湯川さん殺害:「人ごとでない」…NGO、観光など関係者

毎日新聞 2015年01月26日 11時47分(最終更新 01月26日 12時39分)

首相官邸前で、後藤健二さんの解放に向けた政府の対応を求める人たち=首相官邸で2015年1月25日午後6時50分、徳野仁子撮影
首相官邸前で、後藤健二さんの解放に向けた政府の対応を求める人たち=首相官邸で2015年1月25日午後6時50分、徳野仁子撮影

 イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが湯川遥菜さん(42)を殺害したとする映像をインターネット上に投稿したことが、中東地域の人道支援や観光に携わる日本国内の関係者に衝撃を与えている。関係者は中東全体のイメージ悪化など今後への影響を懸念する。【関谷俊介、生野由佳、堀智行】

 ◇医師団前例も

 毎年、中東を含む世界各国に医師ら約100人を派遣している国際医療団体「国境なき医師団」日本事務局(東京都新宿区)の広報担当、舘俊平さん(45)は25日午前5時ごろ、テレビニュースで一報を得た。「事実であれば本当にショック。最悪の事態で非常に残念」と声を落とした。

 医師団でも過去、シリアでスタッフが誘拐される事件が起きている。「まったく人ごとではない」と、2人拘束が判明した直後から日本人スタッフを置く拠点と連絡をとり、事態の行方を注視してきた。今後の活動については「危険地域にも支援を待つ人がいる。安全対策を徹底し、引き続き活動を続けていく」と気を引き締めた。

 20年間アフガニスタンに通い、女性や子供たちへの支援を続けている「宝塚・アフガニスタン友好協会」(兵庫県宝塚市)の西垣敬子代表は、イスラム過激派による事件に「長年、敬虔(けいけん)なイスラム教徒の人たちと深く付き合ってきたが、家族を大切にし、年長者を敬う人たちばかり。こんな事件が起きるのが信じられない」と語った。「国内のイスラム教徒の人たちも心を痛めているだろう。人質の方が無事に解放されることを祈っている」と話した。

 ◇旅行社の懸念

 シリアの隣国ヨルダンの旅行会社「エンジョイ ペトラ」東京支店スタッフの田中真知子さんは、「日本の中東へのかかわり方は欧米とは異なり、日本人は尊敬もされているので、解放されると思っていた。非常にショックだ」と戸惑う。25日午前1時すぎ、本店のヨルダン人スタッフからフェイスブックを通じて「殺害されたようだ」と連絡を受けた。「日本人に対して申し訳ない」とも記されており、「残念です」と返したという。

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