京都大の原田浩特定准教授らは、特定の遺伝子の働きが強いと、がんが転移しやすくなることを突き止めた。働きを妨げれば、転移を抑えて治療成績の向上につながるとみており、新薬開発などに役立てる。成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に23日掲載された。
「UCHL1」と呼ぶ遺伝子の働きを解明、がんの転移を促す遺伝子「HIF1」を活性化する役割を持っていた。実験では、マウスにがん細胞を移植し、肺に転移させた。UCHL1の働きが高いと転移しやすく、働きが低い場合は転移しにくかった。
乳がんや肺がん患者から採取したがんの細胞も分析した。UCHL1の働きが強い患者では、病巣を取り除いてから5年後の生存率が乳がんで約50%、肺がんで約64%だった。一方、働きが弱い場合はそれぞれ約70%、約79%と高かった。UCHL1の働き具合が生存率に関係したと研究チームはみている。
京都大、がん転移