【永田町ノート】最強官庁の憂鬱
2015年1月25日15時0分 スポーツ報知
霞が関最強官庁と呼ばれる財務省が逆風にあえいでいる。
「この時代に1か月もかかるのはおかしいだろ!」
菅義偉官房長官は最近、財務省幹部をどなりつけた。2015年度予算案の国会提出を前倒しするよう求めたのに対し、財務省側が予算書の印刷作業などを理由に「予算案の閣議決定から1か月は必要」と譲らなかったためだ。
結局、2月13日に予定されていた国会提出は1日だけ前倒しされることが決まった。財務省幹部は「うちは官邸の目の敵にされている。何をしても文句を言われる」とぼやく。
消費税率10%への引き上げを巡っては、増税実現に向けた根回しに奔走し、安倍晋三首相の逆鱗(げきりん)に触れた。首相が先の衆院解散に踏み切った狙いの一つは、財務省の抑え込みだった。
もともと首相は財務省への不信感が強い。安倍官邸の要所は経済産業省出身者が占めており、政務の首相秘書官を務める今井尚哉氏も経産省出身だ。
「われら富士山、ほかは並びの山」
財務官僚はかつて自らこう称した。官僚機構の頂点に君臨する力の源泉が、予算編成権と徴税権だ。徴税権を担う国税庁は財務省の外局で、長官はじめ主要幹部は財務キャリアが務めている。
ただ、国税庁に関しては、税金と社会保険料の徴収を一元化する「歳入庁」への移行構想がくすぶっている。当然、片手をもがれる財務省は反対だ。
最近、安倍政権が歳入庁設置の検討に入ったという情報が霞が関で広がった。財務省は「うちを揺さぶるために官邸が情報を流しているのではないか」と疑心暗鬼だ。最強官庁の憂鬱(ゆううつ)はしばらく続きそうだ。(太)