サウジアラビアのアブドラ国王死去1月23日 12時16分
世界最大の産油国サウジアラビアのアブドラ国王が23日、死去しました。
90歳とされています。
サウジアラビアの国営テレビは23日、アブドラ国王が現地時間の午前1時(日本時間の午前7時)に死去し、新しい国王にサルマン皇太子が即位したと伝えました。
アブドラ国王はサウジアラビアのアブドルアジズ初代国王の息子として1924年に首都、リヤドで生まれ、2005年に、ファハド国王の死去に伴って6代目の国王となりました。
アブドラ国王は、皇太子時代から中東地域のさまざまな問題に積極的に関与し、中東和平問題では2002年にイスラエルが占領地から撤退する代わりにアラブ諸国がイスラエルを国家として承認するという包括的な和平案を提案しました。
また2001年の同時多発テロ事件では、実行犯の多くがサウジアラビア出身だったことから、アメリカとの関係が一時緊張しましたが、テロ対策の強化に乗り出すことで信頼を回復しました。
最近は、内戦が続くシリアのアサド大統領を強く非難し、アラブ諸国の中でもアサド政権の打倒を目指す急先ぽうとして反政府勢力に資金や武器を提供してきました。
一方、国内では聖地メッカを抱えるサウジアラビアの国王として、厳格なイスラム教に基づく統治を行いつつも、おととし議会に当たる「諮問評議会」に初めて女性の議員を任命し、女性の地位向上に取り組むなど緩やかな改革を進めてきました。
サウジアラビアは原油価格の下落や、イスラム過激派組織「イスラム国」への対応などの課題を抱えていますが、サルマン皇太子はアブドラ国王の路線を引き継ぎ、外交や石油政策に大きな変化はないと見られています。
米・オバマ大統領「中東安定に寄与」
サウジアラビアのアブドラ国王の死去について、アメリカのオバマ大統領は、22日、声明を発表し、「アブドラ国王は、中東や周辺地域の安定にとって、アメリカとサウジアラビアの関係がいかに重要か、確固たる信念を持っていた。緊密で強固な両国の関係は、アブドラ国王の業績の一つだ」とたたえ、その死を悼みました。
アメリカ政府にとって同盟関係のサウジアラビアはイスラム過激派組織「イスラム国」や、イランの核開発問題など中東地域が抱える諸問題の対応を巡る戦略的なパートナーで、引き続き、連携していく方針です。