カイロ=翁長忠雄 杉崎慎弥
2015年1月24日22時52分
日本人2人を人質にとった過激派組織「イスラム国」。国家と称するものの組織の実態は分からず、人質解放交渉でも困難が予想される。「イスラム国」から新たな態度表明がないなか、日本政府は様々なルートを通じて情報収集を急いでいる。
■誰が連絡役? ネット駆使して情報統制
「イスラム国」の広報担当とされる人物名のツイッターアカウントは20近くあり、どれが本人かを特定するのは困難だ。
「イスラム国」が声明などを発表する場合、過激派の支援者が運営しているとみられるインターネットの掲示板などに突然、動画や音声声明が公開される。さらに公開したことを支持者がツイッターで広める。
後藤健二さん(47)と湯川遥菜(はるな)さん(42)を人質にとって身代金を要求する動画が20日に流れて以降、ツイッターには「イスラム国」関係者を名乗る複数の人物が書き込みを始めている。
イラク出身の戦闘員を自称する人物は、朝日新聞のツイッターでの質問に対して「(米国などと連携する)日本の姿勢を変えれば、我々は2人を解放する」と回答した。ただ、戦闘員であることを裏付ける証拠はない。「なりすまし」の可能性もある。
「イスラム国」は巧みなネット戦略でアラブ諸国や欧米の若者を引きつけてきた。ネット上に発表する英字機関誌はカラー写真をふんだんに使っている。組織の理念や戦闘状況、市民に対する慈善事業などの記事が掲載されており、「宣伝」に余念がない。
行政運営や通貨の発行など、「国家」としての機能があることもアピールするが、支配地域では、敵対する者は容赦なく公開の場で処刑される。そのためなのか、住民が街中で写真を撮影することを禁じるなど、情報流出を厳しく統制している。
日本政府は部族長や宗教指導者を通じて交渉することを模索しているが、シリア側の「イスラム国」支配地域では、地域の事情を知らない外国人戦闘員による統治が目立つ。
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部
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