衆院選:躍進、共産に期待 池内氏「夢みたい」 歌で鍛えた声、若者も支持

毎日新聞 2014年12月15日 東京夕刊

初当選を決め、笑顔を見せる池内沙織氏=東京都渋谷区代々木の共産党東京ブロック事務所で2014年12月15日午前1時13分、斎川瞳撮影
初当選を決め、笑顔を見せる池内沙織氏=東京都渋谷区代々木の共産党東京ブロック事務所で2014年12月15日午前1時13分、斎川瞳撮影

 今回の衆院選で伸び悩んだ民主や維新、沈んだ次世代、生活を尻目に、共産が与党批判の受け皿として存在感を高め、議席を伸ばした。関東地方では比例で復活当選する新人女性候補が2人も出た。

 東京12区で公明党前職の太田昭宏氏(69)に敗れた共産新人の池内沙織氏(32)は15日未明、比例東京ブロックで復活当選を果たした。衆院選への挑戦は2009年、12年に続き3度目。初当選に「夢みたい!」と、ガッツポーズを作って喜んだ。

 短い茶髪をリーゼントにセットし、耳にはピアス、革ジャン姿でマイクを握る。ホームページに載せた写真はまるでロック歌手だ。実際、中央大学法学部在学時にロックバンドを友人らと結成し、ボーカルを担当した。鍛えたのどは街頭演説でパワーを発揮。通りのいい声に足を止める通行人も多く、「かっこいい」と若者の支持も集めた。

 普段は「勇猛果敢」で、脱原発や反ヘイトスピーチ、憲法9条改正反対などのデモに積極的に参加してきた。だが、当選が決まった時は「選挙戦で出会ったみんなの顔が浮かんだ」と目を赤くした。

 「今までで一番共産への期待を感じ、自民への怒りの声を聞いた選挙だった」と振り返り、「安倍内閣のストッパーとして対決せよという信託だと思う。真っ向勝負していきたい」と引き締めた。【斎川瞳】

 ◇「支援者の声を届ける」 前首相に挑んだ女性新人も当選

 比例南関東ブロックでは、千葉4区で民主の野田佳彦前首相に挑んだ共産新人、斉藤和子氏(40)が復活当選を果たした。

 15日午前1時20分ごろ、千葉県船橋市の事務所に当選の報が届くと、支援者らと万歳を三唱し、喜び合った。事務所はアパートの一室で声は小さめだったが、「支援者の声を国会で代弁できるのはうれしい」と笑顔をみせた。

 遊説中に近寄ってきて、ぼそっと「頑張って」と話しかけてくる支援者がいたという。「内部、深部で安倍政権に対する怒りや危機感みたいなものを抱いている方々が、期待を寄せてくれたと思う」と当選の理由を分析。「その声を届ける責任は重大です」と表情を引き締めた。

 8カ月の長男を育てる母親で、「子供を戦場に送る国にはしません」。そして「子育てで頑張っている人たちの要望に応えたい」と抱負を語った。【石山絵歩】

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