮市長選。放射線防護は

争点にはならなかった

(下)原発事故から間もなく丸4年になるが、1.0μSv/h

を超す個所も依然としてある=本宮市高木


【福島産の食材「逆の安全」】

 JR本宮駅から東に1時間ほど歩いた旧白沢村。東北楽天の二軍戦でも使われる野球場やサッカー場、浪江町の仮設住宅がある。2012年7月にオープンした屋内遊び場「スマイルキッズパーク」は、昨年11月に利用者が10万人を超え、屋外遊び場も併設された。「土日は子どもたちでいっぱいになりますね。平日も14時を過ぎると、幼稚園帰りの子どもたちでにぎわいます」。昼休憩を前に片付けていた女性スタッフは話した。

 わが子を遊ばせていた30代の母親は苦笑する。「市長選ですか?あー関心ないですね。誰がなっても同じだし…。放射線がまだ存在していることは分かっていますが、全然気にしていないです」。屋内遊び場を利用するのも放射線を避けるためではなく、寒さや積雪が理由だ。
 一家で栃木県内に避難していたこともあった。夫は本宮市内の勤務先まで栃木から通った。「栃木県内だって決して放射線量は低くないですよね。福島にだけしか放射性物質が降ったわけでは無いのですから。かといって、福島のようにモニタリングポストが街中に多く設置されているわけではないじゃない。食材にしたって同じ。福島産の方がきちんと検査をしているから、逆に安全じゃないかと思うんですよね。だから戻って来たんです。」。そして、就学前のわが子3人を前に、奇しくも先の女性と同じように言った。

 「放射線を気にしていては、ここで生活することなんてできませんよ」

 一緒にわが子を連れて来ていたママ友が大きくうなずく。「最初の頃は少し警戒していたけれど…。私は避難すらしていません。今では日常生活の中で放射線を意識することはないですね」。

 選挙カーが候補者の名前を連呼している。食堂を経営する女性は「若い世代の人にこそ関心を持って欲しいし、若い候補者も出て欲しかった」と話した。


(上)市立まゆみ小学校の通学路は0.3μSv/hを超す

(下)2012年7月にオープンした屋内遊び場「スマイル

キッズパーク」の利用者は10万人に達する


【「心配な人はとっくに避難した」】

 会津地方出身の30代女性は本宮市の夫と結婚、生後6カ月になる娘の子育て中。駅前商店街で「市長選挙?あんまり関心は無いけど、一応、各候補の訴えを見て投票には行くつもりです。放射線?もう全然ですね」と苦笑した。

 「確かに以前は、なるべく西日本で作られた野菜などを買うようにしていましたが、もうやめました。4年近く経ったし、被曝を気にしていてはストレスになるだけですからね。私たちは結局、行き場が無いんですよ。本宮で生活するしかない。避難すると言ったってどこに行けばいいのでしょうか?もう本宮で放射線の存在を意識している人はいないんじゃないですか。心配な人はとっくに避難しているだろうし、もう戻ってくることも無いでしょうから」

 これが本宮市民の平均的な考えなのかもしれない。商店街から徒歩で10分ほどの場所では手元の線量計は1.0μSv/hを超した。しかし、考えてもストレスになるだけ…。放射線防護への議論は低調なまま、次の4年間のかじ取りを担う市長が選ばれる。

(了)

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コメント

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1 ■;ω;

子供達の体内被曝は避けたい!低線量被曝の被害も、今後、出てきてしまう!!

2 ■無題

私は一般人としては短期間にかなりの被曝をしたと思います。当初何もなく気にしていませんでしたが、言われている通り、事故から3年半辺りからちゃんと色々な症状が出てきています。鼻血も本当です。低線量被曝は急に出ないでしょうが、細胞が猛烈な勢いで増えていく子供達の体内で放射線が出続ける事態はぞっとしますね。10歳以下は免疫システムも出来上がっていないし、成人後の影響が心配です。

3 ■ホントにこの状態で復興出来ると思いますか?

人間の思考回路には生活環境に対する高い順応性が有る様です。 それが人類の生存圏を拡大、繁栄して来たには違いないのですが・・・・、もうすぐ(既に?)内部被ばくの影響が加速度的に顕在化して来た時、やはり『仕様がない・・』と達観するだけなのでしょうか?子供やその子孫達に責任を感じないのでしょうか? 本来汚染地域の『復興』って?? 被曝を無視して生活することではない筈です。 汚染農産物をみんなで消費することが『復興支援』ってどう考えても理解出来ません。

4 ■本宮市は

昨年の四月に訪問しました。小さな駅舎、それに東京のどの街にもある定食屋とかコンビニ。特にホットスポットはあるけれどもいわきのように原発が近いわけでもなく危機意識はあまり持っていない感じでした。福島県は47都道府県中3番目に面積が広い県です。いわき市でさえも危なくないと言われているなかでいわき市よりも何倍も安全とされる福島県のへそと言われる本宮市。事故から3年ちょっと、親が公園で子供を遊ばせ、花見を楽しんでいる家族たちは、日本の沢山ある街のひとつに過ぎなかったです。市長選挙については本宮市で問題となっている課題について候補者同士が議論して戦えばいい、ただそれだけです。

5 ■福島県立医大では・・・

福島県立医大甲状腺再検査窓口。
毎週月・木の午後に検査をしています。
B判定・C判定の子ども達が再検査に訪れていますが、ものすごい人数です。
付き添いのお母さん方は誰とも話しをせず、ただひたすら順番を待っています。
目の前を通る人達がひそひそ話をしながら通りすぎて行きます。
「ほら、甲状腺検査で引っかかった子ども達だよ。可哀想にねぇ・・・。」
子ども達には何の罪もありません。
見ていてやりきれない気持ちになりました。

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