後藤さん解放条件に死刑囚・40代女テロリストの釈放…「イスラム国」邦人人質事件
過激派「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さん(47)と湯川遥菜さん(42)を人質とした事件で、湯川さんが殺害されたとする画像がインターネット上に掲載された問題について、安倍晋三首相(60)は25日のNHK番組で「信ぴょう性は高いと言わざるを得ない」と明言した。犯行グループは後藤さん解放の条件として、ヨルダンで収監中のイラク人女性、サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を要求しており、収監先のヨルダン政府との調整が焦点になりそうだ。
人質となっている後藤さんの解放と引き換えに、イスラム国が「同胞サジダ」と敬意を込めた表現で釈放を要求したリシャウィ死刑囚はどんな人物なのか。
中東メディアなどによると、リシャウィ死刑囚はイラク人で1970年生まれ。40代とみられる。イスラム国の前身「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の側近のきょうだいとされる「大物」(地元記者)という。ザルカウィ容疑者は2004年にイラクを旅行中の日本人男性を拉致、殺害したとされ、06年の米国による空爆で死亡している。
リシャウィ死刑囚は05年11月9日に、夫のフセイン・シャマリ容疑者とともに自爆テロを行った。アンマン市内の結婚式会場のホテルで子供や女性らが多数いる中、腰に装着した爆弾を爆発させる計画だった。
夫の爆弾は爆発したものの、リシャウィ死刑囚の爆弾は装置が作動せず、不発に終わった。夫を含め会場にいた60人以上が死亡する大惨事となった。リシャウィ死刑囚は「爆発させようとしたが失敗した。爆発が起こり、ほかの人々と一緒に走って避難した」と話している。
06年、ヨルダンの裁判所で絞首刑を言い渡され、同国内に収監されている。「死と破壊をまん延させようとした災いの元凶」。死刑を求刑した検察側の声が響く法廷でも、取り乱すことはなかったという。