後藤さんの画像、専門家が分析 画像や音声の特徴は
朝日新聞デジタル 1月26日(月)5時8分配信
24日夜、ネット上で公開された後藤健二さん(47)の静止画像。手には湯川遥菜さん(42)とみられる人物が横たわる写真を持っている。誰が発信したのか。画像に付く音声は後藤さん本人のものなのか。
【動画】インターネット上に公開された後藤健二さんの映像から
「『イスラム国』が発信した可能性が高い」。日本エネルギー経済研究所の保坂修司・研究理事はこう言う。ネット上の公開元をたどると、昨夏から計5人の英米人の殺害を公開した動画と同じように、「イスラム国」関係者によるツイッターへの投稿などの形跡があった。
ただ、静止画像に音声を重ねる手法はこれまでにないスタイルだ。20日に公開された2人の動画の左上にあった「イスラム国」メディア部門のロゴもない。保坂さんは、2人が別の場所に拘束されていた可能性があり、「72時間が過ぎて公開を急いだため、単純な作りになったのかもしれない」とみる。
一方、近畿大学短期大学部の黒田正治郎教授(情報処理)は「権威を示すロゴがないのは不自然だ」と指摘。後藤さんの体の周りに「圧縮ノイズ」のようなものが見えるため、「合成した画像を圧縮して投稿したのではないか」と推測した。後藤さんの顔は先の動画と酷似しているが、首から下の服の色や襟元の形は異なり、動画から顔の部分を切り貼りした可能性もあるとみる。「最初の動画の投稿者とは違う人物が静止画像を作成したのではないか」
中東調査会の金谷美紗研究員は、後藤さんに写真を持たせて音声をかぶせた点に着目する。「日本では後藤さんの方がより話題になっているとみて、大きな衝撃を与えられるカードと考えているのではないか」
「I am Kenji Goto……」。後藤さんの画像につく音声は英語で3分弱。日本音響研究所(東京)がこの音声と後藤さんが昨年10月にシリアに入国した際の音声を比較、共通する「don’t」「my」「please」など五つの言葉で声紋を鑑定した。その結果、鈴木創所長は「全ての言葉で声紋が一致しない箇所があった。99%以上別人だ」という。
例えば「my」。母音が「ア」から「イ」に移行する声紋は、公開された音声の方が後藤さんより200ヘルツほど周波数が高い。逆に「don’t」は後藤さんの方が300ヘルツ高かった。「声紋の波形が違う。口、鼻、のどの形や舌の動き方などが全く異なってくる」と話した。
別の見方もある。声紋鑑定の専門家の鈴木松美さんは「Kenji Goto」と名乗る部分を比較し、「特徴が10点ほど一致する。同一人物の可能性が高い」とみる。
今回の画像と音声について、警察庁は25日、科学警察研究所(科警研)などで分析を始めた。鑑定結果が出るまでには一定の時間が必要とみられる。画像について、同庁幹部は「全体の印象として、特段おかしな点は感じない」と話す。ただ、特に湯川さんとされる男性の写真は画質が鮮明でないため、画像処理などを進めて特定を急ぐ。
朝日新聞社
最終更新:1月26日(月)9時25分
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