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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.01
25
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Category : 未分類
 ブラックホールは新語ではないし、すでに明治時代にも「闇窖」とする和訳があった。今はブラックホールというカタカナ表記としているが、この用語は日本人が別段に、ゼロから用語を創りだしたものではない。従来の漢字表示から天体であることが想像しがたいので、熟字訓のようにつかわれていたブラックホールをそのまま流用したのだろう。

 的川泰宣さんの「宇宙用語、日本語でどう表現?」では
宇宙活動が世界で盛んになるのに比例して、新しい用語も頻繁に生まれます。これを自国の言語でどう表記し、どう使うか。各国で工夫が必要になっています。
 例えばBig Bang(ビッグバン)やBlack Hole(ブラックホール)。「大爆発」「黒い穴」

と述べている。

 だが、「Black Hole」は「新しい用語」ではない。明治時代には日本でも膾炙していた用語であり、『「黒い穴」』のような単純表現ではなく、例えば「闇窖」という言葉があった。

 そもそも、ブラックホールとはインドの監獄を指す言葉である。カルカッタのブラックホールという言葉があり、そこから(いまでも)条件劣悪なインド監獄の状況を示すことばである。この言葉は、日本にも明治時代には伝わっている。実際に明治25年ころの『朝野新聞』の記事を集めた『徳川制度』では「闇窖」にブラックホールと振っている。

 天体としてのブラックホールは、インド監獄からの連想である。監獄に光もささないこと、一度入ると出られないことから、光も脱出できないだろう大重力場をそう名づけたのだろう。

 だから、語としてのブラックホールの起源は、18世紀のカルカッタにある。そこの監獄ブラックホールが太宗である。的川さんが中国語では「黒洞」としているが、これも元がインド監獄のブラックホールを先に漢訳したものがあって、それに同じ天体BLACK HOLEの訳語を兼ねたものだろう。

 学会誌の天文学雑誌を見れば、そのあたりは分かるはずだ。航海に必要な時間関係の記録を拾うので、明治-昭和初期の分を読んだことがあるが、その手の海外発表の抄録がある。ブラックホールの分をみれば、おそらくはあたかもインドの闇窖のようなものであるみたいなことが書いてあるのではないか



※ 的川泰宣「宇宙用語、日本語でどう表現?」『朝日新聞』(2015.1.24)http://www.asahi.com/articles/DA3S11568795.html

※※ 『徳川制度(上)』(岩波書店,2014)p.248.
   ちなみに、奥付によると「とくがわせいど」であり、「とくせんせいど」ではない。

※※※ ”Black Hole of Calcutta”http://en.wikipedia.org/wiki/Black_Hole_of_Calcutta

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