TVCMを打つということ。
投稿日: 2014-10-24 at 7:48
当社は、カンボジアで初となる日系地上波テレビ局”TV3 Asia”(以下、TVA)を
経営しています。
拙書「世界は僕らの挑戦を待っている」にも書きましたが、
「カンボジアで初の日系地上波」というよりも海外で日本人が地上波テレビ局を
経営するということ自体が史上初のことです。
ですからTVAをどのように事業化していくか、またいくつもあるトライアジアグループの
他の事業とのシナジー(相乗効果)をどのように生み出していくか、
試行錯誤な毎日な訳ですがこれがまた非常に面白い訳です。
また、カンボジアは、まだまだ物価が安く、とくにTVCMの広告費相場というものは
非常に低いので、だからこそ色々な取組みが出来ると考えています。
例えばTVAの営業部隊は結構、飲食店に営業に行ったりします。
TVの営業対象として飲食店、というのは日本では考えられないことです。
言うまでもなく、飲食店が期待する効果に対してCM料金が圧倒的に高いからです。
飲食業という業態特性上、いくらCMを打って毎日満員御礼になったとしても、
広告費が毎月3000万円では絶対にペイしません、
もちろんマクドナルドやガストであればペイするのでしょうが、
それは単純に圧倒的な店舗数があるため一店舗あたりの広告費として
按分した場合に、ペイするという状況が生まれるからです。
ですから、一つの業態を何百店舗も作るほどのマーケットがカンボジアでは見込めないため、
通常TVCMをカンボジアで飲食業に営業する、というのは不自然な訳です。
それでもそうしているのは、単純に圧倒的にCM料金が安いからです。
2014年、10月時点でTVAが提供しているCMパッケージの最安値は
なんと$500(約50,000円)!
わずか$500でTVCMを打つことが出来る、これがカンボジアのTVCM業界の
常識です。
広告というのは費用対効果の世界です。
1億円のCM料金であっても、それによって利益が1.2億円出るのであれば
それはやるべきですし、たとえ100万円の広告でも50万円しか効果が見込めないのであれば
絶対出稿すべきではありません。
ところで、TVCMというのは、その「効果」が様々な形で見込める媒体です。
最も効果が現れやすいのは言うまでもなく、集客や販売です。
ただしこれはメディアミックスという言葉があるように、
単にTVCMだけではなく、雑誌やネットによる情報や口コミ、そういったものが
複合的に作用して実際は生まれるものです。
私がカンボジアにおけるTVCMの効果として特に大きいと思うものは
社員の帰属意識やモチベーション、そういった組織人事上の効果です。
例えば、こちらをご覧ください。
これは今週頭に実施した当社の寄付セレモニーの様子ですが
(詳細は本記事から外れるので割愛します。後日書きます)
これはTVAを通してカンボジア全土に放映されました。
クメール語なので私にはさっぱり分かりませんが(笑)、
これを見た社員からは
「社長、ウチってこんなことをやっているんですね!」とか
「このセレモニーに私も行きたいのですが参加出来ますか?」とか
反応が来るわけです。
中には家などで偶然このニュースを見ていた社員がいたら、
家族に対して
「見て見て!これウチの会社のニュースだよ!」と
自慢することは想像に難くありません。
ただ、このような人事組織面の効果を狙ってTVCMを出すというのは
日本では、やはり金額面から難しいことです。
大手製造業など予算が潤沢にある企業ならまだしも、
コンサルティング会社やいわゆるBtoBの事業を営む会社が
殆どTVCMを出さないのはそういう理由です。
翻ってカンボジアはやはり広告費用が日本と比べて異常に安い。
日本では人材のモチベーション向上のためにCMを打つことは出来なくても
カンボジアで$500であれば十分それは検討の俎上にあがるでしょう。
例えば新規店舗で特に社員やアルバイトスタッフのモチベーションを
高く維持したい場合、
「当社でTVCMを打つことにした。〇〇の時間帯に流れるから
是非見て欲しい」と伝えれば、社員はほっておいても見るだろうし、
その社員はきっとそのことを家族や友人にも「口コミ」で伝えてくれるでしょう。
「私はこんな素敵なTVCMが流れる店で働くことになるのか!」という
効果が生まれる訳です。
もちろん「本丸」である集客やサービスの周知についても一定の効果が
期待出来ます。
このようにTVCMは「費用対効果」のシビアな広告の世界だからこそ
絶対値が安いことで生まれる「新たな広告訴求ポイント」が生まれます。
ここまで費用が安いと自社の採用活動にも使えるんじゃないかと最近は思案してます。
TVAの営業チームには、このような「カンボジアならではの特性」を踏まえ
単に安い広告を売るのではなく、新たな広告価値を生むイノベーターとして
引き続き頑張ってもらいたいと思っています。
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TV事業のあらましはP200に掲載されています。
拙書「世界は僕らの挑戦を待っている」(通称:セカチョー)
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