筆記具の進化は全く衰えを見せず、画期的な製品が毎年のように登場している。

 本来なら文房具は、特に筆記具はそう簡単に画期的な製品が出るジャンルではない。三菱鉛筆の「ジェットストリーム」やパイロットの「フリクションボール」も、長い開発期間を経て世に出ている。そのタイミングがたまたま集中しているだけともいえるが、これまでにはない筆記具が次々と登場しているのは事実。ここでは、2014年暮れにまとめて登場した画期的な筆記具4製品について、メーカーへのインタビューを交えて紹介する。

セーラー万年筆「G-FREE」:万年筆の書き味を持つボールペン

セーラー万年筆「G-TREE」(300円)
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 セーラー万年筆の「G-TREE」は、ジェットストリームから始まった“低粘度油性インクによる軽い書き味の油性ボールペン”の次の段階の筆記具といえるかもしれない。「単に低粘度油性のインクを作るだけでは万年筆メーカーが作る意味がない。万年筆のような柔らかい書き味を持つボールペンを作りたかったんです」と、セーラー万年筆 文具事業部企画部開発担当課長の徳増克巳氏。

 そうしてできたのが、低粘度インクによるスムーズな筆記感と、ペン先のサスペンションをコントロールできる「筆圧アジャスター」を組み合わせたG-TREEだ。このボールペンは、筆記時に筆圧をかけるとペン先が沈むのが特徴。ノックボタンを回転させることで沈み具合というかサスペンションの硬さを変え、自分好みの柔らかさに設定できるのだ。この機構と新開発の低粘度油性インクとの組み合わせにより、紙への柔らかいタッチとスムーズな筆記を実現。あまり筆圧をかけなくてもしっかり書けるボールペンに仕上がっている。

 筆圧アジャスターの仕組みはシンプル。ペン先を沈ませるためのスプリングを押し縮めることでスプリングの硬さを変えているだけなのだが、このシンプルな仕組みで筆圧100gから550gに対応するという。「ボールペンの筆記時の筆圧は平均100〜300gといわれています。万年筆だと平均50〜100gなんです。それでまず100g〜300gに対応するモノを作って、後は実際に使いながら細かく調整していきました」と徳増氏。ノックボタンを回すとカチカチと8回クリック音がする。つまり9段階で調整できる。「自分が好きな書き心地に調整できるので、選ぶ楽しさも味わっていただければ」(徳増氏)という。

 筆圧アジャスターの設定は自分が一番気持ちよく書けるポイントに合わせればよい。いろいろ設定を変えて書いていると、力を余り入れずにスイスイと書けるポイントが見つかるはず。そのポイントで書くと、たしかに万年筆的な書き心地を目指して作られたというのが分かる気がした。無駄な力を入れずに書ける感じが似ているのだ。

 もちろん、それは筆圧アジャスターだけによる書き味ではない。このために作られた低粘度油性インクと専用チップ(ペン先のボール)、筆圧が強い人でも気にせずに書きやすい太めの軸と握りやすいグリップ、その全てが合わさってできたのが、筆圧をかけずにスムーズに書けるボールペンなのだ。

このノックボタンを回すことでペン先のタッチの柔らかさを調整できる
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ノックでペン先が出てきて、クリップ部分を開くとペン先が引っ込む。低粘度油性インクなので、ペン先を出しっぱなしだとインクが漏れるかもしれない、という事態を想定した機構
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ノックボタン直下にあるスプリングがペン先のサスペンション機構になっている。左が最もペン先のサスペンションが柔らかくなっている状態、右は最も硬くなっている状態。このように、スプリングを押し縮めることでサスペンションの硬さを調整しているわけだ(写真はデモ用の透明軸バージョンを撮影したもの)
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ラバーグリップは、やや太めのゆるい3角形になっている。指にフィットするうえ、太い軸のほうが筆圧をかけずに書きやすい
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筆圧を意識せずに書けるポイントを見つけて筆圧アジャスターを設定すると、ストレスなく書ける
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G-FREE用の替え芯(100円)は現時点では黒の0.7mmのみ。従来の低粘度インクに比べて筆記距離が長くなっている(インクが長持ちする)
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G-FREEのカラーバリエーションは全8色。そのカラーは太陽系惑星と宇宙を表している。手前から水星をイメージした「G-シアン」、金星をイメージした「G-ホワイト」、地球をイメージした「G-ブルー」、火星をイメージした「G-レッド」、木星をイメージした「G-グリーン」、土星をイメージした「G-オレンジ」、そして、宇宙をイメージした「G-Cブラック」と「G-Cネイビー」
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