前編では美少女ゲーム業界におけるクラウドファンディングについてminoriの酒井伸和氏に考えをうかがった。後編では美少女ゲーム業界について改めて、社長とは異なる視点で話をうかがうことができた。ここで語られたのはBusiness Journalで語られたことや、前編ともまた違った実に興味深い話である。
――『ソレヨリノ前奏詩』が10月30日から予約開始となりましたが、開発状況はどうでしょうか。
酒井伸和(以下酒):2015年2月27日にリリース予定なんですが、いま若手に頑張ってもらっていますよ。
――昨年発売された『12の月のイヴ』は評判が良かったようですね。販売本数も目標に届いたのですか?
酒:目標には届きました。ただ、今のminoriは、『すぴぱら』(編注:2012年5月リリース)で得た教訓、つまり市場規模から見た販売絶対数としてはそこそこでも、内部的なコストのかけ方の問題で目標に届かないという不釣合いな状況を改善するために、目標の達成点をできるだけ低くしているんですよ。大成功はしないかもだけど、次の開発が許されるくらいの目標に届かせるにはどうすればいいのか、という作り方に切り替えたのです。
――『すぴぱら』が失敗したとはいえ、その後に出した『夏空のペルセウス』(編注:2012年12月リリース)も評判良かったですよね。
酒:『すぴぱら』の失敗とはあくまで内部的な問題であり、作品の質的な意味で失敗したわけではありません。事実、続編のリリースに対する意見は今でも多く頂きますし、それに対する回答は海外市場とリリースした通りです(前編参照)。
『夏空のペルセウス』については、プレイ時間が“短い”という否定的な声がありました。minoriの場合、一本のゲームに入るCGの枚数は他社さんのフルプライス作品のおおよそ1.5~2倍です。これは現状の演出方針でいくならば、必ず必要になるので仕方ありません。それにも関わらずテキストは多少短めです。それはどこに予算を割り振るかの話で、minoriは画面という部分に予算を大きく割いてエンターテイメント性を確保しているからなんです。もちろん僕自身が、長大なものより密度が高くて切れ味のいいものが好き、という好みの問題もありますが。
――作品が長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれだと思いますが、確かにネット上では「短い」という声が多かったですね。
酒:でも、『夏ペル』も言われるほど短くはないんですよ。テキスト容量で言えば1.1メガバイトあり、これはうちでいう『ef - the latter tale.』(編注:2006年12月リリース)とだいたい同じ容量になります。ですが、現実問題としてCGを増やして演出を細かくしたところで、そこはあくまで技術的な部分ですから、評価されることは少ないですし、本来は切り分けて評価する部分でもないんです。あくまでストーリーを見せるための技術であって、必要十分揃っていればいいわけですから。ですが、この必要十分のハードルが僕の考えと市場では乖離しているということです。