
なんだか知らないが、「一度体感すると後戻り出来ないヤバい代物をヤッてる」だとか、
「すげぇキク! キマッてる間笑いが止まらねー」だとか言うヤツが居るが、
至って真面目にヤッてるんだぜ!
さて、良い車高調とはなにか。それを知るには知識が必要だ。
良い車高調の定義とは、
跳ねない
思い通りに操れる
乗り心地が快適
乗り易い
突然裏切るような挙動をしない(限界が高い)
まぁ、こんなモンか。
つまりは
自分の手足の延長のような一体感を味わえる
という事だ。
それを目指すのがリセッティングの方向性。
その為に必要な知識を箇条書きで抜粋してみる。
・ケース長
ダンパーケースの長さ。サスアームに取り付ける部分、ネジ穴の中心からダンパーケース端面までの距離。これが車高の下限値を左右する数値だ。全長調整式車高調は、ココの長さを変えて車高を変化させる。
・ロッド長
ダンパーケースの中から伸びてる伸縮する棒。棒の長さのウチ、伸縮する距離の事を言う。
基本的にロッド長が長い方が優れた脚である。
・アームストローク
サスアームの上下する上限から下限の距離。長い方がエライ。
・サスストローク
ダンパーのロッド長から、バンプラバーの厚み分の数値を差し引いた数値。実ストロークとも言う。
長いロッド長を持っていても、厚いバンプラバーで実ストロークが少なくなっている脚も多い。
・スプリングレート
kg/mmやポンド表記などがある。kg/mm表記は文字通り、「1ミリ縮ませるのに何kgの重さは必要か」を示す数値。数値の小さい方が弱く、大きい方が強い。硬い柔らかいではない。
ホンド表記は換算するとkg/mmとして考えられる。
・バネの有効許容作動長
スプリングの有効ストロークとも言う。バネの選定時には非常に重要な数値。
そのバネをどこまで縮めたら壊れるかを示してある。スプリングメーカーにより数値が違う。
・スプリング自由長
バネに力を加えず、そのまま置いた時の端から端までの長さ。有効ストロークと密接な関係がある。
・スプリング内径
IDとも言う。コイルスプリングの内側の径。58ミリから100ミリくらいまで存在。基本的には内径の違うスプリングを流用するのはリスクが高い。
・バンプストローク
クルマが停止静止時に、ダンパーがどこまで縮んでいて、そこからあとどの位縮める事が出来るかという数値。少なければ段差でストロークを使い切ってダンパーがボディを突き上げる。
・リバンプストローク
クルマが停止静止時に、ダンパーがどこまで縮んだかの量。少なければロール/ピッチングですぐに脚が伸びきってタイヤの面圧が減り、挙動が不安定になる。
バンプタッチ
ロール/ピッチングやギャップ越えの時に、バンプストロークを使い切ってバンプラバーにダンパーがヒットしている状態。ボディをダンパーが突き上げるので、乗員は非常に不快で挙動も乱れ易くなる。
・底突き
バンプタッチと混同し易いが、実はこれはダンパーロッドがケースの底を打っている状態。ダンパー破損にまっしぐらな危険な状態。単筒式ダンパーでは内部のフリーピストンにダンパーピストンが衝突している。
底突きは絶対にさせてはならない。
アッパーマウント
ダンパーとボディを繋いでいる、基本的に車種専用の部品。ダンパーの上部にある物体。
これを違う形状のパーツに変えてダンパー寸法の自由度を上げる方法もある。
・スプリングシート
バネを受けてる下側の皿。クルクル回して上下させることにより、様々な事が出来る。
・ロックシート
スプリングシートが勝手に回ってセッティングが変わらないように、ダブルナットの要領でスプリングシートを固定するリング。
・ボトムブラケット
全長調整式車高調で、ケースの長さを増減させる為のパーツ。コチラにもロックシートがある。
・減衰調整
そもそもダンパーの減衰力は、中身のオイルと窒素ガス圧で決められているが、ダンパーピストンのオリフィス(小穴)の大きさを任意に変化させることにより、減衰力を下げられるようにしたもの。
減衰はあくまで「締めると硬くなる」のではなく、「緩めると動きが速くなる」もの。
レバー比
タイヤにダンパーがくっついているクルマなんてバイク位しか無い。必ずダンパーはタイヤと別の場所のアームに取り付いている。ダンパーが1ミリ伸縮すると、タイヤが何ミリ上下するかを示した数値。
車種によって、ダンパーとスプリングが別体式で、それぞれにレバー比を持つクルマも多い。
「減衰とスプリングレートの関係」
・バネの強さは、
脚のストローク量を決める
・減衰の強さは、
脚がストロークするスピードを決める
ココも押さえておかなくてはいけない。
いろいろ書いたが、この位の知識がないと、本当に良い車高調には辿り着けない。
それぞれもっと専門的に書いてある書籍なり、WEBなりも調べてみると良いかもしれない。
さぁ、不思議に思ったひとはいないだろうか。
・単筒式や複筒式
・バネのメーカーによる差異
そんな、巷に溢れているワードはまったくと言って良いほど必要じゃないんだ。
ピストンの大きさや、減衰の段数もほぼ無関係。
それ以外の事を重視した方がはるかに良い脚を手にする事が可能なのだ。
今回は字ばかりになったが、次回からは具体的/実戦的に脚をどう改良するかを書こうと思う。
つづく。
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Posted at 2013/07/15 15:56:41