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 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の事故を想定した佐賀、福岡、長崎3県の合同防災訓練が24日、各県であり、住民ら約5千人が参加した。昨年4月に避難シミュレーションの結果が公表されてから初の合同訓練で、全体の避難時間を短くできるとされる「2段階避難」を初めて試した。

 訓練は、玄海3号機で原子炉を冷やす水が漏れ、外部電源も失われて放射性物質が放出されたとの想定。同原発内の代替緊急時対策所では、原子炉内の水位などが大型画面に映し出され、九電の社員らが次々に対策を指示したり、自治体や警察、消防などへの通報手順を確かめたりした。ディーゼルで動く移動式ポンプでの格納容器への注水訓練も行った。

 2段階避難では5キロ圏内の住民はただちに避難。佐賀県唐津市や福岡県糸島市など5~30キロ圏の住民はいったん屋内に避難し、周囲の放射線量が高くなってからバスで移動した。

 避難の中継所となった糸島市の糸島リサーチパークには午前11時過ぎ、唐津市民約30人を乗せたバスが到着。順に住民の体に放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニングと問診が行われた。同市の主婦(65)は「歩いて集合場所に行くのが結構大変だった。実際に事故が起きたら、車に乗り合いをして逃げるのではないかと思う」と話した。糸島市民の避難に使われたバスは除染作業もされた。