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実効性ある原発テロ対策を

2015/1/25付
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 全電源喪失が炉心溶融を招いた福島第1原子力発電所の事故は原発の弱点をあらわにした。テロも含め、原子力の安全を脅かすあらゆる事態を想定し対策を講じていく必要がある。事故から得た大切な教訓だ。

 原子力規制委員会は内部からのテロ行為や情報漏洩を防ぐため、原発で働く人の身辺の状況を調べる制度を検討中だ。テロから原発を守るため制度は必要だろう。ただ、乱用されると働く人のプライバシーの侵害などにつながる恐れもある。制度がもたらす負の側面とのバランスに配慮し、実効性のある制度にすべきだ。

 原発内部の者によると推定される不審な出来事がこれまでも現実に起きている。2007年に北海道電力の泊原発で火災が連続した。他の原発でパソコンなど機材が行方不明になった事例もある。

 国際原子力機関(IAEA)は原子力施設で働く人たちの信頼性を確認する制度の導入を勧告している。欧米の主要な原子力利用国はすでに制度を導入済みだが、日本はまだだ。日本で盗まれた情報が他国での破壊行為に利用される危険もある。世界との共同歩調が求められる。

 原発の安全確保は電力会社の責任だ。しかし、企業の力だけで十分だろうか。警察などへの照会も想定される。法的な裏付けがある制度が必要ではないか。

 調査の対象には電力会社だけでなく協力会社の社員も含まれる。ただ核燃料を扱ったり、安全上重要な区域に立ち入ったりするなど業務内容により確認が必要な人は限られる。全員を対象に厳格に調べることはない。

 調査が必要な範囲や内容を明確にし、制度がテロ防止以外の目的に利用されないよう歯止めも要るだろう。過度な調査が職場の士気を落とす事態は避けたい。

 電力会社はトラブル隠しなどで国民の信頼を失った過去もある。秘密主義が原発の安全にマイナスの影響を与えかねない点にも配慮して制度を考える必要がある。

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