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正確な情報重要 震災報道記者がシンポ 東京

メディアと防災・減災を討論したシンポジウム

 3月に仙台市で開かれる国連防災世界会議を前に、防災・減災におけるメディアの役割を考えるシンポジウムが15日、都内で開かれ、国内外の記者が東日本大震災などの取材教訓、今後の情報発信の課題を議論した。

 海外メディア特派員らを支援する公益財団法人フォーリン・プレスセンターが主催。冒頭、世界会議を担当するワルストロム事務総長特別代表が「防災への社会の取り組みに、メディアは重要な機能を果たす」とビデオメッセージを寄せた。
 パネル討論では、ドイツ通信のラース・ニコライセン東京支局長が、東京電力福島第1原発の事故取材をめぐり「当時原発の詳しい状況が政府から十分説明されず、情報のコントロールに疑いを持った。それがいまも課題であり続けている」と指摘した。
 原発事故をテレビで報じた水野倫之NHK解説委員は「過去の原子力災害取材の知見と人脈を生かし伝えた思いはある。しかし、情報が不確かな中、メルトダウンの有無の判断に踏み込めず、いまも反省点だ」と語った。
 インドネシアの日刊紙コンパスのアーマッド・アリフ記者は、2004年のスマトラ沖地震を取材。「18万人が亡くなった自国の大津波と東北の体験を比較し、いち早く防災教育に還元して伝えている日本の努力に着目している」と述べた。
 寺島英弥河北新報社編集委員は、東日本大震災の体験を伝える「わがこと」「むすび塾」など同紙の防災・減災の取り組みを紹介。「震災はいまも終わらず、関心の風化、原発事故の風評が復興を妨げている。被災地の現実と声を発信し続けることが他地域の防災・減災につながる」と訴えた。


2015年01月24日土曜日

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