エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン
  • TOP
  • キーパーソン
  • 旬ネタ
  • コラボ
  • ノウハウ
  • 女子部
  • キャリア

「文系出身GEEK」が日本版Facebook、Twitterを生み出す?デジハリが『G’s ACADEMY TOKYO』を2015年4月に開講

2015/01/24公開

 

デジタルハリウッドの新ブランド『G’s ACADEMY TOKYO』の記者発表会の模様

社会人向け、児童向けなど、若者向けのプログラミング教育サービスが盛り上がっている。急速に教育環境が整備される背景にあるのは、圧倒的なIT産業での人材難である。

ただ、一方で、日本のIT産業が抱えている課題を「人材難」という言葉だけで済ませていいのだろうか。世界で認知されるSony、TOYOTA、Hondaといった製造業のように世界で競り合えるWebサービス企業が生まれていないのは、投資環境やビジネスディベロップメント面での課題など、別の理由もあると話す人もいる。

そうした日本のIT産業が抱える課題に一石投じるべく、創立20周年を迎えた産学官連携の教育機関デジタルハリウッドが動いた。

「セカイを変えるエンジニア【GEEK】を養成する」を教育理念に、主にプログラミング初心者の文系大学生や起業志望の社会人などを対象としたエンジニア養成学校『G’s ACADEMY TOKYO』を2015年4月から開講すると発表した。

授業料後払い制で約半年間のカリキュラムを終えた卒業生には、ベンチャー育成を手掛けるサムライインキュベートからの投資や、企業からスカウトを受けるチャンスもあるという。

エンジニア人口が足りない原因はやはり「教育」にある

1月21日に行われた発表会で、デジタルハリウッドのスクール事業部部長・児玉浩康氏は、日本とアメリカのエンジニア人口分布を引き合いに出して技術者育成の重要性を説明した。

「SIerなどBtoB向けのIT企業に勤めているエンジニア人口を比べると、日本が約77万人なのに対してアメリカは約90万人いると言われています。さらに、BtoC向けの企業に勤めているエンジニア人口になると、日本が約25万人なのにアメリカは約230万人もいます」

この人口数の差は、やはり教育にあると児玉氏は続ける。アメリカでは、シリコンバレーにオフィスを構えている企業への就職が憧れの対象になっているため、GENERAL ASSEMBLYやApp AcademyなどのITスクールに12週間で約1万ドルの授業料を支払い、ブートキャンプと呼ばれる短期集中型の教育を受けることがトレンドとなっている。

「現在、BtoC向けのサービスを作っているエンジニアの数は、アメリカのエンジニアと比較して約10分の1です。新しいサービスを生み出す人材が不足しています。まずはこの人口を増やすことが、これからの日本のIT産業に必要なことなのです」

そして、今回の『G’s ACADEMY TOKYO』はゲームクリエイターやSI企業への人材輩出を行ってきた従来のITスクールとは、全く別の教育を施していくという。

ただプログラミングだけを丸暗記させるようなカリキュラムは行わない。自由な発想かつユーザーファーストの視点を持つ、意識と基礎からのプログラミング力を養うスクールとして運営する方針だ。

また、メンターやタイアップ企業には、Microsoft MVPの山崎大助氏やBASEのCTO藤川真一氏、サイバーエージェント、メルカリ、セカイラボ、アシアルなどが名を連ね、彼らの協力も仰いでいくという。発表会では、現在もGoogleやLINE、gumi、KLabなどにタイアップ協賛交渉を行っているという。

タイアップ企業のエンジニアは受講生のメンターとしての役割を担い、GEEK育成に力を注いでいく。また、レバレジーズ社も参加しており、『G’s ACADEMY TOKYO TOKYO』は渋谷ヒカリエにあるレバレージーズ社のオフィスが学舎となる。

以下では記者発表時に登壇した3名の意気込みを紹介しよう。

(写真左から)山崎大助氏、杉山知之氏、高橋邦欣氏

■デジタルハリウッド大学学長・杉山知之氏「プログラマーの養成は“時代”を養成することに通じる」

「IT産業は今、プログラマーを求めています。しかし職人として会社に吸収されてしまうことだけではもったいないとも考えています。なぜなら、プログラマーには無限の可能性があるからです。まだまだWeb業界は隙間産業。これからが活躍できるステージが整うフェーズだと言えるでしょう」

レバレジーズ株式会社・高橋邦欣氏「Web業界を共に盛り上げていきたい」

「IT業界は現在、案件と人材の需給バランスが崩れています。案件3に対して、人材1というイメージです。日本のWeb業界を発展させるためには、現場で起っているアンバランスな現状を解消する必要があります。以前からデジタルハリウッドと組んで、教育の領域で貢献したいと考えていました。今回の『G’s ACADEMY TOKYO』にレバレジーズも加わることで、共にWeb業界を盛り上げていきたいと考えています」

■Microsoft MVP・山崎大助氏「日本版Facebook、Twitterを立ち上げるようなGEEKを育成したい」

「従来のプログラミング教育はいわゆる断片的な教え方が中心だったと私は感じています。それでは、イノベーダーが生まれにくい。そのため、『G’s ACADEMY TOKYO』はとことんモノづくりに取り組むカリキュラムを考案しました。

実際にモニター学生が約1カ月半の学習でアプリを開発した実績もあるため、本人の意思があれば、引き上げることは可能だと実感しています。Facebook、Twitterのような企業が日本から生まれるよう、努めたいと思います」

「勉強を始める年齢は関係ない」ことを示す一つの事実

クリエイター養成の老舗企業デジタルハリウッドとドリームチームが集合し、『G’s ACADEMY TOKYO』は産声を上げようとしている。しかし、いくらスクールで学んだからといっても、社会に出てすぐに通用するような人材が生まれるのだろうか?

すでにプログラミング業務に携わっている人の中には、20代や30代から短期間でプログラミングを勉強し始めた人材が、実際の開発現場でどれほどのバリューを出せるのかと考える人もいるだろう。

そんな疑問に一つの解があるのだとすれば、今回登壇した山崎氏のキャリアは注目に値する。同氏は28歳でプログラミングを始め、Microsoft MVP としての実績を持ち、『G’s ACADEMY TOKYO』の講師になっている。「本人の意思があれば引き上げることは可能」と話す裏側には、自身の実体験がある。

ポテンシャル秘めた新しいGEEK候補生たちがスクール卒業後にどうなっていくのか。これからが楽しみだ。

『G’s ACADEMY TOKYO』スクール概要

【1】対象者に関して
プログラミング初心者の文系大学生や起業志望の社会人など

※プログラミング経験は不問。最大定員50名。
※入試に関しては企画力または論理力の選択式。

【2】カリキュラムに関して
2015年4月にLabコースを開講。全半年を予定したカリキュラムとなっており、前半の4カ月は入門を3週、基を4週、応用を4週行う。

後半の2カ月はメンタリングを中心とした作品制作の期間となる。後半の卒業制作ではタイアップ企業のエンジニアやメンターがGitHub上での個別指導を行う。

また、卒業制作を発表する“Global GEEK オーディション”では、タイアップ企業やシードアクセラレーターが完成したサービスを評価するだけに留まらず、スカウト・出資まで行う。

【3】学費に関して
入学金は5万円(税別)、授業料はLabコースを3カ月受講した時点で、継続を希望した方のみ、支払い義務が生じる後払い制となる。退学する場合の授業料は不要。また、将来的には卒業後の年収の15%を受講料として納入する方式を検討している。

取材・文・撮影/川野優希(編集部)


新着記事

編集部からのお知らせ

エンジニアに人気の求人

エンジニアtype姉妹サイト