下村博文・文科相インタビュー:入試改革 大学存続に必要
毎日新聞 2015年01月26日 08時06分(最終更新 01月26日 08時27分)
国の大学入試制度改革が動き始めている。国は現行の大学入試センター試験を廃止して新共通テストを創設する方針で、暗記・詰め込み型入試から、脱1点刻み・多面的評価の入試への転換を促している。文部科学省は「高大接続改革実行プラン」を策定。新共通テストは2017年度に実施機関が設立され、21年春入学者(現在の小学6年生)が対象の入試から導入される見通しだ。入試改革を進める下村博文文科相に、改革の意義や今後の展望を聞いた。【三木陽介、坂口雄亮】
◇教育全般に波及
−−改革の意義を。
◆大学入試を変えることは「大学がどのような人材を社会に送り出すのか」という大学教育にも関係し、高校以下のすべての学習指導要領も変わる。大学入試改革は、教育改革のカギなのです。
−−先日、改革の工程表をまとめました。
◆私が大臣の間は実行されても、次の大臣でトーンダウンすることがないように、工程表を作りました。政権交代したとしても、これは変えない。政府全体の方針として突き進んでもらいたいのです。
新しい大学入試は、どんな入試なのか。それもある程度、出題範囲とか内容とかスケジュールとか、具体的にどんなテストをやるのかということを、今から提示していかないと、高校以下の現場でも、何を教えて良いか分からない。準備ができないということがあります。工程表をもとに、具体的な内容を作っていくのです。
−−新入試について高校には戸惑いもありますが。
◆高校で何をどう教えていくのかを示す学習指導方針を明確にしていきます。教師も、今までのような講義形式では、新しい入試を受ける生徒を教育していくのは無理。新規の教員養成・採用だけではなく、現役の先生の意識や教育技術も変えないといけません。
学習成果の評価の仕方もよく決めておかないと、バラバラな評価では公正公平な入学試験とはなりません。高校の調査書や指導要録(成績表などの原簿)をどのように記載するのか、目安を作っておく必要があります。学習指導要領の見直しをしながら、今から着手しないといけません。
◇質の転換まで期待
−−アドミッション(入学)、ディプロマ(卒業)、カリキュラム(教育内容)の三つの方針策定を大学に義務付ける方向ですが、その理由は?
◆入試を変える以上は、大学の中身も変わらないといけない。各大学の質の転換を促すためです。