“「イスラム国」から連絡なし 解放に全力”1月23日 17時18分
菅官房長官は、午後の記者会見で、イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が、拘束した日本人2人を殺害すると脅迫した期限に至ったとみられることに関連して、イスラム国側から連絡はないとしたうえで、引き続き2人の解放に全力を尽くす考えを示しました。
イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が、日本人2人を拘束し、72時間以内に身代金を支払わなければ、2人を殺害すると脅迫する映像をインターネット上に公開したことについて、政府は、23日の午後2時50分ごろが期限に当たるとみていました。
これについて、菅官房長官は、午後の記者会見で、「72時間というのは相手側が声明の中で表明したことだ。政府としては依然として厳しい状況であるが、2人の邦人の解放に向けて、あらゆる関係者に対して協力要請をして、今、全力で取り組んでいる」と述べました。
また、菅官房長官は2人の安否について「さまざまな情報に接していることも事実であり、そういうなかで2人の早期解放を求めて、関係各国やさまざまな団体の方に協力要請をしている」と述べました。
さらに、記者団が、「イスラム国側から72時間の延長など、期限が過ぎたことに関するメッセージはあるのか」と質問したのに対し、菅官房長官は、「特別ありません」と述べました。
専門家「粘り強い発信を」
国際テロに詳しい公共政策調査会の板橋功第1研究室長は「今回、イスラム国は日本人2人を人質にするカードを切り、自分たちの主張を最大限アピールすることを狙っているとみられる。自分たちの立場を高めるため、脅迫の期限を引き延ばすということも考えられなくはない」と指摘しました。
そのうえで、「イスラム国は日本政府や国民の反応をメディアで把握し、次の展開への効果的なタイミングを図っているのではないか。政府は冷静な対応に徹して、粘り強く日本の立場を発信しなければならない。日本の中東への支援が武力行使のためではなく、人道目的であることを伝えていくことでしか人質の命を救う方法はないのではないか」と述べました。
顧問の男性「生きて帰って」
イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織に拘束されている湯川遥菜さんが設立した民間軍事会社の顧問を務めている水戸市の木本信男さん(70)は「本当にきょうの午後2時50分が期限なのかも分からないので、私もどうしていいのか分からない。湯川さんには将来もあるので、必ず生きて帰ってきてほしい」と話しています。